4.1 基本方針
沖縄科学技術大学院大学(以下「本学」という。)は、「1.1.1 沖縄科学技術大学院大学の目的」に記されている5つの中心理念(世界最高水準、国際性、柔軟性、世界的連携、産学連携)を具現化する研究活動を推進します。本学はまた、教員、研究スタッフ(本学において研究活動に従事する者(研究職のうち教員を除く者、特別研究員(フェロー)、サイエンス・テクノロジーアソシエイト。)をいう。以下同じ)及び学生の効果的な協力体制を通した学際的な研究を奨励します。 本学は学問の自由を尊び、そして本学の全ての研究者(教員及び研究スタッフをいう。以下同じ)は研究の開放性を遵守しなければなりません。プロボストが、研究ユニットに対する技術的及び事務的支援の責任を負います。
最先端の技術を駆使して重大な問題に挑戦することを可能にする内部的な資金供給が、本学における研究のユニークな特徴のひとつです。内部的研究資金を、それぞれの研究計画に従って共用資源と研究ユニットに配分する職権は、プロボストを通じて学長が担います。研究資源を効果的かつ公正に使用できる体制を提供する責任は、プロボストが担います。本学は数年にわたって政府補助金への依存度を軽減し、競争的研究資金や企業からの財政的支援を獲得出来るようになることが求められています。全ての研究者は外部資金に応募することが奨励されており、研究担当ディーンは、外部資金による研究に応募するための支援と同外部資金の実施を監視します。
全ての研究者は、最高レベルの研究倫理を保持し、法令を遵守しなければなりません。全ての研究者は、研究データ及び関連するコンピュータプログラム、ログブック等の記録、取扱い、保存について適切な措置を講じていることを確保する責任があります。また、研究グループにおいて、ねつ造、改ざん、盗用等研究活動における不正行為が発生しないよう細心の注意を払わなければなりません。
さらに、研究のオープン化、国際化に伴う新たなリスクに対して対応が求められる研究の健全性・公正性を確保することが必要です。(Link:研究インテグリティの確保に関する規程)
教員は、自らが監督する研究ユニット内における適切な研究行為を推進し、監督する責任を有します。
外部資金による研究及び企業との共同研究は奨励されますが、研究結果を開示しない極秘研究は認められません。委託者が6か月以上の公開遅延を要求するような委託研究は極秘研究に当たります。本学において遂行される研究は、公開・普及が意図されたものでなければなりません。
本学での研究は、いかなる特定の会社又はその他の商業団体の経済的利益に与してはなりません。商用委託研究は、重大な利益相反を生じる可能性があり、開示され綿密に審査されなければなりません。
学術研究機関(アカデミア)間での共同研究を実施する場合は、OIST共同研究規程に従うものとします。
また、本学の運営費補助金を、本学の業務以外の用途に使用することは、法律により固く禁じられています。
4.2 研究職
4.2.1 研究員任用委員会(RSAC)
研究員任用委員会(RSAC)は、教員担当学監(委員長)、プロボスト、教授会議長、及び教員担当学監により指名された者により構成され、教員以外の研究員の任用を審査します。これには、スタッフサイエンティスト及びシニアスタッフサイエンティストへの任用変更を含みます。
またRSACは、任期制から更新任期制(無期雇用)への変更依頼を更新任期審査(CAR)で審査し、さらに更新任期制の研究員の業績審査をユニット審査の時期に合わせて行います。
これらの変更依頼は指導教員が推薦するものとします。RSACの審査手順、提出書類、審査基準の詳細は、RSACハンドブックを参照してください[Link:RSAC Handbook/RSAC Terms of Reference]。
教員担当学監から要請があった場合、RSACは、ポストドクトラルスカラー、サイエンス・テクノロジーアソシエイト(以下「STA」という。)の任用、及び研究スタッフのディーンズリサーチグループへの異動についても審議を行います。
4.2.2 教員
教員の任用に関する事項は第3章「教員ハンドブック」に定めます。
4.2.3 シニアスタッフサイエンティスト
(*注:過去のグループリーダー及びリサーチスペシャリストに取り替わるものです。)
シニアスタッフサイエンティストは、研究ユニットに所属し、教員による総合的指導のもと、研究チームを管理及び/又は指導します。この職位は、研究管理や研究指導において多大な経験を持つ者のためのものです。
シニアスタッフサイエンティストは、独立した財源及び資源の配分は受けませんが、独立して研究を行い、研究プロジェクトの責任を負い、その分野において創造性豊かな研究及びサービスを行い、学内外を問わず指導者として認識される人物であることが期待されます。
本学におけるシニアスタッフサイエンティストの基本定義は以下のとおりです。
- 通常、博士号取得後10年以上の研究経歴があり、研究管理又は研究指導をした経験を最低2年有する。
- 任用は任期制で、教員担当学監の承認を要する。初回の任期は通常2年とし、3年を超えてはならない。初回の任期を2年未満とする場合は、教員担当学監の承認を要する。
- 特別の事情がある場合、学外から任用されたシニアスタッフサイエンティストについては、契約更新により、任期を4年又は5年間とすることができる。契約更新については、指導教員とシニアスタッフサイエンティスト自身の同意により申請を出すことができるが、教員担当学監の承認を要する。任用期間の合計は5年を超えてはならない。
- 5年を超える任期については、特別な事情があり、教員担当学監が認める場合にのみ例外的に可能である。
- 学術研究に専念する。
- 教員の指導のもと研究活動を行う。
- 自己の研究結果を発表することが求められる。
- 指導教員が率いるユニットに所属する学生の論文審査前や論文執筆の指導、ポストドクトラルスカラー及びスタッフサイエンティストのメンタリングに関与することがある。
4.2.3.1 契約終了の通知
教員とシニアスタッフサイエンティストは、契約終了の6か月前に、契約を更新するか否かを話し合います。通常、契約更新又は契約終了は、契約終了日の3か月前までに決定されなければなりません。
4.2.3.2 任期制雇用の合計期間について
スタッフサイエンティストからシニアスタッフサイエンティストへ任用変更があった場合、更新任期審査(CAR)に合格した場合を除いて、任期制雇用は、10年目の終わりまでに終了しなければはなりません 。10年は、2013年4月1日以降に開始された最初の任期制(非更新任期制)の雇用契約、又は契約更新からカウントします。
4.2.3.3 任期制から更新任期制(無期雇用)への変更
更新任期制は無期雇用であり、雇用契約書に記された契約終了の項目を除いて、定年退職年齢で終了します。原則として、更新任期審査(CAR)に合格しない限り、研究員は、通算雇用期間が10年を超える任期制、又は更新任期制(無期雇用)の雇用契約をオファーされないものとします。
4.2.4 スタッフサイエンティスト
スタッフサイエンティストは、研究ユニットに所属し、自立して研究を行う能力とその研究に必要不可欠な高度な技能と知識を有しますが、独立した財源・資源の配分はされません。スタッフサイエンティストには、独立して研究をデザインする能力が必要とされますが、新規の研究プログラムを立ち上げる責任はありません。スタッフサイエンティストの基本定義は以下のとおりです。
- 通常、博士号取得後5年以上の研究経歴があり、独立して研究を行う能力を実証できる。
- 任用は任期制で、教員担当学監の承認を要する。初回の任期は通常2年とし、3年を超えてはならない。初回の任期を2年未満とする場合は、教員担当学監の承認を要する。
- 特別の事情がある場合、学外から任用されたスタッフサイエンティストについては、契約更新により、任期を4年又は5年間とすることができる。契約更新については、指導教員とシニアスタッフサイエンティスト自身の同意により申請を出すことができるが、教員担当学監の承認を要する。任用期間の合計は5年を超えてはならない。
- 5年を超える任期については、特別な事情があり、教員担当学監が認める場合にのみ例外的に可能である。
- 学術研究に専念する。
- 教員の指導のもと研究活動を行う。
- 自己の研究結果を発表することが求められる。
- 指導教員が率いるユニットに所属する学生の論文審査前や論文執筆の指導及び所属する研究ユニットのポストドクトラルスカラーのメンタリングに関与することがある。
4.2.4.1 契約終了の通知
教員とスタッフサイエンティストは、契約終了の6か月前に、契約を更新するか否かを話し合います。通常、契約終了又は契約更新は、契約終了日の3か月前までに決定されなければなりません。
4.2.4.2 任期制雇用の合計期間について
ポストドクトラルスカラーからスタッフサイエンティストへ任用変更があった場合、更新任期審査(CAR)に合格した場合を除いて、任期制雇用は、10年目の終わりまでに終了しなければはなりません 。10年は、2013年4月1日以降に開始された最初の任期制(非更新任期制)の雇用契約、又は契約更新からカウントします。
4.2.4.3 シニアスタッフサイエンティストへの任用変更
特別な場合に限り、任期制及び更新任期制のスタッフサイエンティストは、シニアスタッフサイエンティストへの任用変更を推薦されることがあります。このような任用変更は非常に例外的です。スタッフサイエンティストの多くは、新たな就職先を見つけて本学を退職することが期待されます。
4.2.4.4 任期制から更新任期制(無期雇用)への変更
更新任期制は無期雇用であり、雇用契約書に記された契約終了の項目を除いて、定年退職年齢で終了します。原則として、更新任期審査(CAR)に合格しない限り、研究員は、通算雇用期間が10年を超える任期制、又は更新任期制(無期雇用)の雇用契約をオファーされないものとします。
4.2.5 ポストドクトラルスカラー
ポストドクトラルスカラーは、研究ユニットに所属し、博士課程を修了して間もない研究員として、志望する研究キャリア確立に必要な専門スキルを習得するために、一定の期間、指導者の下で研究を行い、学術的な研修を受けます。
本学におけるポストドクトラルスカラーの基本定義は、下記のとおりです。
- 過去5年以内に適切な分野で博士号又は同等の博士号(理学博士号、医学博士号など)を取得していること。
- 本学の博士課程を修了した者については、学位授与日から2年間は、本学のポストドクトラルスカラーとして就職することは認められない。
- 任用は任期制で、教員担当学監の承認を要する。初回の任期は通常2年とし、3年を超えてはならない。初回の任期を2年未満とする場合は、教員担当学監の承認を要する。4年目または5年目の契約更新については、指導教員とポストドクトラルスカラー自身の同意により申請を出すことができ、教員担当学監の承認を要する。任用期間の合計は5年を超えてはならない。ただし、次に掲げる理由がある場合は、1年を上限として期間を延長することができ、教員担当学監の承認を要する。
i. OISTの研究成果に影響がある場合
ii. 自身や家族の病気、出産など家庭的事情がある場合
iii. その他、教員担当学監が必要と認める場合 - 学術研究に専念する。
- 教員の指導のもと研究活動を行う。
- 自己の研究結果を発表することが求められる。
- 指導教員が率いるユニットに所属する学生の予備論文や学位論文の指導に関与することもある。
- 任用は、自立した専任の研究キャリアを築くための準備期間とみなされる。
4.2.5.1 ポストドクトラルスカラーのキャリア支援
ポストドクトラルスカラーは、専門能力及びキャリア向上に自ら努めなければなりません。このため、志望する研究キャリアの実現に向けて、年間12時間、これに必要な活動を行うことが認められます。さらに、ポストドクトラルスカラーは、Individual Development Plan (IDP:個人の専門能力及びキャリア開発の計画)の作成を通して、キャリア目標を設定し、自己の研修プロセスを管理することを
強く推奨されます。IDPのレビューは、少なくとも年に一度、指導教員及び/又は代りに指導を行う研究員によって行われますが、この内容はポストドクトラルスカラーの業績評価に用いられません。
4.2.5.2 契約終了の通知
教員とポストドクトラルスカラーは、契約終了の6か月前に、契約を更新するか否かを話し合います。通常、契約終了の通知は、契約終了日の3か月前までに出さなければなりません。
4.2.5.3 スタッフサイエンティストへの任用変更
非常に優秀なポストドクトラルスカラーで、本学で少なくとも1年間勤務し、博士号を取得後少なくとも5年経過している者は、スタッフサイエンティストに任用変更されることがあります。
4.2.5.4 学際的研究を行うポストドクトラルスカラーのためのフェローシップ
学際的研究を行うポストドクトラルスカラーのためのフェローシップは、志望する研究キャリアの確立に必要な専門スキルを習得するために、一定の期間、指導教員の指導の下、学際的研究に従事し、学術的な研修を受けます。本フェローシップは、選考委員会による選考を受け、極めて優れた研究成果を出し、非常に高い研究能力を潜在的に持つ個人に与えられます。
本フェローシップは、学際的研究を行う特に優秀な若手研究者を獲得することを目的としています。選抜された者は、フェローの称号に加えて、特別手当、自らの裁量で執行できる研究予算を与えられます。研究予算は、本学のルールに基づいて執行しなければなりません。フェローは、研究ユニットを2つ選択することができます。フェローのポジションには、大学全体のポストドクPEREXを使用します。フェローの基本定義は以下のとおりです。
- 過去5年以内に適切な分野で博士号を取得していること。
- 任用は任期制で、最初の任期は通常2年、認められれば3年まで延長できるが、教員担当学監の承認を要する。
- 選択した研究ユニットでの学術研究に専念する。
- 指導教員の監督のもと研究活動を行う。
- 与えられた任期中に自らの研究成果を発表すること(少なくとも学術誌に論文を投稿すること)が求められる。
選考委員会、選考プロセス、プログラム運営、本フェローシップに関する詳細については、関連ウェブサイトに定められています。
4.2.6 技術員
技術員は、研究ユニットに所属し、教員又は教員が適切であると判断した研究員の指導のもと、研究ユニットが行うプロジェクトの技術補助を行います。技術員の基本定義は以下のとおりです。
- 技術員の定義は「役職及び職位に関するガイドライン」で定める。(現在作成中)
- 本学の博士課程を修了した者は、学位授与日から2年間は、本学の技術員として就職することは認められない。
- 任用は任期制で、教員担当学監の承認を要する。初回の任期は通常2年とし、3年を超えてはならない。初回の任期を2年未満とする場合は、教員担当学監の承認を要する。
- 任用された者は、研究ユニットが行う研究プログラムを遂行する上で必要となる技術的・工学的知識を有すること。
- 任用された者は、指導教員の監督のもとで業務を行う。
4.2.6.1 契約終了の通知
教員と技術員は、契約終了の6か月前に、契約を更新するか否かを話し合います。通常、契約更新又は契約終了については、契約終了日の3か月前までに決定されなければなりません
4.2.6.2 任期制雇用の合計期間について
いかなる場合でも、更新任期審査(CAR)に合格した場合を除いて、任期制雇用は、10年目の終わりまでに終了しなければはなりません。10年は、2013年4月1日以降に開始された最初の任期制(非更新任期制)の雇用契約、又は契約更新からカウントします。
4.2.6.3 任期制から更新任期制(無期雇用)への変更
更新任期制は無期雇用であり、雇用契約書に記された契約終了の項目を除いて、定年退職年齢で終了します。原則として、更新任期審査(CAR)に合格しない限り、研究員は、通算雇用期間が10年を超える任期制、又は更新任期制(無期雇用)の雇用契約をオファーされないものとします。
4.2.6.4 年次業績評価
技術員の年次業績評価は、指導教員によって行われます。
4.2.7 ディーンズリサーチグループ
ディーンズリサーチグループは、教員担当学監の指導の下で研究を遂行します。このグループは、研究スタッフの管理者である教員が(長期の休暇等により)当該スタッフを指導することができなくなった場合かつ他に当該スタッフを受け入れることができるユニット又はサポートサービスがない等、例外的な状況で用いられます。ディーンズリサーチグループの任命は、RSACからの推薦をもとに、教員担当学監により行われます。
4.2.8 ぶりぶし(群星)フェローシップ
ぶりぶしフェローシップは、テニュアトラック教員を目指す有望な研究者を後押しするため、早期自立の機会を与えることを目的とした研究代表者のポジションです。選考は公募とします。選考委員会の推薦を受け、教員担当学監が任命します。初回の任期は3年とし、学内審査を経て十分な進捗が認められた場合は、2年間延長することができます。ぶりぶしフェローシップの任期は最長5年です。ぶりぶしフェローは、研究代表者として、予算管理、コンプライアンスなど、研究活動に対する責任を有します。選考プロセス、選考委員会、プログラム運営、本フェローシップの詳細については、関連ウェブサイトに定めます。
4.3 研究支援職
4.3.1 リサーチサポートリーダー
リサーチサポートリーダーの定義は「役職及び職位に関するガイドライン」で定めます。
4.3.2 リサーチサポートスペシャリスト
リサーチサポートスペシャリストの定義は「役職及び職位に関するガイドライン」で定めます。
4.3.3 リサーチサポートテクニシャン
リサーチサポートテクニシャンの定義は「役職及び職位に関するガイドライン」で定めます。
4.4 リサーチフェロー
4.4.1 リサーチフェロー
リサーチフェローは、本学を主たる研究拠点とし、本学との雇用関係を有さないものの、本学において指導を受けながら研究や学術的教育に一時的に従事する者であって、独立行政法人日本学術振興会の特別研究員に採用された者、その他我が国又は諸外国の学術研究助成機関により研究奨励費、滞在費や研究費等の助成を受けている優秀な研究者(学生の身分を有する者を除く。)をいいます。
4.4.2 リサーチフェローの受入
リサーチフェローとして本学において研究に従事することを希望する者は、指導を受けようとする教員の承諾を経て、教員担当学監に受入を申請します。本学の教育研究に支障がないと考えられる場合は、教員担当学監は当該リサーチフェローの受入を許可します。
4.4.3 リサーチフェローの受入期間
リサーチフェローの受入期間は、原則として、当該リサーチフェローが研究奨励費、滞在費や研究費等の助成を受けている学術研究助成機関が定める採用期間とします。また、リサーチフェローが、当該学術研究助成機関の助成の採用決定を取り消され、又は資格を喪失した場合は、教員担当学監は当該リサーチフェローの受け入れを取消すことがあります。
4.4.4 リサーチフェローの活動
リサーチフェローは、本学において、以下の活動を行い、又は行うことが期待されます。
- 教員の指導の下、研究を行います。
- 受入期間中、自己の研究の結果を発表することが期待され、かつ発表するための支援を受けることができます。
- 指導教員の研究ユニットで研究を行う学生の博士論文又はその予備論文に関与することがあります。
4.4.5 コンプライアンス
リサーチフェローは、本学職員と同様、法令や本学の方針・ルールを遵守しなければなりません。リサーチフェローが、本学が職員に対し定める懲戒の理由に該当する行為を行ったときは、教員担当学監は当該リサーチフェローの受入を取り消すことがあります。
4.4.6 リサーチフェローが創出した知的財産の取り扱い
リサーチフェローとして従事した研究活動において創出した発明等の知的財産権の取扱については、本学の基本方針・ルール・手続き(PRP)第14章の規程を適用します。
4.4.7 リサーチフェローの待遇およびその他の細則
リサーチフェローの待遇やその他の細則に関しては、「リサーチフェローの待遇およびその他に関するガイドライン」で定めます。
4.4.8 その他
その他の詳細については、教員担当学監が別途定めることとします。
4.5 OIST 研究者コミュニティ (OIST Researcher Community, ORC)
4.5.1 OIST研究者コミュニティの役割
OIST研究者コミュニティ(以下「ORC」という。)は、本学の全てのポストドクトラルスカラー、スタッフサイエンティスト、技術員、及び特別研究員を代表する組織です。 ORCは、ORCに所属する者に本学に関する情報を提供し、かつORC所属者の意見や提案をまとめ、本学にフィードバックします。ORCは、多様性を支持し、その運営オフィス 、諮問グループ及び各委員会において、様々なジェンダー・アイデンティティ、文化、宗教、雇用形態、科学的専門分野等を持つメンバーの参加を歓迎・奨励します。
4.5.2 メンバーシップ及び役員
ORCのメンバーには、本学を第一の所属先とする全てのポストドクトラルスカラー、スタッフサイエンティスト、技術員、及び特別研究員が含まれます。ORCは2名の研究者代表、1名の研究者代表代理、1名の議長及び1名の事務局長を選出します。選挙は、議長と事務局長が必要と判断した場合及び少なくとも2年に一回、無記名投票で行われます。役員職の解任は、ORCの過半数のメンバーによる署名入りの嘆願書を提出することにより成立します。
4.5.3 ミーティング
ORCは、必要に応じ、少なくとも年に4回ミーティングを招集します。各研究ユニットから少なくとも1名がミーティングに出席し、学内での交流、コミュニケーション及び相互協力を推進することが奨励されます。ORCにおける決定は、出席者1名につき1票の投票による過半数の票により決定されます。議長が必要とみなす場合、本学の役員または教員がアジェンダの中の特定の議題について出席を求められ、ミーティングの終了まで同席を求められることがあります。
4.5.4 議長及び事務局長
議長はORCを率い、ORCミーティングにおける議論を円滑に進めます。議長と事務局長は、ORCミーティングのスケジュールを決定します。事務局長は、アジェンダと議事録を作成します。議長又は事務局長が欠席の場合は、研究者代表がその代理を務めます。
4.5.5 研究者代表及び研究者代表代理
研究者代表及び研究者代表代理は、必要に応じて教授会及び本学役員にフィードバックを提供し、また、彼らとの協議を発議します。研究者代表及び研究者代表代理は、ORCでの議論に基づき、教授会議長に対して、検討のための議題を提出することができます。
4.5.6 諮問グループ及びアシスタント
議長は、ORCにとって重要な特定の議題について研究者代表をサポートするために、臨時または常設の諮問グループを組織することができます。議長はORCの事務を管理するために必要に応じてアシスタントを任命することができます。
4.6 サイエンス・テクノロジー・グループ (STG)
沖縄科学技術大学院大学は、本学の目標を実現するため、研究ポートフォリオを拡大、補完し、沖縄のより広範な発展を支援する活動を追求するための機会に柔軟に対応する必要性があります。サイエンス・テクノロジー・グループはこれらの活動に焦点を合わせ、様々な方法で本学の研究活動に貢献しています。これにより、完全な研究ユニットとしての活動は保証されないが、新しい科学的又は技術的な方向性が支援され、技術的支援をするための熟練した指導力を提供し、あるいは国内外の機関との科学的、技術的、産業的、教育的、もしくは文化的連携を発展させることが可能になります。
4.6.1 サイエンス・テクノロジーアソシエイト(STA)
STAは、STGにおいて、本学の研究ポートフォリオを拡大、補完し、沖縄のより広範な発展を支援するプロジェクトに従事します。この職位は、より広範な技術を対象とし、本学の能力向上のために柔軟に用いられます。
STAには、関連する科学的、技術的、産業的、教育的又は文化的分野における 特別な研究スキル及び主題知識が求められます。資格及び経験により、STAには3つの職位階層があり、各階層で、専門的成果を高めることが求められます。STAの定義は「役職及び職位に関するガイドライン」に記載されています。
STAは通常、自分自身の研究を行うことを期待され、又は研究ユニットに属することができ、資源の配分を受けます。STAは、教員担当学監の同意を得た上で代表研究者として外部の研究助成金に応募することができます。
ユニットに所属するSTAの研究評価は通常、所属するユニットのユニット審査、又はユニットを率いる教員のテニュア審査(外部評価者による現地審査に基づいて行われる)に含まれます。当該STAの場合、4.6.1.1に規定されている外部評価者による個別のピアレビューは実施されず、1回目と2回目のレビューは、前述したユニット審査またはテニュア審査に置き換えられます。ただし、4.6.1.3及び4.6.1.4に規定される推薦は、当該STAの雇用契約または/および昇進(該当する場合)に関する内容を含みますが、当該STAの予算はユニット予算に組み込まれるため、研究資金に関する内容は含みません。
4.6.1.1 外部専門家によるピアレビューの審査基準
STAの任用及び研究評価は、外部専門家によるピアレビューに基づいて行われます。通常、1回目の審査は雇用4年目の終わりまでに行われます。1回目の審査の結果、単任期制雇用契約が継続された場合、2回目の審査は雇用8年目の終わりまでに行われます。ピアレビューの手続きの詳細は、教員担当学監が別途定めます[Link:サイエンス・テクノロジーアソシエイトのレビュー・ハンドブック]。ピアレビューの基準は、以下のとおりです。
- 研究又は研究に相当する活動の質及び重要性。
- 科学的、技術的、産業的、教育的又は文化的観点から見た、研究の重要性及び影響力。
- 研究資源を有効に活用していることが証明されていること。
- 学術機関、企業、又はその他の国内外の機関との、学外パートナーシップの発展に貢献していること。
- 今後の研究計画
4.6.1.2 サイエンス・テクノロジーアソシエイト(STA)のための「ストップ・ザ・クロック」ポリシー
出産、養子縁組、子育てに関する親としての責任を遂行することを目的として、STAは、審査の開始を遅らせ、契約の延長を申請することができます。「ストップ・ザ・クロック」は2回まで申請することができます。多子出産(双子など)の場合でも、「ストップ・ザ・クロック」を一度に2回申請することはできません。
このポリシーは、産前・産後休業や育児休業とは別に申請が必要です。当該休業を取得することは自動的に「ストップ・ザ・クロック」の申請とはなりません。審査の開始の延期は、STAの通常の責務を免除するものではありません。
申請を希望する場合は、審査のプロセス開始前(つまり、審査の必要書類の提出期限)までに、教員担当学監に「ストップ・ザ・クロック」申請フォームを提出しなければなりません。申請フォームが教員担当学監及び学長により承認された場合、以下の手続きが行われます。
- 審査の開始が最長1年延期されます。
- 雇用契約書の任期満了日が最長1年継続されます。ただし、4.6.1.5に記載された条件を満たすことが前提です。
- 研究予算が最長1年継続して確保されます。
酌量の余地がある場合(例:多子出産、困難な妊娠、未熟児、出産に関する病状など)、教員担当学監の裁量により、更に1-6か月の延長が許可されることがありますが、延長を申請するには、教員担当学監に関係書類(診断書等)を提出しなければなりません。
4.6.1.3 1回目の審査後のプロセス
- STAの最初の任用は通常、単任期制で、最長5年間です。4.6.1.1に記載されている外部専門家によるピアレビューの結果及び本学への今後の貢献を考慮しながら、教員担当学監、プロボスト、教授会議長又はその指名する者は、STAの契約と研究資金の更新について、学長に推薦を行います。推薦は、下記のいずれかが含まれます。
- 単任期制雇用契約の継続、及び最長5年の研究資金の継続、又は/及び昇進(該当する場合)。
- 任期制雇用契約を任期満了日、又は、結果を通知した日から1年後のどちらか遅い期日に終了する。ただし、4.6.1.5に記載された条件を満たすことが前提です。
- 特別な事情がある場合、上記4.6.1.3 (a)の推薦が行われる前に、4.6.1.1に記載されている外部専門家による1回目のピアレビューの結果及び本学への今後の貢献を考慮しながら、教員担当学監は、単任期制から更新任期制への変更について、研究員任用委員会(RSAC)に推薦を行うかを決定することができます。RSACへの推薦の手順は、4.6.1.4 (b)に記載されています。
学長は、上記の推薦をもとに最終決定を行い、当該STAに結果を通知します。
4.6.1.4 2回目の審査後のプロセス(更新任期制への変更)
4.6.1.1に記載されている外部専門家による2回目ピアレビューの結果及び本学への今後の貢献を考慮しながら、教員担当学監は、単任期制から更新任期制への変更について、研究員任用委員会(RSAC)に推薦を行うかどうかについて決定します。
- 教員担当学監が更新任期制への変更を推薦しない場合、教員担当学監は学長に、当該STAの単任期制雇用契約の終了を推薦します。終了日は、任期満了日もしくは、結果を通知した日から1年後のどちらか遅い期日で、かつ4.6.1.5に記載された条件を満たすものとします。学長が契約終了の推薦に同意しない場合、学長は当該STAとその他の結果について話し合います。
- 教員担当学監が更新任期制への変更を推薦する場合、RSACに書類が提出されます。書類には、外部専門家によるピアレビューで使用された書類一式、及び更新任期制の任用条件を満たす旨を記載した教員担当学監からの書簡が含まれます。RSACは、以下の基準を用いて、更新任期制への変更、研究資金、又は/及び昇進(該当する場合)について学長へ推薦を行います。
外部専門家によるピアレビューの結果、研究成果の評価が「Outstanding」又は「Excellent」である今後の研究計画が卓越しており、今後10~15年間、当該分野において重大な影響を与える可能性が大きい本学の学術的評価に明確な利益を与えることが証明されている
RSACが更新任期制への変更を推薦し、学長がこれを承認した場合、STAは単任期制から更新任期制へ契約を変更することができます。また、更新任期制のSTAの任用は、大学の雇用契約に基づきます。同契約は適用される就業規則に従い、どちらかの当事者が雇用契約の終了を申し出ない限り、満65歳となるまで同期間同条件で雇用契約を更新することができます。更新任期制への変更の際、またはその後行われる5年毎の審査が良好と判断された場合、給与について交渉することができす。
RSACで更新任期制への変更を推薦しない場合、STAの雇用契約は終了します。終了日は、任期満了日もしくは、結果を通知した日から1年後のどちらか遅い期日で、かつ4.6.1.5に記載された条件を満たすものとします。
4.6.1.5 単任期制雇用の合計期間について
いかなる場合でも、単任期制雇用は、2013年4月1日以降における最初の契約締結(又は更新)から10年目の終わりまでに終了しなければなりません。
4.6.1.6 更新任期制のSTAについて
更新任期制のSTAは、少なくとも5年に1回、外部専門家によるピアレビューを受け、研究資金、昇進、給与調整(該当する場合)についてRSACによる審査を受けます。RSACが昇進について推薦を行う場合、教員担当学監はその推薦内容を学長へ報告し、学長が最終決定を行います。
更新任期制のSTAは、本学が提供する研究資金の他に、外部資金を獲得することができます。更に外部専門家によるピアレビューの結果が良好でないために本学からの研究資金が非継続となった場合でも、外部資金を獲得することができます。本学の研究資金が非継続となった後、研究成果が認められ、教員担当学監の承認が得られた場合、STAは、適時、外部専門家によるピアレビューを受け、本学からの研究資金を再び申請することができます。外部専門家によるピアレビューの結果をもとに、学長は下記のいずれかの判断を行います。
- 本学からの研究資金の再開を承認する(最長5年間)。
- 本学からの研究資金の再開を承認しない。
4.6.2 STA の年間業績評価及び年俸の増額
STA は毎年、前年度の業績を評価されます。具体的には、教員担当学監と面談を行い、必要であれば助言を受けます。その詳細はSTA 年間業績評価ガイドラインのとおりです。面談は、研究、資金獲得(特に外部資金)、そのほか大学への貢献などについて、STA の実績を評価する機会です。また必要に応じ翌年の目標設定や業績向上のためのアクションプランを立てることもできます。
業績の評価が「満足のいくもの」であった場合、本学の予算状況に鑑みて、その年俸が増額される場合があります。
STAの研究実績は、PRP4.6.1.1「外部専門家によるピアレビューの審査基準」の記載に基づいて、別途評価されます。
4.6.3 サイエンス・テクノロジー・グループ(STG)フォーラム
4.6.3.1 STGフォーラムの役割
STGフォーラムは、STGの発展について議論する機会や本学に関する情報をメンバーに提供します。また、同フォーラムはメンバーの意見や提案を収集し、本学にフィードバックするとともに、共通問題の特定・検討や研究成果の共有を促します。
4.6.3.2 メンバーシップ及び役員
全てのSTAは、STGフォーラムのメンバーです。そのうち、1名がフォーラムの議長として選出されます。STGフォーラムは、教授会におけるSTGの代表を選出します。
4.6.3.3 ミーティング
STGフォーラムは、各年度につき少なくとも2回開催されます。ミーティングは、教員担当学監、研究担当ディーン、STGリサーチ・ユニット・アドミニストレーター (議事録担当)、また、必要に応じて、教員担当学監エグゼクティブアシスタント、同HRアシスタントが同席し、学長は任意で同席できます。教員担当学監は、STGフォーラムについてファカルティ・カウンシルに報告し、教授会にSTGのアニュアルレポートを提出します。
4.7 外部研究員
共同研究や交流を通して本学における研究活動の質を向上させるため、本学は他大学や他研究機関より研究員を招聘します。外部研究員の招聘は通常、本学教員が要請し、教員担当学監が承認します。共同研究には本学内の施設やリソースへのアクセスが伴うため、アクセス権限が適切に申請され、承認される必要があります。教員担当学監オフィスが管理する申請や承認手順、関連するリソースを担当するマネージャーによる追加承認に関する情報とともに、外部研究員の分類を以下に示します。外部研究員に関する申請や承認手続きの詳細は教員担当学監オフィスのウェブサイトに記載されています。
4.7.1 客員研究員
客員研究員による研究は、本学教員が身元引受人(スポンサー)となり、外部研究員用同意書の規定に沿って行われます。同意書の契約期間は2年以下とし、当初規定の2年を超える延長を行う場合は、当初の同意書が失効する前に、受け入れ申請手続きを再度行う必要があります。
4.7.2 特任客員研究員
特任客員研究員による研究は、本学教員が身元引受人(スポンサー)となり、外部研究員用同意書の規定に沿って行われます。同意書の契約期間は1年以下とし、当初規定の1年を超える延長を行う場合は、当初の同意書が失効する前に、受け入れ申請手続きを再度行う必要があります。本学による公的な研究助成金により雇用される客員研究員は「フェロー」に分類され、特任客員研究員とは別に管理されます。
4.7.3 共同研究員
共同研究員による研究は、本学教員が身元引受人(スポンサー)となり、外部研究員用同意書、また、包括的な機関間同意書の両規定に沿って行われます。契約期間は1年以下で、当初規定の1年を超える延長を行う場合は、当初の同意書が失効する前に、受け入れ申請手続きを再度行う必要があります。
4.7.4 研究コンサルタント
研究コンサルタントによる研究は、本学教員が身元引受人(スポンサー)となり、外部研究員用同意書の規定の範囲内で行われます。同意書の契約期間は一年以下で、当初規定の1年を超える延長を行う場合は、当初の同意書が失効する前に、受け入れ申請手続きを再度行う必要があります。
4.7.5 ゲスト研究員
ゲスト研究員は本学のポリシー、その他法律や同意書の要件を遵守するよう、基本的なゲスト研究員用同意書に署名する必要があります。
4.7.6 ビジティングスカラー
ビジティングスカラーは、本学が運営するプログラムのもとで招聘される外部研究員です。プログラムの目的は、科学技術の向上を支える環境整備と、ビジティングスカラーとの共同研究の推進です。ビジティングスカラーは、本学の研究環境に貢献し、研究成果の向上に寄与することが期待されます。詳細は、プログラム概要を参照してください。
4.8 メンター
本学は、若手研究者が自立した研究活動を遂行できるように適切な支援や助言を行うメンターを配置します。研究ユニットに所属する研究者(特別研究員を含む)及びサイエンス・テクノロジー・グループのメンバーには、原則として、ユニットを主宰する教員及び教員担当学監がそれぞれメンターとしての責務を担います。若手教員には、シニア教員がメンターとして配置され、その任命は研究担当ディーンが行います。学生には、アカデミック・メンターが配置されます。
4.9 研究スタッフと学生に対する教員の責任
教員は、単に研究スタッフ及び学生にとっての科学における指導者であるだけでなく、職場における統率者でもあります。教員は、「互いに尊重しあう職場の実現に向けた基本方針」が自らの研究ユニットで確実に守られるようにしなければなりません。各教員は、この方針の内容を研究ユニットのメンバーが明確に理解できるような機会を与えなければなりません。各研究ユニットのメンバーに対する年間業績評価の一環として、この基本方針に関する知識を確認するとともに、この基本方針についての建設的な意見を求めなければなりません。
4.10 研究支援組織
4.10.1 諮問委員会
事務局長又はプロボストの担当部局は、次の委員会の組織を支援します。これらは研究に関連する事項について、当該事項を所管する事務局長又はプロボストに勧告を行います。
4.10.1.1 安全衛生委員会
安全衛生委員会規程参照[Link: 13.2.1]
4.10.1.2 放射線安全委員会
放射線障害予防規程参照[Link: 13.3.10]
4.10.1.3 バイオセーフティ委員会
バイオセーフティ委員会規程参照[Link: 13.3.7/13.3.8]
4.10.1.4 動物実験委員会
動物実験委員会規程参照[Link: 13.3.9]
4.10.1.5 人対象研究審査委員会
人対象研究審査委員会規程参照[Link: 13.3.11]
4.10.1.6 レーザー安全諮問委員会
レーザー安全管理規程参照[Link: 13.3.3]
4.10.1.7 野外活動安全委員会
野外活動に関する規程参照[Link:13.3.13]
4.10.2 コアファシリティ
コアファシリティは、共有の研究資源を活用した支援により、本学での実施が認められた研究や商業活動の支援を行います。コアファシリティを構成するセクションは、PRP2章の所掌業務に記載の通りです。
4.11 研究倫理、法令遵守及び利益相反の防止
研究活動は社会からの信頼と負託の上に成り立っていることを認識し、研究者は、常に正直かつ誠実に判断、行動し、責任ある研究行為を実施しなければなりません。本学は、科学者の行動規範(平成25年 日本学術会議)及び研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年 文部科学大臣決定)、その他関連する指針等に沿って、責任ある研究行為を推進するとともに研究活動における不正行為に適切に対応するための仕組みを整備します。
特定の実験は、事前に関連諮問委員会審査され、事前にプロボストの承認を得ることが必要です。また、研究活動で利用する試料・機器の中には、法令やガイドラインで入手、取扱い、保管、記録、廃棄等が規制されているものがあります。これらは、関連する法令やガイドラインに沿って適切に処理されなければなりません。第22章「利益相反防止及び安全保障輸出管理」に規定された本学の方針を前提に、研究者はコンサルティングやその他の外部のパートナーとの活動に携わる権利を有しますが、利益及び責務の相反を防止しなければなりません。
4.11.1 責任体制
4.11.1.1 研究倫理最高管理責任者
理事長・学長は、最高管理責任者として、本学において責任ある研究行為が実践される最終責任を負います。研究倫理最高管理責任者は、不正な研究行為を発生させる要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境及び体制の構築を図るとともに、不正行為が生じた場合には、必要な措置を厳正かつ適切に講じなければなりません。
4.11.1.2 研究倫理教育責任者
プロボストは、研究倫理教育責任者として本学における研究倫理教育の推進を統括し、研究活動に関わる者を対象に研究者倫理に関する教育を定期的に行わなければなりません。
4.11.2 研究倫理教育
本学に属するすべての研究者(教員、ポストドクトラルスカラー、スタッフサイエンティスト、技術員、特別研究員、サイエンス・テクノロジーアソシエイト)、研究支援職員及び学生は、研究倫理教育を受講しなければなりません。研究倫理教育は、少なくとも5年に1回以上受講する必要があります。それ以外の部署の職員も研究倫理教育を受講することが強く奨励されます。共同研究等のため外部の研究者や学生が一時的に本学で研究活動を行う場合、受け入れ研究ユニットや関係セクションは、当該研究者及び学生等が研究倫理教育を受講することを推奨します。教員担当学監オフィスは、研究倫理教育のための教材作成や受講記録についてプロボストを支援します。
4.11.3 研究データの管理及びラボノート
研究データ及びラボノートはそれを得た研究者にとってのみならず科学界全体にとっても貴重な資産です。全ての研究者には、適切なバックアップと共に、安全かつ識別可能な方法でデータを保存し、必要な場合は開示することが求められています。ラボノートや電子的なデータファイルを含む、本学におけるいかなる研究の結果も、概して本学の資産とみなされます。各研究者は、各々の研究結果が当該研究分野における最高の管理基準に沿って適切に記録されていることを確保しなければなければなりません。これは、将来の検証のための、研究データとラボノートブックの確実な保管を伴います。教員は、各々のユニットに所属する全ての研究者に対し、研究データの記録と保管に関して明確に指導しなければなりません。データのねつ造や改ざん及び盗用は容認されません。公開データベースでの研究データの普及は奨励されますが、人を対象とする研究に関するデータの扱いには、プライバシー保護のため最善の配慮がなされなければなりません。研究者が所属研究ユニットを去る場合、どのような研究データを持ち出して良いかどうかについて、 担当教員と合意を得る必要があります。教員又は研究スタッフが本学を去る場合、研究データの所有権は本学にとどまりますが、教員担当学監は当該教員等の他所での研究の継続を妨げないように研究記録の移管について適切に調整を行います。詳細については、「本学研究データ、ラボノート、研究試料及び化学物質の保存および開示に関するガイドライン」を参照すること。
4.11.4 研究試料の管理
遺伝子サンプルや遺伝子組換え生物のような研究試料は、科学界全体にとって 貴重な資源です。多くの学術雑誌や研究資金助成機関は、研究成果が公にされた後、当該研究試料を公に利用可能とすることを求めています。研究試料を保存する場合は、その性質に応じて極低温等の適切な措置を施さなければなりません。また、他の研究者から配布請求があった場合は、適切な手段を経る必要があります。研究試料は、当該論文や学会発表から、原則として少なくとも5年間保管しなければなりません。研究試料を提供又は受領する際には、多くの場合、当事者間の試料提供合意(MTA)が必要です。研究者が別の機関に異動するにあたっては、研究試料の分配に関し、前もって合意がなされていなければなりません。詳細については、「本学研究データ、ラボノート、研究試料及び化学物質の保存および開示に関するガイドライン」を参照すること。
4.11.5 研究計画
教員は、特定の研究計画(放射性同位元素、遺伝子組換え生物、病原体等、動物、人又はヒト由来試料を伴う研究計画)は、研究開始前に関連する諮問委員会に承認を受け、さらに、その研究計画に沿って研究ユニット・メンバーが研究を実施していることを確認する必要があります。承認が必要な研究計画については、第13章安全衛生及び環境保護を参照してください。
4.11.6 研究成果の発表
本学で行われた研究の成果は、学術雑誌論文、学会発表、及び同様の適切な 場において、迅速に公表されなければなりません[Link: 1.3.1]。時として、否定的な結果が重要な知見をもたらすこともあります。研究成果を発表する にあたって、全ての研究者は、ねつ造、改ざん、盗用、二重投稿、不適切なオーサーシップ、著作権保護された資料の承諾又は出典明示無しの使用といった違反が無いことを保証しなければなりません。
沖縄科学技術大学院大学機関リポジトリ(以下「OISTIR」という。)は、本学の知的成果物へのパブリックアクセスを可能とするプラットフォームです。図書館長の承認がある場合を除き、出版物及びその他研究結果はOISTIRに登録されなければなりません。OISTIRへの登録者は、沖縄科学技術大学院大学機関リポジトリ運用指針に従い、オープンアクセスの環境を保つことが求められます。
無料閲覧可能な学術雑誌への発表は奨励され、発表にあたっては中央予算から支援を受けることができます。
4.11.7 輸出入法令の遵守
大多数の国々と同様に、日本国は、多くの物品の輸出入に関し、規制、条件付け、関税を課しており、これには、本学で行われるような基礎研究において使用される試料や機器設備も含まれます。ソフトウェア、 製品のノウハウ、また、使用マニュアルにまで及ぶような知的財産を含む技術の移転も、物理的、デジタル、口頭かどうかを問わず、国内法、関連する国連決議、輸出入に関する法令に沿って規制・管理されます。学生の入学、教職員の採用、共同研究、国際交流など、海外からの研究者やインターンの受け入れを含め、大学のさまざまな活動も輸出規制の対象となる場合があります。国は、生物、遺伝子組換え生物を含む各種品目、装置、物質、情報及び試料の輸入についても管理しており、また、それについて許可が必要とされる場合があります。大学における研究活動に使用される物品は、課税が免除されることもありますが、関税や定期的な官公庁への報告が課せられる対象となることがありますので注意が必要です。意図的か非意図的かどうかを問わず、国内の法令や関連する国連決議に違反しないよう、細心の注意が払われ、これらの規則のコンプライアンスが十分確保されるよう、安全保障輸出管理責任者に助言を求めなければなりません。
詳細参照:
政府の安全保障貿易管理ウェブサイト及び、
外国為替及び外国貿易法
関連する国連決議
OISTの安全保障輸出管理規程
4.11.8 利益及び責務の相反の防止
教員は、第22章「利益相反防止及び安全保障輸出管理」に詳述されているような、真の利益相反につながる、あるいは利益相反と受け取られるおそれのある状況は、全て開示する必要があります。
4.12 安全衛生と環境保護
全ての研究者は安全衛生及び環境保護に留意して研究活動を実施しなければなりません。安全衛生及び環境保護については、第13章 安全衛生及び環境保護を熟知し、遵守しなければなりません。
各教員は、それぞれの特定の研究分野において適切な安全衛生手順でチームのメンバーを教育し、自身の研究室や他の仕事場内においてそれらの手順を管理する責任を負います。教員は、研究室設備と機器の安全を保証する責任も負い、本学職員又は外部の業者による査察や検査に協力しなければなりません。
4.13 知的財産
知的財産は、本学の教育及び研究の任務を支援する収入源となる可能性があります。本学はそれを認め、本学における研究活動から派生した 情報や技術開発が、より広い利益をもたらすものになるか、商業的な価値があるか、そのいずれか又は両方の場合、それを本学に対して開示することを求めます。技術移転セクションが、潜在的知的財産の特定及び評価を支援し、特許申請の準備を行い、そういった財産の効果的な活用を確保します。機密保持契約は著しい懸念を引き起こすものです。そういった契約条項は本学の「オープンな研究環境」の基本方針に抵触するおそれがあります。情報を機密とする契約による責務は、本学教員が自ら選択する方法で研究を遂行する資格を厳しく制限したり、本学が本学の教員及び研究員の仕事から生まれたアイデアや発明を保護することを困難にする可能性があります。本学の統括弁護士から文書による承認をあらかじめ得ることなく本学に機密保持義務を負わせる契約を締結することは、禁止されます。本学の活動に関連するこの主題の詳細については、第14章「知的財産及び技術移転」を御覧ください。
4.14 会計上の義務
教員及び外部からの研究助成金を獲得した者は、その資金を適切かつ効率的に管理する責任を負います。(第26章「財務及び会計」参照)
4.15 公的研究費の運営及び管理
4.15.1 責任体制
4.15.1.1 公的研究費最高管理責任者
理事長・学長は、最高管理責任者として、本学における公的研究費の運営及び管理に関し最終責任を負います。最高管理責任者は、公的研究費の運営及び管理に関し、不正行為を発生させる要因を除去し、十分な抑止機能を備えた環境及び体制の構築を図るとともに、不正行為が生じた場合には、必要な措置を厳正かつ適切に講じなければなりません。
4.15.1.2 公的研究費統括管理責任者
事務局長は、統括管理責任者として、最高管理責任者を補佐し、本学における公的研究費の運営及び管理に関し本学全体を統括する実質的な権限と責任を有します。統括管理責任者は、不正防止計画を策定し、職員等に対して教育・研修を計画的かつ継続的に行います。
4.15.1.3 公的研究費コンプライアンス推進責任者
プロボスト、教員担当学監、財務担当副学長は、コンプライアンス推進責任者として、次の役割を担います。また、コンプライアンス推進責任者は、副コンプライアンス推進責任者を配置することができます。
- 不正防止対策を実施し、実施状況を確認するとともに、統括管理責任者に定期的に報告します。
- 不正防止を図るため、公的研究費の使用・管理に関わる全ての構成員に対し、コンプライアンス教育を実施し、受講状況の管理監督及び理解度の把握を行います。
- 構成員が、適切に公的研究費の使用・管理を行っているか等をモニタリングし、必要に応じて改善を指導します。
4.15.2 学内の研究資金
研究ユニットに対する学内からの研究資金は、5年間の研究計画に基づき、予算年度ごとに配分されます。この研究計画は、採用時には理事長・学長によって承認され、契約更新時には更新を評価するための委員会によって推薦されます。5年間の研究計画で承認されたどのような研究設備についても、共通・共用設備として運用できる可能性が検討されなければなりません。500万円を超える研究機器の購入に当たっては 全て、プロボストがコアファシリティディレクターとともに、共通・共用設備としての可能性を調査します。購入する機器の設置のために追加のスペース割当てが必要になる場合は、スペース・アロケーション・コミッティに申請を行い、承認を得なければなりません。
4.15.2.1 共通研究資源
コアファシリティディレクターが所管するコアファシリティは、共通・共用の研究設備と備品を管理し、研究ユニットにサービスを提供します。
4.15.2.2 経費の組織内課金
コアファシリティは、共通研究備品及びサービスの公平で効率的な利用の促進のために、それらの利用に際して研究ユニットに課金をする場合があります。
4.15.3 外部からの研究資金
教員にとって学内の研究資金は非常に魅力的ですが、本学全体としては徐々に政府の補助金への依存度を減らし、競争的な政府助成金や民間資金をより多く獲得していくことが望まれています。これは、本学の研究や教育、コミュニティ形成に対して柔軟な支援を行う際の財政的な自由度という側面からも重要です。研究担当ディーンの所管する外部研究資金セクションは、研究者が競争的研究資金へ応募すること、及び、資金提供機関の規則に従い予算を有効に執行することを支援します。助成金応募の研究計画を提出する際には、追加スペースの必要性、設備の維持管理費、また所要の事務サポートの増加について、適切に考慮されなければなりません。
4.15.3.1 公的助成金申請
政府、県及び海外の研究助成金に対して、全ての該当する研究員による応募が奨励されます。教員以外の研究員は、助成金申請により研究ユニットの全体的な目標が妨げられないように、申請する前に教員に相談しなければなりません。追加の研究室又は事務スペースを要求したり、間接経費を含まなかったり、又は学内の研究資金とのマッチングを要するような助成金の申請は、追加的な精査が必要です。全ての助成金申請には、応募前に外部研究資金セクションマネジャーの承認が必要です。公的助成金に基づく活動のため追加のスペース割当てが必要になる場合は、スペース・アロケーション・コミッティに申請を行い、承認を得なければなりません。
4.15.3.2 民間企業からの助成金と共同研究
民間企業からの助成金を受ける、あるいは民間企業との共同研究を行う際には、適切な書式で契約や合意を締結するために、教員は事業開発セクションに相談しなければなりません。本学における民間企業からの助成金による研究は、アカデミックな性質のものでなければならず、結果が出版物や学会発表等で公表されなければなりません。(1.3.1「オープンな研究環境」参照)民間の助成金による研究又は企業との共同研究を行う際には、「知的財産及び技術移転」並びに「利益相反防止及び安全保障輸出管理」に関する基本方針及び要件が遵守されなければなりません。民間企業からの助成金や共同研究に伴い追加のスペース割当てが必要になる場合は、スペース・アロケーション・コミッティに申請し、承認を得なければなりません。
4.15.3.3 外部資金の管理
外部からの助成金の使用についても、学内の研究資金と同様に、基本方針・ルール・手続きに記されている要件に従って行われます。資金供給機関が追加したいずれの要件についても遵守されなければなりません。故意又は過失に係らず、これらの規則に違反することは、本学の名誉を傷つけるおそれがあり、違反した教職員等への重い処罰につながり得るということを、助成金受給者の全員が心得ていなければなりません。
4.15.3.4 競争的研究費により雇用される若手研究者の自発的な研究活動等実施
競争的研究費により雇用される若手研究者は通常、当該研究費によるプロジェクトに専念する必要があります。しかし、次に定める手続きに従い研究担当ディーンの承認を得ることにより、自発的な研究活動等を行う事ができます。
当該研究活動等の実施に関する必要な事項については、別途「学校法人沖縄科学技術大学院大学学園における競争的研究費により雇用される若手研究者の自発的な研究活動等実施の承認手続き」に定めます。
4.16 研究設備及びサービスの学外への提供
本学の研究設備及びサービスは一義的には本学の研究及び教育のためのものですが、これら研究設備及びサービスの余剰能力を外部の学術又は商用利用者が有効活用することにより、沖縄における科学技術の進歩及び本学を取り巻く活発な研究コミュニティの発展に貢献することができます。加えて、これらの学外利用者へ利用料金を適切に課金することは本学が運用する資金にも寄与します。コアファシリティディレクターは、本学の研究設備及びサービスが継続的に学内利用者に供されること、直接及び間接経費について適切に学外利用者に課金すること、安全及び本学内の法令遵守を確保することに配慮するとともに、学外利用者による本学の研究設備及びサービスの利用を所管します。学外利用者による利用に関する詳細については、プロボストが別途定めます。[Link]
4.17 通報窓口、調査手続き
研究活動又は研究費における不正行為又はその疑惑が生じた場合の通報窓口及び調査手続きについては、第23章を参照してださい。
4.18 連絡先
4.18.1 本章の所管
プロボスト
4.18.2 その他連絡先
教員担当学監、研究担当ディーン、コアファシリティディレクター