28. 調達

目次

28.1 基本方針

沖縄科学技術大学院大学(以下「本学」)は、理事会による最終的な意思決定と監督の下で、本学の目標を実現し使命を果たすために必要となる物品、役務、工事等の調達を行います。こうした調達に関する権限は、指定された調達担当部門(28.8定義)、依頼部署(28.8定義)の予算保有者(教員等:27.3.2定義)に委ねられます。これらの者は、健全な取引慣行に基づき、ベストバリューを基本とする調達を行うとともに、それに関する説明責任を果たし、かつ、関係法令を順守し、資金提供者や寄附者の要請を満たさなければなりません。また、本学は、本学を代表して調達を行う者に対し、本章に定めるルールや手続きを遵守することを求めます。

28.2 留意すべき事項

本学の調達は、本章に定める基本方針・ルール・手続きや関連法令に加え、倫理的配慮と健全な取引慣行を基本とします。

28.2.1 倫理規範

調達担当部門の職員、依頼部署の担当事務職員(28.8定義)及び予算保有者は、あらゆる調達において本学の行動規範を遵守しなければなりません。違法行為及び非倫理的行為の例として、価格操作、特定の取引先への便宜供与、談合入札、競合相手と市場若しくは顧客を分け又は割り当てる合意への加担、会計記録の改ざん、監査における意図的な虚偽陳述、賄賂、キックバックが挙げられます。このような性質の不正行為は、第23章「不正行為及び内部告発者保護」及び第38章「懲戒」に基づく懲戒処分の対象となるものです。

28.2.2 利益相の回避

本学は、あらゆる調達を行う際、可能性も含めて利益相反を回避することを求めます。このような利益及び責務の相反に関する詳細については、本学の行動規範利益及び責務の相反の防止を参照してください。取引先(28.8定義)からの個人への贈り物や謝礼は断らなくてはなりません。また、受け取ってしまった場合には、当該取引先に返却しなければなりません。

28.2.3 不正行為の禁止

調達担当部門の職員、依頼部署の担当事務職員及び予算保有者は、不正行為(本章又は他の本学の方針に何らかの点においてしたがっていない調達)を行ってはなりません。これには不適切な入札や適切な承認を得ていない支払い行為、架空取引、不適切な分割発注(28.8定義)、不正な価格情報の取得、虚偽の検査記録などが含まれます。不正行為は、本学の法的及び財務的なリスクを増大させるものであるため、そのような行為を行った者は、個人として責任を問われたり、懲戒処分の対象となる場合があります。

28.2.4 業務目的以外の調達の制限

依頼部署は、承認を受けた業務目的以外の目的の調達をしてはなりません。業務目的以外の調達であると見なされる物については「研究費の適正な執行に関するガイドライン」、弔事に関する経費については財務部門ウェブサイトを参照してください。個人的に使用する目的で、物品又は役務を調達することは厳格に禁止されており、その目的で本学の法人割引又は非課税待遇を利用することも同様です。業務目的の調達により加算され将来の割引や商品交換等に使用できるポイント制サービスについては、次回以降の業務目的の調達に使用することが推奨されます。第21章「大学資源の使用」21.2も参照してください。

28.2.5 取引先との関係

本学は、取引先との取引に際しては、最高水準のビジネス上の倫理及び行動を保持しつつ行います。本学は、地元企業及び中小企業との取引や環境保全、社会的マイノリティにも配慮しつつ、適切な競争環境を構築します。依頼部署は、新規の取引先との取引を行うとき、「取引先登録フォーム」(28.6様式)を用いて調達セクションに審査を依頼し、その承認を受けます。

28.2.5.1 独立の受託者
独立の受託者(28.8定義)から業務提供を受けるとき、本学は、契約事務取扱規則にしたがって契約書を作成のうえ、業務の開始前に独立の受託者との間に契約を締結しなければなりません。この場合、提供を受ける業務の内容と成果物を明確にした仕様書(28.8定義)を添える必要があります。また、可能な限り、本学の定める「業務委託標準契約書」(28.6様式)を使用しなければなりません。なお、調達セクションの承諾を得ずに業務委託標準契約書の文言を修正することはできません。

28.2.6 支払い方法

本学の支払い方法は、原則として、請求書による後払いで銀行振り込みによるものとします。ただし、第26章26.3.7に基づいてコーポレートクレジットカードにより決済を行う場合を除きます。また、本学では、建設工事、海外からの調達、及び第26章26.3.1.27に定められたその他の事情がある場合には、取引先に対し前金払を行うことができます。そういった取引先は全ての資格要件に適合している必要があります。新規の取引先から調達を行う場合、本学はその取引先の資格要件を審査する必要があります。本学は、要求される資格を備えていない取引先に対して全額前払いを行うことを認めません。

28.2.7 海外からの調達

調達後の維持管理について考慮しつつ、輸送料、関税等の間接コストを含めた調達コストが日本国内の取引先から調達する場合よりも経済的である場合には、本学では、ベストバリューに基づき、海外から物品、役務及び工事の調達を行います。

28.2.8 調達権限及びその委譲

理事長・学長は、本学の調達担当部門に、調達に関する権限を委譲しています。調達担当部門に限り、そういった権限委譲された調達を行うことが認められています。これらの調達担当部門は、そういった権限委譲された調達を行う際、調達権限に関する方針の要請事項に従わなければなりません。具体的な権限委譲と承認権限については、第12章「文書管理」12.3.2.2の「文書による承認手続きのガイドライン」の別表1を参照してください。

28.2.8.1 契約締結の権限
上記の権限委譲を受け、本学を代表して調達に関する契約を締結できるのは、物品売買及び業務委託である場合は調達セクション、工事及び施設整備関連の請負契約である場合は施設予算・契約管理セクションに限られます。ただし、150万円以上の工事及び施設整備関連の請負契約については、調達セクションの承認または合議を必要とします。

28.2.8.2 部署発注への調達権限の委譲
調達担当部門のセクションリーダーは、さらに、依頼部署の予算保有者に対し、150万円を超えない範囲についての調達権限を委譲することができます(部署発注)。ただし、予算保有者に部署発注の権限が委譲された調達を行う場合であっても、契約書又はそれに準じる書面の締結が求められるときは、依頼部署は、上記の調達担当部門に締結の手続きを依頼しなければなりません。

調達権限を委譲する場合は、第2章2.6の要請事項を遵守し、かつ調達権限の委譲を求める依頼部署を監督する副学長レベルによる承認を受けなければなりません。この委譲を行うときは、委譲の範囲、理由及び期限を含む委譲の詳細を明らかにしなければなりません。

本学は、必要に応じて調達権限委譲の審査を実施し、当該合意の継続の必要性、及び変更又はその他の調整の必要の有無について評価し、依頼部署が本学の方針に違反したときは、委譲された権限を返還させられることがあります。

28.2.8.3 承認手続きの代行
依頼部署の予算保有者は、部署発注についてのERPシステム上での承認手続きを特定の担当事務職員1名に代行させることができます。この場合、予算保有者は、【物品及び役務の調達に関わる承認手続き代行申請書】により、代行の範囲、理由及び期限を含む代行の詳細を明らかにし、ERPシステムの管理者に提出しなければなりません。代行承認を行う担当事務職員は、ERPシステム上の承認を予算保有者に代わって行いますが、調達に関する予算保有者の権限と責任は当該担当事務職員には委譲されず、予算保有者に残ります。ただし、代行承認を行う担当事務職員は、自らが申請した調達案件を承認することはできません(自己承認の禁止)。

28.2.9 包括基本協定

依頼部署が同一の取引先から特定の物品や役務を頻繁に調達する場合、調達担当部門は「包括基本協定」を締結することができます。包括基本協定は、原則として会計年度を超えない様々な期間で設定され、担当事務職員が取引の都度価格情報を取得しなくても取引先に発注することが可能となります。これには取引単価を定める契約や、法人売掛取引、継続的な取引の基本契約が含まれます。

28.2.10 複数年契約及び複数年度にわたる取引先の選定

複数年度の予算計画(27.5.2)に基づき、調達担当部門は、調達案件の性質又は目的に応じて、複数年契約や年度跨ぎ契約を締結することができます。ただし、複数年契約や年度跨ぎ契約を締結できる要件等は28.5.2複数年契約及び複数年にわたる取引先の選定に関する細則に定めます。また、調達担当部門は、複数年度にわたり効力が継続する条件又は方法によって取引先の選定を行うことができます。このような選定に基づいて調達を行う場合、調達担当部門は、その継続性について定期的な見直しを行う等、必要に応じて適切な措置を講じます。

28.2.11 緊急事態における調達

緊急事態(28.8定義)が生じた際には、本学の職員は、本章の手続きによらずに取引先と取引を行うことができます。このような取引には、例えば、不測かつ突然に生命を脅かすような事象又は大災害時の取引が含まれます。単に発注を急ぎたい場合や、定められた調達手続きをとる時間がないといった理由は、これに該当しません。

28.2.12 調達情報の公表

本学は、過去及び将来の調達に関して次に掲げる情報を本学ウェブサイト上で公表します。

  • 調達額500万円を上回る物品及び役務の調達: 契約内容及び取引先を選定した理由
  • 工事に関する調達:28.5.2 契約事務取扱規則に定める事項(当該年度の発注の見通し、入札及び契約の過程、その他関連情報)

28.3 ルール

本学は、本学の運営に適用される日本の法令を遵守しなければなりません。さらに、依頼部署や調達担当部門は、本学の資金を用いて、物品、役務及び工事を調達することに関し、本章に定める所定の実務を着実に実施しなければなりません。

28.3.1 仕様書の作成

依頼部署は、調達する物品や役務及び工事の内容を正確に取引先に伝え、また発注及び契約後の履行を確実にするため、調達にあたって、調達内容を正確に記述した仕様書を作成します。取引先の選定に用いる価格情報は、このように作成された仕様書を取引先に提示することによって入手する必要があります。作成された仕様書は、発注又は契約時の契約条件の一部として扱われます。ただし、調達額が150万円に満たない場合で、かつ仕様書による確認なしに調達内容を取引先に確実に伝達できる場合には、仕様書の作成を省略することができます。

28.3.1.1 大型設備の仕様策定
調達額が5,000万円を超える大型設備(研究機器等)の調達にあたっては、28.5.2 大型設備の調達に関する細則に定められたルールにしたがって、仕様書を作成しなければなりません。また統合業務システムの調達に関する要求仕様の策定は、第17章17.5.7にも必要な手続きが記述されています。

28.3.1.2 要求仕様の策定
要求仕様を策定するときは、候補となる製品やサービスについて可能な限り市場の情報収集を行い、競争性に留意した準備を行うことが重要です。また28.3.1.1に仕様策定の方法が指定されている場合を除き、製品やサービスの選定を含む仕様策定に関する説明責任は、依頼部署の予算保有者及び購入依頼の最終承認者にあります。

28.3.2 部署発注や購入依頼の入力

金額に関わらず、物品、役務及び工事を取引先から調達する場合は、本学のERPシステムにより、予算保有者の事前の承認を得なければなりません。ただし、調達方式の制約等によりこれにより難いと副学長(財務担当)が認める場合には、副学長(財務担当)が別途定める方法によるものとします。

28.3.3 取引先の選定

原則として、競争入札等の公平で透明性を確保された競争的手続きによって取引先を選定する必要があります。

28.3.3.1 サプライストア
150万円を超えない範囲で、予算保有者の承認のもと、サプライストアを利用することができます。

28.3.3.2 部署発注
28.2.8.2により調達権限の委譲を受けていて、かつ一注文につき合計額が150万円未満の物品及び役務の場合、依頼部署は、経済性と公平性に留意しつつ、その予算保有者の事前の承認を得て、部署発注を行うことができます。なお、合計額が150万円未満になるように、1件の調達額の調整を目的として意図的に発注を分割することは不適切な分割発注とみなされ、認められません。部署発注に限らず、調達担当部門によるベストバリュー比較分析や競争入札等を回避するために発注を分割することも同様です。部署発注にあたっては、本学が規定する発注書によることを原則とし、これにより難いときは副学長(財務担当)が別途定める方法によるものとします。

28.3.3.3 購入依頼
28.2.8.2により調達権限が委譲されている場合を除き、本学を代表して物品、役務及び工事を取引先から調達することができるのは、調達担当部門に限ります。依頼部署は、予算保有者の事前の承認を経て、調達担当部門に取引先の選定と契約を依頼しなければなりません(購入依頼)。

28.3.3.4 ベストバリュー比較分析
調達額が150万円以上300万円未満(依頼部署が研究ユニット又はプロボスト管理下の各部署の場合は150万円以上500万円未満)の場合、調達担当部門は、2者以上の取引先が提示する公式見積書等の価格情報に基づくベストバリュー比較分析によって取引先の選定を行うことができます。

28.3.3.5 入札プロセス
調達額が300万円以上(依頼部署が研究ユニット又はプロボスト管理下の各部署の場合は500万円以上)の場合又は必要に応じ、本学は、適格な取引先を選定するための、公正で、開かれた、競争性の高い環境を作るとともに、ベストバリューを確保することができる方法により、競争入札等を行います。競争入札等の詳細な手続きは、28.5.228.5.3に定められています。これらの手続きは調達担当部門によって行われます。また、28.5.2や28.5.3の別の定めによる場合を除き、競争入札は、最低価格の札又は最も経済的に有利な札を入札した者を落札者とすることを基準とします。

28.3.3.6 競争によらない取引先の選定
次に掲げる場合の一つに該当するときは、調達額が500万円以上であっても、調達審査委員会の承認を経て、競争入札等の手続きを経ずに契約を締結する取引先を選定することができます。

  • 調達する物品、役務又は工事を提供できる取引先が一者に限られ、競争手続きを行う意味がないとき。この例外は、調達審査委員会が、当該物品、役務又は工事の仕様及び条件等を含めた合理的な理由に基づき認めたものでなければなりません。依頼部署は、この審査を受けるための理由書を作成します。調達審査委員会による決定は、本学のウェブサイトで公表されます。
  • 28.2.11の緊急事態における調達であるとき。
  • その他、28.5.2 契約事務取扱規則第14条に定める場合に該当するとき。

また、調達額が150万円以上500万円未満で、上記のような理由からベストバリュー比較分析が困難であるときは、同様の理由書等に対する調達担当部門のセクションリーダーの審査を経て、競争手続きを経ずに契約を締結することができます。また調達担当部門のセクションリーダーは、必要に応じ法令・コンプライアンスセクションリーダーの確認を要請します。

28.3.4 契約決議の承認

契約の締結にあたり、調達担当部門は、取引先の選定経緯、契約条件、その他の必要な情報を付記し、「文書による承認手続きのガイドライン」別表1に定める承認者の事前承認を得なければなりません。

28.3.5 発注の訂正

依頼部署は、発注した調達内容に変更や訂正が生じたときには、速やかに本学規定の発注書を再発行します。また、調達を調達担当部門に依頼していた場合は、変更や訂正が生じた際、直ちに発注を依頼した担当セクションに連絡し、発注書又は契約書の再発行を依頼しなければなりません。調達担当部門は、このような連絡を受けたとき、定められた手続きにしたがって、速やかに発注書の再発行や変更契約等の適切な処置を行います。

28.3.6 物品や役務の受領及び検収

調達セクションのロジスティクスチームの検収員は、調達した物品や役務が本学に納品された時に、その受領確認を行わなければなりません。受領確認は、原則としてロジスティクスチームが運営する物流センター内で行います。検収員が納品された物品や役務の受領を確認するのに、それに関する関連知識や専門知識が必要な場合、又は工事等のように物流センターでの受領確認が困難である場合は、調達セクションは適切な専門知識を有する職員に対して受領確認を委任することができます。

28.3.6.1 遠隔地への納品及び特殊な役務の検収
調達した物品が遠隔地に納品される場合には、送り状又は写真の提出を受けることにより受領確認に代えることができます。物流センターに郵送・配送された物品は、ロジスティクスチームの検収員が受領します。検収員が受領確認を行う際は、当該物品の郵送・配送先として記載された者の了解を得ることなく、郵送・配送された物品を開封することができます(財務部門ウェブサイト参照)。

ロジスティクスチームは、資料の翻訳、イベントにおける通訳、資格取得に向けたインストラクションなどの役務契約の他、特殊な役務と呼ばれる契約(データベース・プログラム・デジタルコンテンツ開発・作成、機器の保守・点検など)についても、成果物及び完了報告書等による履行確認を行うものとします。

28.3.6.2 受領及び検収の記録
依頼部署は、納品された物品の性能や役務の成果物等について検査し、適確に記録しなければなりません。性能の検査には、ロジスティクスチームの職員が立ち会うことがあります。

依頼部署は、受領及び検査の記録を保管し、要請を受けたときは、その記録を本学の各担当部署に提出します。

28.4 責務

28.4.1 調達に関わる全ての職員

調達に関わる全ての職員は次の責任を負います。

  • 本章その他本学の調達に関するルールを理解し、これを遵守します。
  • 事業遂行上の要求に加え、経済性及び公平性の観点から最適な要求仕様又はその原案を策定します。
  • 依頼部署の担当事務職員による購入依頼や部署発注を行うために必要な情報や書類を提供します。
  • 物品の納入又は役務の完了において、納品物や成果物又はそれに付随する書面等の内容を確認し、ロジスティクスチームの職員と共に履行確認を行います。

28.4.2 担当事務職員

依頼部署の担当事務職員は、28.4.1に加えて、次の責務を負います。

  • ルールに基づき、適切に部署発注又は購入依頼を遂行します。
  • 調達内容や金額に関わらず、部署発注又は購入依頼において、28.3.2の例外を除き、ERPシステムにより、ルールに規定された予算保有者の事前の承認を得ます。
  • 発注した物品や役務の未納(28.8定義)が起こらないように取引先との納期確認を行います。

28.4.3 予算保有者

依頼部署の予算保有者は次の責任を負います。予算管理者及び購入依頼の最終承認者も同様の責務を負います。

  • 適正な調達の実施と適正な予算の執行に責任を負います。特に、担当事務職員からの部署発注や購入依頼について、その調達内容と予算の交付要件その他の制限に問題がないかを確認し、承認の責務を負います。
  • 物品やサービスの選定を含む仕様策定に関する説明責任を負います。
  • 上記の部署発注や購入依頼による要請が本学の調達その他に関するルールに即していることを確認した上で承認を行います。
  • 部署発注を行うときは、関連法令を順守しつつ、最良で、本学の要望に対し最も適格でふさわしい取引先を選定します。
  • 承認した調達に関する監査(28.8定義)に協力します。
  • 承認した調達について不正行為又は業務目的以外の調達があった場合には、その責任を負います。

28.4.4 調達担当部門

調達権限が委譲される場合(上記28.2.8.2を参照)を除き、調達担当部門は、本学の調達活動及び依頼部署から購入依頼を受けた調達について、次の権限及び責任を負います。

  • 調達関連事項に関して、本学に情報を提供し、また本学にとってのリソースとなります。
  • 経済性及び公平性の観点から最適な調達方法を選択します。
  • 関連法令を順守しつつ、最良で、本学の要望に対し最も適格でふさわしい取引先を選定します。
  • 取引条件について交渉し、価格及びベストバリューに基づいて取引先と契約を締結します。
  • 全ての調達について必要な承認手続きを実施します。
  • 適用される規制にしたがい、本学の調達方法を文書化し、必要な手続きを定めます。
  • 最新の手続き文書の維持及び調整を行います。
  • 調達に関する方針及び手続きの変更について、必要に応じ、権限委譲を受けた依頼部署及び取引先といった関係者に通知します。
  • 法令及び本学の方針により求められる調達の記録を保管します。
  • 本学を代表して行った調達に関する監査に協力します。
  • 調達セクションは、本学の基本供給リソースとして、サプライストアを運営し、適切に管理します。
  • 調達セクションは、調達した物品や役務の受領及び履行確認の基本リソースとして、物流センターを運営し、適切に管理します。
  • 本学を代表し、一定以上の取引実績のある取引先から、不正行為に関与した場合には取引停止を含む処分を講じられても異議がない旨の確認書を徴します。

28.5 手続き

28.5.1 部署発注及び購入依頼

部署発注及び購入依頼の手続きの詳細は、財務部門ウェブサイトの業務マニュアルのページ(調達)を参照して下さい。ERPシステムの操作マニュアル等については、別に提供されるERPシステムのページを参照することができます。

28.5.2 競争入札及び契約事務

競争入札及び契約事務の手続きは次のとおりです。

  1. 契約事務取扱規則
  2. 調達審査委員会細則
  3. 大型設備の調達手続きに関する細則
  4. 複数年契約及び複数年にわたる取引先の選定に関する細則
  5. 施設整備の調達に関する委員会の細則
  6. PPP/PFI手法導入優先的検討に関する細則

28.5.3 実施要領

その他の実施要領は次のとおりです。

  1. 電子入札実施要領
  2. 総合評価落札方式実施要領
  3. 企画競争実施要領
  4. リバースオークション実施要領
  5. 価格交渉落札方式実施要領
  6. 参加確認公募実施要領
  7. 公正入札調査委員会実施要領
  8. 取引停止等措置要領
  9. 不用物品売却実施要領

28.6 様式

取引先登録フォーム

物品及び役務の調達に関わる承認手続き代行申請書

標準契約書

28.7 連絡先

28.7.1 本方針の所管

副学長(財務担当)

28.7.2 その他の連絡先

調達セクション

28.8 定義

依頼部署 調達権限を委譲された予算保有者が属する研究ユニット又は事務セクション。本章に置いて、場合によってはディビジョンやオフィスのことも指します。
担当事務職員 依頼部署に所属する本学の職員(派遣職員を含む。)のうち、調達に関する実務に従事する者。
調達担当部門 調達セクションと施設予算・契約管理セクションのこと。本章においてはそれらの所属職員(派遣職員を含む。)又はその承認権限者を指すこともあります。
物品 販売、リース又は賃貸に供される有形資産。製品又は商品とも称されます。
役務 業務遂行やその成果物が主要な要素となる行為。単に物品の製造、入手、配送に付随して生じる行為はこれに該当しません。「サービス」や「業務委託」、「外注」とも呼ばれます。
工事 土地の開拓、浚渫、掘削、及び平地化、並びに、建物、構造物又はその他の種類の不動産に関連するその他の行為。
価格情報 公式見積書、参考見積書、ウェブサイト上の見積り、本学向けと明記された価格表など。
仕様書 取引先に対して、本学が調達しようとする物品や役務の内容を指示する書面。発注後には取引における契約条件の一部になり、発注書や契約書と同様に法的拘束力を持つため、調達対象の要求仕様(構成・性能)、納入期限(業務期間)、納入場所、検収方法、提出書類(成果物)、保証内容、その他調達に関する事項を明確に示す必要があります。価格情報を取得するときに用いる場合はRfQ(Request for Quotation)やRfP(Request for Proposal)とも呼ばれます。
発注書 本学が取引先に交付する、調達に関する法的拘束力のある注文書。
ベストバリュー 買い手(本学)に対し最も価値あるサービスを提供する調達対象及び取引先を選択するという考え方。
これは単なる値下げ要求による最低価格の追求だけを指すものではなく、要求仕様の精査等による調達額そのものの抑制や、将来の維持管理費用や処分費といったライフタイムコストを踏まえた経済性の向上、並びに同一価格で供給される価格の最大化といった概念を含みます。
競争入札 物品、役務及び工事の調達に関する公告を行い、適格な取引先による競争を経て、最も有利な条件を提示した取引先を選定すること。
契約 本学と取引先との間における法的拘束力のある合意。
不適切な分割発注 金額により定められた競争や承認の手続きを逃れるために、一度に調達できるものを意図的に複数回に分割して発注する行為。
緊急事態 不測かつ突然に生命を脅かすような事象、自然大災害の発生。必要とされる使用状態若しくは機能を安全に継続されること、又は本学の事業に関わるあらゆる者の財産、生命、健康、若しくは安全を守ることを目的として、迅速な修繕、復旧やメンテナンスの必要性が生じた場合を含みます。
検収 本章における「検収」とは、納品された物品、役務及び工事に対して、数量の過不足や目に見える傷がないかなど外形的に確認し、また期待されるだけの効果を発揮するか性能についても検証することを指します。「検査」とも呼ばれます。
未納 発注書や契約書等により予め取り決めた期限までに、発注した物品や役務の検収が完了されないこと。下記の場合も含まれます。
  • 納期延長等の手続きを行ったにも関わらず、予算期限内に納品/完了されない場合。
  • 物品や役務が到着/完了していても、不具合や欠品等により検収条件を満たさず、本学から要請しても、期限内にそれが補修、代替、追完されなかった場合。
調達権限 本学を代表して取引先から物品や役務又は工事の調達を行う権限。
権限委譲 本章においては、理事長・学長や調達セクションリーダーが、その権限と責任を別の教職員に譲り移すこと。
承認手続きの代行 予算保有者が、別の担当事務職員に、ERPシステム上での承認手続きを代行させること。ただし、調達に関する権限と責任は依然として予算保有者が有します。
監査 本学が第8章に基づいて実施する内部監査、第9章に基づいて実施する監事監査、並びに会計検査院その他の行政機関や外部監査人が行う検査のこと。
取引先 本学に、所定の合意された物品、役務及び工事を供給する個人又は法人。本章において、この語は潜在的な取引可能性を持つ者も含みます。
独立の受託者 取引先のうち、本学に業務提供を行う個人又は法人をいいます。独立の受託者は、本学の被雇用者ではなく、本学の職員による管理監督を受けません。したがって、本学の被雇用者に対するものと同様の指揮、命令をすることはできません。また、基本的に独立の受託者に対し、本学の名称やデザインを含む名刺やEメールアドレスといった本学の被雇用者であると推測されるようなリソースを使用させることはできません。
認可取引先 調達セクションにより登録された取引先で、本学リソースへの日常的なアクセスを認められた者。
物理的な建物及びスペースへの立ち入りは本学施設管理ディビジョンを通じて許可される必要があり、本学への継続的又は日常的なアクセスを伴う業務のために専用のセキュリティカードが発行されます。このカテゴリには施設の工事を行う取引先を含みます。
この取引先の情報的なアクセスは、ITディビジョンを通じて許可されなければなりません。また情報セキュリティの観点から、真に必要とされる場合のみ、この取引先の本学の情報リソースへの継続的アクセスが認められます。例えば、財務や人事システムへの24時間体制の外部からのサポートサービス等が含まれます。
登録取引先 調達セクションにより登録された取引先で、納品や保守作業のために必要に応じて本学リソースへのアクセスを認められた者。
物理的な建物及びスペースへの立ち入りは本学施設管理ディビジョンを通じて許可される必要があり、出入りは防災センターにて受け付けられます。受付時に一時的なセキュリティカードが発行され、退館の都度返却されなければなりません。
この取引先の情報的なアクセスは、ITディビジョンを通じて許可されなければならず、本学による従事状況の管理が必要なときのみ本学の情報リソースへのアクセスが認められます。
営業及び販促目的取引先 製品やサービスの販促営業や資料等の提供を目的として本学を訪れる取引先。この目的においては、本学との間にいかなる金銭的取引関係も生じません。アポイントを持つ職員は、このような取引先がラボエリア等のセキュリティエリアへの立ち入る際に、エスコートする責任を有します。
派遣職員 第30章 30.2.2.1.7に規定されている派遣職員。これらの派遣職員は本学との直接の雇用関係にないものの、本学の職員と同様に本章の適用を受けます。