23.1 基本方針
本章において、不正行為とは、沖縄科学技術大学院大学(本学)と関係のある者(役職員、学生、取引業者を含みますが、これに限定されません。)による、日本の関係法令、本学の寄附行為、学則、基本方針・ルール・手続き(PRP)に違反する行為(法令違反)及び研究活動における不正行為をいいます。法令違反は公的研究費の不正使用を含みます。本章の他、本学の行動規範、研究倫理、法令順守及び利益相反の防止、公的研究費の運営及び管理や利益及び責務の相反に関する方針、ハラスメントその他の係争に関する方針についても参照してください。
本学の構成員である全ての役職員及び学生は、最高水準の倫理基準を維持するという責任を有します。本学は、健全な大学コミュニティを守るとともに、本学のコミュニティにおいて最高水準の行動規範が実践されることを確保するため、役職員、学生、取引業者その他の本学と関係のある者に、不正行為の疑いが指摘された場合には、本章の定めるルールに則り、調査を行います。
本学の役職員や学生、取引業者等が不正行為に関与していることが判明した場合には、本学による懲戒的な処分の対象となります。懲戒的な処分は、役職員については解任又は解雇、学生については退学、取引業者等については契約関係の解除に及ぶことがあります。また、訴状が出された場合には民事又は刑事訴訟の対象ともなり得ます。
23.1.1 内部通報者保護に関する方針
本学は、不正行為の可能性又は疑いについて、誠実な通報を行った職員又は学生に対して、いかなる報復的な取扱が行われることも容認しません。同様に、本学は、職員又は学生が、保護される開示を行う権利を妨害することを目的に、職務上の権限又は影響力を直接的又は間接的に行使すること(及び行使を企てること)を容認しません。
23.2 ルール
23.2.1 不正行為の通報
23.2.1.1 本学の全ての構成員は、不正行為を確信又は疑う場合には、通報することが強く奨励されます。通報は、不正行為の疑いのある者の上司(学生の場合は指導教員又は研究科長)又は別表1に定める通報窓口を通じて行うことができます。本学の構成員以外の者は、別表1に定める外部窓口を通じて通報することができます。通報を行う手続きについては、23.4.1.1に定めます。
23.2.1.2 不正行為の疑いについて通報を行う者は、誠意をもって客観的かつ合理的根拠に基づく通報を行うものとし、誹謗中傷その他の悪意(被通報者を陥れるため、又は被通報者が行う研究を妨害するためなど、専ら被通報者に何らかの損害を与えることや被通報者が所属する機関・組織に不利益を与えることを目的とする意思。)にもとづく動機により根拠のない通報や同一又は類似の内容に基づく通報(例、過去の通報と同一又は類似の事実関係に基づく通報、過去の通報に対する調査を対象とする通報等)を行ってはいけません。
23.2.1.3 通報の受付、調査の過程に関わる全ての役職員は、通報者を含む関係者の秘密保持の徹底を行わなければなりません。職員等でなくなった後も、同様とします。
前述した者は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏洩しないよう、これらの秘密の保持を徹底しなければなりません。
23.2.2 調査
23.2.2.1 不正行為の疑いの通報を受けたときは、案件に応じた手続き方法で事実や状況の確認を行います。
法令違反に係る調査の手続きについては、23.4.2、公的研究費の不正使用に係る調査の手続きについては、23.4.3、特定研究不正に係る調査の手続きについては、23.4.4に定めます。特定研究不正[Link: 23.7.6.2.1]以外の研究活動に係る調査については、必要に応じて23.4.4を準用します。
なお、通報の内容が、PRP及びその他の規程によりその対応について明確に規定されているときは、該当する担当部署へ事案を移送することがあります。この場合、通報窓口は、通報者に対し、移送した旨を通知しなければなりません。
23.2.2.2 通報の対象となった者や調査対象事案との間に利害関係をもつ者は、当該事案の調査に関与することはできません。
23.2.2.3 調査の結果は理事長・学長(重大な法令違反の可能性がある場合には理事長・学長、理事会及び監事)に報告するものとします。理事長・学長が利害関係を持つ場合には、当該報告は理事会及び監事に対し直接行うものとします。
23.2.2.4 通報の意思を明示しない相談や通報の意思表示がなされない場合、報道や会計検査院等の外部機関からの指摘による場合、学会等の科学コミュニティにより特定研究不正行為の疑いが指摘された場合、特定研究不正行為の疑いがインターネット上に掲載されている場合など、通報の受付によらない事案も、本学は通報があった場合に準じた取扱いができるものとします。
23.2.3 報復的取扱いに関する申立て
23.2.3.1 通報者は、不正行為の可能性又は疑いについて誠実な通報を行ったことに対して、報復的な取扱いを受けた場合、又は、保護される開示を行う権利を妨害することを目的に、職務上の権限又は影響力を直接的又は間接的に行使され、又は行使を企てられた場合には、事務局長に対し報復的取扱いに関する申立てを行うことができます。
23.2.3.2 通報者又は通報を試みた者及び違法な命令に従うことを拒否した職員又は構成員が報復的取扱いに関する申立てを行った場合には、内部通報者保護に関する方針が適用されるものとします。
23.2.3.3 本学は、関連法令及び本学の基本方針・ルール・手続きに従い、内部通報者保護に関する方針に対する違反行為を防止又は是正するため、必要なあらゆる措置を講じます。
23.2.3.4 事務局長は、報復的取扱いに関する申立てについて、当該申立ての原因となった事実及び状況を確認するため、調査を行います。
23.2.4
根拠のない通報又は申立てを行った者は、本学の内部通報者保護に関する方針の下で、保護される対象とはなりません。
23.3 責務
23.3.1 全ての職員及び学生
全ての職員及び学生は、本学の諸活動を統制する方針、法令、ルール又は規制に対する違反について、合理性のある根拠にもとづき誠実に通報することが求められます。また、職員及び学生は、不正行為の疑いに関する調査に対し、誠実に協力しなければなりません。
本学の全ての職員は、着任の際にオリエンテーションを受講しなければなりません。また、運営費補助金や競争的研究資金などの資金の適切な使用についてのルールを遵守するため、定期的に開催される研修も受講しなければなりません。これらのコンプライアンス研修の一環として、職員は、本学のルールを理解し遵守することに同意することが求められます。
23.3.2 理事長・学長
理事長・学長は、全ての不正の防止及び調査実施の最高管理責任者です。理事長・学長は、職員及び学生に対し、不正行為を通報する責務及び通報窓口について周知します。また、通報された事案について、速やかに検討し、結論を得なければなりません。
23.3.3 プロボスト及び教員担当学監
プロボストは、公的研究費の不正使用の通報の窓口となります。教員担当学監は、責任ある研究行為の統括管理責任者であり、研究活動における不正行為の通報の窓口となります。また、プロボスト及び教員担当学監は、理事長・学長の指示の下、関係部署に指示し、通報事案に関する事実関係の確認を行います。
23.3.4 事務局長
事務局長は、報復的取扱いに関する申立てへの対応を担当します。事務局長は、担当者と協力し、不正行為に関する通報を行った者に対する報復的取扱い又は不当な取扱いの疑いに対処するものとします。事務局長は、公的研究費の不正使用への対応と調査を取りまとめる統括管理責任者であり、公的研究費の運営・管理について機関全体を統括する実質的な責任と権限を有します。
23.3.5 最高内部監査責任者
最高内部監査責任者は、法令、本学の寄附行為、学則及びPRPに違反する行為(公的研究費の不正使用、ハラスメントその他の係争に係るものを除く)に関する通報の窓口となり、調査を担当します。また、秘密又は匿名での通報窓口(ホットライン)を管理します。また、最高内部監査責任者は、各担当部署が、定められた手続きに従って通報を処理し、相互の協力を行うことを調整します。重大な法令違反の恐れがある場合には、最高内部監査責任者は、理事長・学長、理事会及び監事との連絡調整を行います。
23.4 手続き
23.4.1 不正行為の通報窓口
23.4.1.1 不正行為の通報は、不正行為を行っている疑いのある者を管理監督する立場にある者又は下記別表に掲げる通報窓口に行うことができます。管理監督者には、以下の者が含まれます。
職員に不正行為の疑いがある場合:所属部門の上司
学生に不正行為の疑いがある場合:指導教員又は研究科長
教員に不正行為の疑いがある場合:教員担当学監
別表1:不正行為の通報窓口
事案の種類 | 通報窓口 | |
---|---|---|
内部窓口 | 外部窓口 | |
(PRP23.4.2) 法令違反 |
最高内部監査責任者 内部監査セクションリーダー |
不正通報ホットライン |
(PRP23.4.3) 公的研究費の不正使用 |
プロボスト 准副学長(研究財務・事務企画担当) 公募型研究費の不正使用については、外部研究資金セクションマネジャー又は事業開発セクションマネジャーに通報することもできます。 |
|
(PRP23.4.4) 研究活動における不正 |
教員担当学監 |
※利益相反に関する通報は、事務局長又は法令・コンプライアンスセクションリーダーに、ハラスメントや人事上の係争については副学長(人事担当)又はRWAHホットラインに通報することができます。
23.4.1.1.1 通報者は、不正行為の疑いについて、各通報窓口にEメール、書面又は電話で通報することができます。
迅速な調査を実施するためにも、可能な限り、通報シートを用いて通報することが推奨されます。
23.4.1.1.2 原則として、通報は顕名により行われ、不正行為を行ったとする者、不正行為の態様等、事案の内容が明示され、かつ合理性のある理由が示されているもののみが受付けられます。
23.4.1.1.3 [23.4.1.1.2]に関わらず、通報者は、不正行為の疑いについて、Eメール、書面又は電話により、上記の不正通報ホットラインに匿名で通報することができます。本ホットラインは、秘密を保持するために外部機関に設置されています。本ホットラインに匿名で通報があった場合、本学は、事案の内容に応じ、顕名の通報があった場合に準じて取り扱います。
23.4.1.1.4 通報窓口担当者は、通報窓口に不正に関する重要な通報があったときは、速やかに最高内部監査責任者、プロボスト又は教員担当学監にその旨を報告しなればなりません。
23.4.1.1.5 通報窓口担当者は、通報事案に関する調査を行うべき機関に本学が該当しない場合は、調査機関に該当する機関に当該通報を回付します。他機関より不正行為の疑いに関する通報の回付があった場合は、本学に通報があったものとして当該通報を取り扱います。また本学に加え、ほかにも調査を行う機関が想定される場合は、該当する機関に当該通報について通知します。
23.4.1.1.6 通報窓口担当者は、書面による通報など、通報窓口が受け付けたか否かを通報者が知り得ない方法により通報がなされた場合は、通報者(匿名による通報者を除く。ただし、調査結果が出る前に通報者の氏名が判明した後は顕名による通報者として取り扱う。以下同じ。)に、通報を受け付けたことを通知します。
23.4.1.1.7 相談の内容が、不正行為が行われようとしている、又は研究活動上の不正行為を求められている等である時は、通報窓口担当者は、最高内部監査責任者、プロボスト又は教員担当学監に報告します。
23.4.1.2 個人情報保護法に違反する犯罪行為が生じ、又はまさに生じようとしている場合には、内閣府沖縄振興局沖縄科学技術大学院大学企画推進室にも書面で通報することができます。
23.4.2 法令違反に係る調査の手続き
23.4.2.1 予備調査
23.4.2.1.1 最高内部監査責任者は、通報に係る事案について予備調査が必要であると認めたときは、内部監査セクションに予備調査を行わせることができます。最高内部監査責任者は、予備調査を行うときは、当該通報の信憑性、合理性及び目的並びに調査を行うことの合理性や妥当性等について調査します。
23.4.2.1.2 最高内部監査責任者は、通報の受付から 30日以内に通報の内容の信憑性、合理性及び目的並びに調査を行うことの合理性や妥当性等を確認の上、本調査の要否を判断するものとします。ただし、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、最長60日まで上記期間を延長することができます。この場合、最高内部監査責任者は、通報者に対し、延長の期間と理由を書面により通知しなければなりません。最高内部監査責任者長は、本調査を実施することを決定したときは、本調査の開始を理事長・学長及び通報者に通知するものとし、本調査を実施しないと判断した場合は、調査しない旨をその理由と併せて通報者に通知するものとします。
23.4.2.2 本調査
23.4.2.2.1 理事長・学長は、本調査の実施が決定されたときは、最高内部監査責任者及び内部監査セクションに指示して、速やかに事実関係を調査させなければなりません。ただし理事長・学長は、必要に応じ、コンプライアンス調査委員会を設け、当該コンプライアンス調査委員会に本調査を行わせることができます。コンプライアンス調査委員会は、最高内部監査責任者が委員長を務め、案件毎に必要であると認める者を招集して組織します。コンプライアンス調査委員会の事務は、内部監査セクションで行ないます。
23.4.2.2.2 コンプライアンス調査委員会は、法令違反の有無、関与した者及びその関与の程度等について調査するものとします。委員会は、被通報者に対し関係資料の提出、事実の証明、事情聴取その他調査に必要な事項を求めることができます。
23.4.2.2.3 コンプライアンス調査委員会は、認定を行うに当たっては、あらかじめ被通報者に対し、調査した内容を通知し、意見を求めるものとします。被通報者は、前項の調査内容の通知日から 起算して30日以内にコンプライアンス調査委員会に意見を提出することができるものとします。この場合において、被通報者から意見の提出があったとき又は意見がないの申し出があったときは、コンプライアンス調査委員会は、30日を経過する前であっても認定を行うことができます。
23.4.2.3 認定
コンプライアンス調査委員会は、調査の結果に基づき、法令違反の有無について認定を行い、認定を含めた調査結果を理事長・学長に報告しなければなりません。理事長・学長は、被通報者に対し、調査結果を通知するものとします。
23.4.2.4 不服申立て
被通報者は、調査結果の通知日から起算して14日以内に理事長・学長に不服申立てを行うことができるものとします。理事長・学長は、不服申立てがあったときは、理事長・学長の判断によりコンプライアンス調査委員会に対し、再調査の実施を指示することができます。この場合において、不服申立ての趣旨、理由がコンプライアンス調査委員会の構成等その公正性に関するものであるときは、理事長・学長の判断によりコンプライアンス調査委員会の委員を変更することができるものとします。再調査の指示があったときは、コンプライアンス調査委員会は速やかに再調査を行い、その結果を理事長・学長に報告するものとします。理事長・学長は、不服申立てに対する決定を行い、その結果を被通報者及びコンプライアンス調査委員会に通知するものとします。理事長・学長は、再調査を実施しないことを決定したときは、再調査をしない旨をその理由と併せて被通報者及びコンプライアンス調査委員会に通知します。被通報者は、前出の決定に対して、再度不服申立てをすることはできません。
23.4.2.5 通知及び報告
理事長・学長は、調査結果を通報者、被通報者、関連する部署の長に通知するとともに、関係者の処分が行われる場合には、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に対し、原則として通報の受付から210日以内に、関係者の処分、不正の発生要因、再発防止策等必要事項を加えて報告しなければなりません
23.4.2.6 調査結果の公表
理事長・学長は、法令違反があったと認められたときは、理事長・学長が合理的な理由によりそれを不開示とする必要があると認めた場合を除き、速やかに調査結果を公表するものとします。この場合において、公表する内容は、関係者の氏名の開示を基本とし、その他の情報についても特に不開示とする必要が認められる場合を除き、公表するものとします。また、調査事案が学外に漏洩していた場合及び社会的影響の大きい重大な事案の場合は、必要に応じて当該調査の途中であっても中間報告として公表することができるものとします。
23.4.2.7 通報者及び被通報者に対する措置
23.4.2.7.1 不正が行われたとの認定があった場合、理事長・学長は、不正への関与が認定された者に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な懲戒処分を行うものとします。
23.4.2.7.2 通報が悪意にもとづくものと認定された場合、理事長・学長は、当該通報者に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な懲戒処分を行います。
23.4.3 公的研究費の不正使用に係る調査の手続き
23.4.3.1 予備調査
23.4.3.1.1 理事長・学長は、通報に係る事案について予備調査が必要であると認めたときは、プロボストに予備調査を行わせることができます。プロボストは、理事長・学長から予備調査を行うよう指示があったときは、当該通報の信憑性等について調査するものとし、指示を受けた日から14日以内にその結果を理事長・学長に報告するものとします。ただし、プロボストが被通報者である場合又は通報者若しくは被通報者と直接の利害関係を有している場合、予備調査においてプロボストが権限を有する事項は、事務局長が行います。
23.4.3.1.2 理事長・学長は、通報の受付から30日以内に通報の内容の合理性を確認の上、本調査の要否を判断するとともに本調査を開始する場合には、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に報告するものとします。理事長・学長は、本調査を実施することを決定したときは、調査の開始を通報者に通知するものとし、本調査を実施しないことを決定した場合、その旨をその理由と併せて通報者に通知するものとします。
23.4.3.2 本調査
23.4.3.2.1 理事長・学長は、本調査の実施を決定したときは、公的研究費調査委員会を設置し、速やかに事実関係を調査させなければなりません。公的研究費調査委員会は、プロボストが委員長を務め、下記の中から案件毎に必要であると認める者を招集して組織します。ただし、プロボストが被通者である場合又は通報者若しくは被通報者と直接の利害関係を有している場合、本調査においてプロボストが権限を有する事項は、事務局長が行います。公的研究費調査委員会の事務は、プロボストオフィスが行います。
- プロボスト
- 統括弁護士
- 事務局長
- 副学長(財務担当)
- 教員担当学監
- 副学長(人事担当)
- 准副学長(研究財務・事務企画担当)
- 内部監査セクションリーダー
- 経理セクションマネジャー
- 外部研究資金セクションマネジャー
- 事業開発セクションマネジャー
- その他委員長が必要と認める者
23.4.3.2.2 公的研究費調査委員会は、公的研究費の不正使用の有無、不正使用の内容、関与した者及びその関与の程度、不正使用の相当額等について調査するものとします。公的研究費調査委員会は、本調査の実施に際し、調査方針、調査対象及び方法等を協議しなければなりません。公的研究費調査委員会は、被通報者に対し、関係資料の提出、事実の証明、事情聴取その他調査に必要な事項について協力を求めることができます。また、必要に応じて、被通報者に対し調査対象制度の公的研究費の使用停止を命ずることができます。
23.4.3.2.3 公的研究費調査委員会は、認定を行うに当たっては、あらかじめ被通報者に対し、調査した内容を通知し、意見を求めるものとします。被通報者は、前項の調査内容の通知日から起算して30日以内に公的研究費調査委員会に意見を提出することができるものとします。この場合において、被通報者から意見の提出があったとき又は意見がない旨の申し出があったときは、公的研究費調査委員会は、30日を経過する前であっても認定を行うことができます。
23.4.3.3 認定
公的研究費調査委員会は、調査の結果に基づき、公的研究費の不正使用の有無及び不正の内容、関与した者及びその関与の程度、不正使用の相当額等について認定を行い、認定を含めた調査結果を理事長・学長に報告しなければなりません。
23.4.3.4 通知及び報告
23.4.3.4.1 理事長・学長は、前項による報告に基づき、その調査結果を通報者、被通報者、関連する部署の長に通知するとともに、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に対しては、原則として通報の受付から210日以内に、関係者の処分、不正使用の発生要因、不正使用に関与した者が関わる調査対象制度以外の公的研究費の管理監査体制の状況、再発防止策等の必要事項を加えて報告しなければなりません。理事長・学長は、被通報者に対し、調査結果を通知するものとします。
23.4.3.4.2 理事長・学長は、調査の途中であっても、不正の事実が一部でも確認された場合には、速やかに認定し、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に報告します。そのほか、配分機関、内閣府又は関係省庁から要請があった場合には、調査の終了前であっても、調査の進捗状況を報告し、又は調査の中間報告を提出するとともに、監事にその旨を報告しなければなりません。また、調査に支障がある場合や、個人の権利を不当に侵害するおそれがある場合等、正当な事由がある場合を除き、配分機関、内閣府又は関係省庁から要請があった場合は、当該事案に係る資料の提出又は閲覧、現地調査に応じなければなりません。
23.4.3.5 不服申立て
被通報者は、調査結果の通知日から起算して14日以内に理事長・学長に不服申立てを行うことができるものとします。理事長・学長は、不服申立てがあったときは、理事長・学長の判断により公的研究費調査委員会に対し、再調査の実施を指示することができます。この場合において、不服申立ての趣旨が公的研究費調査委員会の構成等その公正性に関するものであるときは、理事長・学長の判断により公的研究費調査委員会の委員を変更することができるものとします。再調査の指示があったときは、公的研究費調査委員会は速やかに再調査を行い、その結果を理事長・学長に報告するものとします。理事長・学長は、不服申立てに対する決定を行い、その結果を被通報者及び公的研究費調査委員会に通知するものとします。理事長・学長は、再調査を実施しないことを決定した場合は、その旨をその理由と併せて被通報者及び公的研究費調査委員会に通知するものとします。被通報者は、前出の決定に対して、再度不服申立てをすることはできません。
23.4.3.6 調査結果の公表
理事長・学長は、不正使用があったと認められたときは、理事長・学長が合理的な理由によりそれを不開示とする必要があると認めた場合を除き、速やかに調査結果を公表するものとします。この場合において、公表する内容は、関係者の氏名を開示することを基本とし、その他の情報についても特に不開示とする必要が認められる場合を除き、公表するものとします。また、調査事案が学外に漏洩していた場合及び社会的影響の大きい重大な事案の場合については、必要に応じて当該調査の途中であっても中間報告として公表することができるものとします。
23.4.3.7 通報者及び被通報者に対する措置
23.4.3.7.1 理事長・学長は、報告の結果、不正使用が行われたとの認定があった場合、不正使用への関与が認定された者に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な懲戒処分を行うものとします。
23.4.3.7.2 理事長・学長は、報告の結果、当該配分機関、内閣府又は関係省庁から不正使用に係る公的研究費の返還命令を受けたときは、被通報者に当該額を返還させることができます。不正使用の内容が私的流用である等、悪質性が高い場合は、必要に応じて法的措置を講ずるものとします。
23.4.3.7.3 理事長・学長は、報告の結果、不正使用が認められなかったときは、必要に応じて通報者及び被通報者への不利益発生を防止するための措置を講ずるものとします。
23.4.3.7.4 理事長・学長は、報告の結果、通報が悪意に基づくものと認定された場合、当該通報者に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な懲戒処分を行います。
23.4.4 特定研究不正行為に係る調査の手続き
23.4.4.1 予備調査
予備調査は、正式な本調査が必要かどうかを決めるために、以下の指針に従って実施されます。
23.4.4.1.1 教員担当学監は、下記の中から案件毎に必要であると認める者とともに、速やかに予備調査委員会を設立し、通報された特定研究不正行為が行われた可能性及び、通報の際示された科学的根拠の合理性を評価し、本調査を行うべきか否かを決定します。ただし、教員担当学監が被通報者である場合又は通報者若しくは被通報者と直接の利害関係を有している場合、予備調査において教員担当学監が権限を有する事項は、プロボスト又は事務局長が行います。全ての調査委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係を有しない者でなければなりません。
- 教員担当学監
- 統括弁護士
- 研究担当ディーン
- 教授会議長
- 外部有識者
- その他教員担当学監が必要と認める者
23.4.4.1.2 教員担当学監は、通報がなされる前に取り下げられた論文等に対する通報に係る予備調査を行う場合は、取り下げに至った経緯・事情を含め、特定研究不正行為の問題として本調査すべきものか否か調査し、判断します。
23.4.4.1.3 教員担当学監は、通報の対象となっている研究に対する財源を確認します。予算セクションや外部研究資金セクションなど、当該財源の担当部署は、財源の内容について教員担当学監に報告します。
23.4.4.1.4 教員担当学監は、通報を受け付けた後、30日以内に本調査を行うか否かを決定し、理事長・学長に内容を報告します。
23.4.4.1.5 本調査を行わないことを決定した場合、教員担当学監はその旨を理由とともに通報者に通知しなければなりません。この場合、教員担当学監は予備調査に係る資料等を保存し、その事案に係る配分機関、内閣府、関係省庁及び通報者の求めに応じ開示しなければなりません。
23.4.4.1.6 予備調査の報告書とその関連書類は、本学において7年間保管されます。
23.4.4.2 本調査
本調査は、本調査委員会が行います。本調査委員会は、教員担当学監が委員長を務め、下記の中から案件毎に必要であると認める者を招集して組織します。本学の教員及び外部委員については、教員担当学監が研究分野に基づいて選定します。ただし、教員担当学監が被通報者である場合又は通報者若しくは被通報者と直接の利害関係を有している場合、本調査において教員担当学監が権限を有する事項は、プロボスト又は事務局長が行います。本調査委員会の事務は、教員担当学監オフィスが行います。全ての調査委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係を有しない者でなければなりません。
- 教員担当学監
- 統括弁護士
- 研究担当ディーン
- 教授会議長
- 外部有識者(本調査委員会委員の半数以上)
- その他委員長が必要と認める者
23.4.4.2.1 通知
本調査を行うことを決定した場合、理事長・学長は、通報者及び被通報者に対し、本調査を行うことを文書により通知し、調査への協力を求めます。被通報者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知します。委員長は、本調査委員会を設置したときに、調査委員の氏名や所属を通報者及び被通報者に示します。これに対し、通報者及び被通報者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に異議申立てをすることができます。異議申し立てがあった場合、委員長は内容を精査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員を交代させるとともに、その旨を通報者及び被通報者に通知します。通報された事案の調査に当たっては、通報者が了承したときを除き、調査関係者以外の者や被通報者に通報者が特定されないよう周到に配慮しなければなりません。
- 教員担当学監は、理事長・学長、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に本調査を行う旨報告します。
- 本調査の実施の決定後、30日以内に本調査を開始するものとします。
23.4.4.2.2 調査方法・権限
- 本調査は、通報された事案に係る研究活動に関する論文や実験・観察ノート、生データ等の各種資料の精査や、関係者のヒアリング、再実験の要請などにより行われます。この際、被通報者の弁明の聴取が行われなければなりません。
- 通報された特定研究不正行為が行われた可能性を調査するために、本調査委員会が再実験などにより再現性を示すことを被通報者に求める場合、又は被通報者自らの意思によりそれを申し出て本調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)に関し本調査委員会が合理的に必要と判断される範囲内において行うことができるよう措置します。その際は、本調査委員会の指導・監督の下に行われます。
- 本調査に関して、本調査委員会は他の機関に必要な調査を依頼することができます。
- 前3項に関して、本調査委員会は、関係者に資料を提出させる、ヒアリングを行う、再実験を行わせる、本学に対して合理的に必要とされる経費を支出させる等の権限を有しています。また、この調査権限に基づく本調査委員会の調査に対し、通報者及び被通報者などの関係者は誠実に協力しなければなりません。
23.4.4.2.3 調査の対象となる研究活動
調査の対象には、通報された事案に係る研究活動のほか、本調査委員会の判断により調査に関連した被通報者の他の研究活動も含めることができます。
23.4.4.2.4 証拠の保全措置
本調査委員会は本調査に当たって、通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となるような資料等を保全する措置をとります。本学以外の場所で、通報された事案に係る研究活動が行われていた場合は、当該機関に通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となるような資料等を保全する措置をとるよう要請します。これらの措置に影響しない範囲内であれば、被通報者の研究活動を制限しません。
23.4.4.2.5 調査の中間報告
理事長・学長は、通報された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした配分機関内閣府、又は関係省庁から要請があった場合には、調査の終了前であっても、調査の中間報告を当該配分機関、内閣府又は関係省庁に提出するとともに、監事にその旨を報告します。
23.4.4.2.6 調査における研究又は技術上の情報の公開
調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう十分配慮されなければなりません。被通報者が複数で、かつそれぞれの関与が同一のものではないと判明した場合、機密保持のため個別の調査報告書が作成されることがあります。
23.4.4.3 認定
23.4.4.3.1 認定
- 本調査委員会は、本調査を開始してから150日以内に調査結果をまとめ、特定研究不正行為が行われたか否かを認定します。
- 本調査委員会は、特定研究不正行為と認定された場合はその内容、特定研究不正行為に関与した者とその関与の度合い、特定研究不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割を認定します。
- 特定研究不正行為が行われなかったと認定される場合であって、調査を通じて通報が悪意に基づくものであることが判明したときは、本調査委員会は、併せてその旨の認定を行います。この認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければなりません。
- 前3項について認定を終了したときは、本調査委員会は直ちに理事長・学長に報告します。
23.4.4.3.2 特定研究不正行為の疑惑への説明責任
本調査委員会の調査において、被通報者が通報された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法と手続にのっとって行われたこと、論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければなりません。
23.4.4.3.3 特定研究不正行為か否かの認定
- 本調査委員会は、上記 23.4.4.3.2 により被通報者が行う説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被通報者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、特定研究不正行為か否かの認定をおこなわなければなりません。証拠の証明力は、本調査委員会の判断に委ねられますが、被通報者の研究体制、データチェックのなされ方など様々な点から客観的不正行為事実及び故意性等を判断することが重要です。なお、被通報者の自認を唯一の証拠として特定研究不正行為と認定することはできません。
- 特定研究不正行為に関する証拠が提出された場合には、被通報者の説明及びその他の証拠によって、特定研究不正行為であるとの疑いが覆されないときは、特定研究不正行為と認定されます。また、被通報者が生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在など、本来存在するべき基本的な要素の不足により、特定研究不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも同様とします。ただし、被通報者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず、その責によらない理由(例えば災害など)により、上記の基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合はこの限りではありません。また、生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在などが、本学の研究データ、ラボノート、研究試料及び化学物質の保存及び開示に関するガイドライン又は通報に係る研究活動を行っていたときに所属していた研究機関が定める保存期間を超えることによるものである場合についても同様とします。
- 前2項の説明責任の程度及び前項の本来存在するべき基本的要素については、研究分野の特性に応じ、本調査委員会の判断に委ねられます。
- 本調査の報告書とその関連書類は、本学において7年間保管されます。
23.4.4.3.4 調査結果の通知及び報告
- 理事長・学長は、調査結果(認定を含む。以下同じ。)を速やかに通報者及び被通報者(被通報者以外で特定研究不正行為に関与したと認定された者を含む。以下同じ。)に通知します。被通報者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも当該調査結果を通知します。
- 前項に加えて、理事長・学長は、理事会、監事、配分機関、内閣府及び関係省庁に当該調査結果を報告します。
- 悪意に基づく通報との認定があった場合、本学は通報者の所属機関にも通知します。
23.4.4.3.5 不服申立て
- 特定研究不正行為と認定された被通報者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、理事長・学長に不服申立てをすることができます。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできません。
- 通報が悪意に基づくものと認定された通報者(被通報者の不服申立ての審査の段階で悪意に基づく通報と認定された者を含む。この場合の認定については、上記「23.4.4.3.3 認定」を準用する。)は、その認定について、前項の例により不服申立てをすることができます。
- 不服申立ての審査は本調査委員会が行います。その際、不服申立ての趣旨が新たに専門性を要する判断が必要となるものである場合には、理事長・学長は、調査委員の交代若しくは追加、又は本調査委員会に代えて他の者に審査をさせます。ただし、理事長・学長が当該不服申立てについて本調査委員会の構成の変更等を必要とする相当の理由がないと認めるときは、この限りではありません。
- 特定研究不正行為があったと認定された場合に係る被通報者による不服申立てについて、本調査委員会(上記 iii)の本調査委員会に代わる者を含む。以下「23.4.4.3.5 不服申立て」において同じ。)は、不服申立ての趣旨、理由等を勘案し、その事案の再調査を行うか否かを速やかに決定します。当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに理事長・学長に報告し、理事長・学長は被通報者に当該決定を通知します。このとき、当該不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とすると本調査委員会が判断するときは、理事長・学長は以後の不服申立てを受け付けないことができます。上記i)の不服申立てについて、再調査を行う決定を行った場合には、本調査委員会は被通報者に対し、先の調査結果を覆すに足る資料の提出等、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めます。その協力が得られない場合には、再調査を行わず、審査を打ち切ることができます。その場合には直ちに理事長・学長に報告し、理事長・学長は被通報者に当該決定を通知します。
- 理事長・学長は、被通報者から特定研究不正行為の認定に係る不服申立てがあったときは、通報者に通知します。加えて、理事長・学長は、その事案に係る配分機関、内閣府、関係省庁及び監事に報告します。不服申立ての却下及び再調査開始の決定をしたときも同様とします。
- 本調査委員会が再調査を開始した場合は、50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに理事長・学長に報告し、理事長・学長は当該結果を被通報者、被通報者が所属する機関及び通報者に通知します。加えて、理事長・学長は、その事案に係る配分機関、内閣府、関係省庁及び監事に報告します。
- 上記 ii)の悪意に基づく通報と認定された通報者から不服申立てがあった場合、理事長・学長は、通報者が所属する機関及び被通報者に通知します。加えて、本学は、その事案に係る配分機関、内閣府、関係省庁及び監事に報告します。
- 上記 ii)の不服申立てについては、本調査委員会は30日以内に再調査を行い、その結果を直ちに理事長・学長に報告するものとします。本学は、当該結果を通報者、通報者が所属する機関及び被通報者に通知します。加えて、本学は、その事案に係る配分機関、内閣府、関係省庁及び監事に報告します。
23.4.4.3.6 調査結果の公表
- 理事長・学長は、特定研究不正行為が行われたとの認定があった場合は、認定した特定研究不正行為の種別、研究者、経費・研究課題、不正行為の具体的な内容及びその他必要な事項を含む調査結果を、速やかに公表します。
- 理事長・学長は、特定研究不正行為が行われなかったとの認定があった場合は、原則として調査結果を公表しません。ただし、調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表します。悪意に基づく通報の認定があったときは、調査結果を公表します。
- 理事長・学長は、調査事案が漏えいした場合は、通報者及び被通報者の了解を得て、調査中に関わらず調査事案について公に説明することができます。ただし、通報者又は被通報者の責により漏えいした場合は、当人の了解は不要とします。
23.4.4.3.7 通報者及び被通報者に対する措置
- 特定研究不正行為が行われたとの認定があった場合、理事長・学長は、特定研究不正行為への関与が認定された者及び関与したとまでは認定されないが、特定研究不正行為が認定された論文等の内容について責任を負う者として認定された著者(以下「被認定者」という。)に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な処置をとるとともに、特定研究不正行為と認定された論文等の取下げを勧告します。
- 通報が悪意に基づくものと認定された場合、理事長・学長は、当該者に対し、第38章「懲戒」に基づき適切な処置を行います。
- 相当な理由なしに、単に通報がなされたことのみをもって、被通報者の研究活動を部分的又は全面的に禁止することや、解雇、降格、減給その他不利益な取り扱いを行ってはいけません。
23.4.4.3.8 競争的資金等の返還並びに競争的資金等への申請及び参加資格
- 特定研究不正行為の認定に伴い、配分機関から競争的資金等の一部又は全部の返還が求められた場合は、被認定者及び本学はその要請に誠実に対応するものとします。
- 認定者は、競争的資金等への申請及び参加資格が制限される可能性があります。外部研究資金セクション及び事業開発セクションは、同制限に関する情報を把握し、申請処理を適切に管理します。
23.4.5 報復的取扱いに関する申立てを事務局長に提出する方法
23.4.5.1 報復的取扱いに関する申立ては、疑わしい行為又は妨害若しくは報復の恐れがあった後できるだけ速やかに、事務局長に提出しなければなりません。
23.4.5.2 申立ての用件及び基準
この内部通報者保護に関する方針に基づいて、報復的取扱いに関する申立てを提出する場合には、書面にて申立てを行い、日付、関係のある人物の氏名、報復的取扱いと思われる行為等の必要な事実や状況を詳細に記載しなければなりません。申立て者は、次に掲げる事項を立証する事実を示さなければなりません。
- 申立て者が、特定の不正行為について、通報を行い又は保護される開示を行ったこと
- 申立て者が、脅迫、強要、命令を受け、又は脅迫により不正行為の通報を妨げられたこと
- 申立て者が、違法な命令に従うことを拒否したこと
23.4.5.3 報復的取扱いに関する申立てに関する調査は、法令違反に関する調査を必要に応じて準用します。
23.5 様式
23.5.1
23.6 連絡先
23.6.1 本方針の所管
事務局長
プロボスト
研究担当ディーン
教員担当学監
最高内部監査責任者
23.6.2 その他の連絡窓口
プロボストオフィス
研究担当ディーンオフィス
教員担当学監オフィス
内部監査セクション
外部研究資金セクション
事業開発セクション
安全衛生セクション
23.7 定義
23.7.1 配分機関
競争的資金、その他の公募型の研究資金の配分又は措置をする機関。
23.7.2 予備調査
予備的な情報収集及び予備的な実情調査で構成され、これにより、不正行為の通報あるいは不正行為と疑われるような事実が、実質を伴うか否かを判断します。予備調査の結果により、本調査が行われるべきか否か決定されます。
23.7.3 本調査
不正行為の有無を裁定するための、関連事実の正式な調査及び評価です。
23.7.4 根拠のない通報又は申立て
事実の重大な見落し又は虚偽により行われた通報又は申立て、及び不誠実な意図を持って行われた通報又は申立てをいいます。このような通報・申立てを行った者は、本学による懲戒処分の対象となり、また、当該行為により不当な通報・申立ての対象となった者による法的請求を受ける可能性があります。
23.7.5 違法な命令
日本の法令、条例、規制に違反させ、又は違反を手助けする命令、並びに本学の基本方針・ルール・手続き(PRP)に違反させ、又は違反を手助けする命令をいいます。
23.7.6 不正行為
沖縄科学技術大学院大学(本学)と関係ある者(職員、学生、取引業者を含みますが、これに限定されません)による、日本の法令又は本学の寄附行為学則及び基本方針・ルール・手続き(PRP)に違反する行為(法令違反)及び研究活動における不正行為をいいます。法令違反には公的研究費の不正使用が含まれます。
23.7.6.1 法令違反
法令、本学の寄附行為、学則及びPRPに違反する行為
23.7.6.1.1 公的研究費の不正使用
公的研究費の不正使用とは、運営費補助金、科研費等の競争的資金や委託費等を財源として本学で扱う全ての公的な研究経費を使用して、架空請求に係る業者への預け金、実体を伴わない旅費、給与又は謝金の請求等、虚偽の書類によって本学の規程及び法令等に違反した行為をいいます。
23.7.6.2 研究活動における不正行為
研究活動における不正行為とは、研究活動や研究成果の発表において、その本質ないし本来の趣旨を歪め、科学コミュニティの正常な科学的コミュニケーションを妨げる行為をいいます。具体的には得られたデータや研究結果のねつ造、改ざん、盗用及び研究者倫理に反する行為等が該当し、またこれらに限定されず、個々の事案に応じて判断されます。
23.7.6.2.1 特定研究不正行為
故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、投稿論文など発表された研究成果の中に示されたデータや研究結果のねつ造、改ざん及び盗用です。
- ねつ造:存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
- 改ざん:研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
- 盗用:他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。
なお、研究活動における不正行為は、特定研究不正行為に限定されるものではありません。
23.7.7 職務上の権限又は影響力の行使
利益供与及びその約束、報復的取扱いの実行又はその脅迫、人事的措置(任命、昇進、転任、選任、業績評価、停職その他の懲戒処分を含みますが、これに限定されません)の実施、又は他者による実施の命令、提言、処理又は承認をいいます。
23.7.8 保護された開示
不正行為の疑いを開示し、又は開示しようとする意思を公表する誠実な情報伝達をいいます。
23.7.9 報復的取扱いに関する申立て
保護された開示を行ったことに対する又は違法な命令を拒否したことに対する報復的取扱いがあったことを主張する、若しくは保護された開示をしようとしたことに対する妨害があったことを主張する職員又は第三者による申立てであって、申立て内容が真実である旨の供述又は申立て者が真実であると確信している旨の供述と併せて提出する書面による申立てをいいます。