入居企業インタビュー: MTG Ventures

OIST発スタートアップ「EF Polymer」の初期投資家であり、地域課題解決に取り組むスタートアップへの投資を行う株式会社MTG Venturesの代表パートナー 伊藤仁成氏に、OISTとの関わりやイノベーションインキュベーターに入居した理由、そして今後感じている可能性について伺いました。

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貴社の事業内容について教えてください。

私たちは名古屋を拠点とするベンチャーキャピタルです。MTGのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)としてスタートし、2022年には外部LP(リミテッド・パートナー)からの出資を集め、地域課題の解決に取り組むスタートアップに投資するファンドを新たに設立しました。現在、2つのファンドを運用しています。地域課題は日本全体に共通するものであり、それを解決するビジネスの支援を通じて、新たな産業の創出や既存産業の発展、日本の未来に貢献できると考えています。 

MTG VenturesはOIST発スタートアップ・EF Polymerの最初期の投資家であることに加え、さらにインキュベーター入居や企業会員プログラム(INO)への加盟など、OISTと深い関わりを持っていますが、そもそもOISTと接点を持ったきっかけについて教えてください。

以前勤めていたベンチャーキャピタル時代からOISTのことは知っていました。きっかけはNewspicksの記事だったと思います。「こんな大学があるんだ!」と驚き、さらにアクセラレーター・プログラムが始まったことも知って注目していました。ただ、当時はコロナ禍もあり、遠方への投資は難しく、実際にOISTを訪れたのは現在のMTG Venturesに移ってからでした。

その時の沖縄訪問で出会った、当時OISTのメンターをされていたうむさんラボの大西 克典氏に誘っていただき、横浜で開催された展示会のOISTブースを訪問し、そこで当時OIST職員で現在はEF Polymer CFOの吉川氏や創業者のナラヤン氏と出会いました。その後EF Polymerへの出資を決定し、再度OISTを訪問した際に学長や関係者の皆さんと挨拶を交わしたことが、OISTとの関係の始まりです。

OISTイノベーションインキュベーターに入居した理由を教えてください。

もともとOISTに強い関心があり、インキュベーターの存在を知った際には、ぜひ入居したいと考えていました。

OISTイノベーションインキュベーターの利用方法を教えてください。

ホットデスクを1席借りています。出資先のEF Polymerに会いに沖縄に訪れる際にはサテライトオフィスとして利用しています。また、名刺にもOISTに拠点があることを記載し、OISTのエヴァンジェリストとして、出会った方々にその魅力を伝えています。

OISTイノベーションインキュベーターに入居するメリットとして感じていることを教えてください。

物理的な場所としての利用頻度は多くないですが、入居していることでインキュベーターの担当者の方が気にかけてくださり、沖縄訪問時には毎回5~6社の面会をセッティングしてもらえたり、イベントへの登壇のお誘いをいただいたりしています。オンライン上でも新しいスタートアップを紹介してもらう機会が増え、さまざまなつながりが生まれています。

また、OISTに拠点を置くことで、自分たちも常にOISTを意識し、最新のOIST研究情報や教育システムをキャッチアップするきっかけにもなっています。

どんな企業にOISTイノベーションインキュベーターへの入居をおすすめしたいですか?

テクノロジーを活用してビジネスを展開したい企業、特に事業会社におすすめです。OISTには世界中から優秀な研究者や他にないユニークな研究シーズが集まっているため、新たなビジネスのアイデアを探している企業にとって非常に魅力的な環境です。実際に私たちの親会社の研究開発メンバーにも紹介し、定期的にOISTを訪問しています。

また、スタートアップにとっても、実証フィールドを持つ事業会社と連携することで成長が加速することでしょう。研究開発や実証実験に積極的な事業会社がパートナーとして加わるとより魅力的なコミュニティができそうですね。

OISTイノベーションインキュベーターに今後期待することがあれば教えてください。

私たちは北海道から沖縄まで400社規模の事業会社コミュニティを運営しており、2~3か月に1回のペースで勉強会を開催しています。OISTとも連携し、何か一緒にイベントや交流の企画ができればと考えています。中部地域とOISTの接点をつくるお手伝いもできれば嬉しいですね。

また、現在OIST発スタートアップとしてはEF Polymerが飛躍していますが、彼らに続く成功事例をぜひ一緒に生み出していくことにチャレンジしていきたいです。

(取材日:2024年9月2日)

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