インキュベーター入居企業紹介:EF Polymer

OISTイノベーションインキュベーターでは多様な人や企業が集まり、独自のイノベーションエコシステムを形成しています。本記事では、環境に優しい超吸水性ポリマーを開発するEF Polymer株式会社 CFO 吉川弘志氏に、OISTイノベーションインキュベーターへ入居したきっかけや、OISTイノベーションインキュベーターの活用方法をお聞きしました。

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貴社の事業内容について教えてください。

私たちは環境に優しい超吸水性ポリマー、「EFポリマー(エコフレンドリーポリマー)」の製造・販売を行っています。EFポリマーは、干ばつ地域であるインド・ラージャスターン州の出身の創業者ナラヤンが、両親を含む地元の農家の悩みを解決したいとの思いから開発されました。

現在市場に流通する吸水性ポリマーは石油化学由来製品ですが、我々が作るポリマーは果物の皮や絞りかすなどの作物残渣を原料とし、100%オーガニックで完全生分解性を持つので、1年程で土に還ります。畑の土に混ぜることで水や肥料を保つ力を高め、収穫量を向上させることができるため、農業資材として販売を行っています。日本とインドで大きく売り上げが伸びてきており、現在は農業が盛んなアメリカやヨーロッパ、タイなどへの展開も進めています。

また、EFポリマーには農業資材以外にも化粧品の増粘剤、保冷剤、おむつ、生理用品等様々な活用可能性があり、そうした農業以外の用途については各業界の企業とパートナーシップを結び共同で開発を進めています。

OISTイノベーションインキュベーターに入居した理由を教えてください。

創業者のナラヤンがOISTのアクセラレータープログラムに参加していたので、プログラム卒業後にそのままの流れで入居した形です。

OISTイノベーションインキュベーター現在の利用方法を教えてください。

個室オフィスとシェアラボにベンチを契約し、オフィス及び研究開発拠点として使用しています。ただ、現在沖縄にいるメンバーだけで13名まで増えており、スペースが足りなくなっていることもあって、他にも県内の研究開発施設を契約しています。

OISTイノベーションインキュベーターに入居するメリットとして感じていることを教えてください。

OISTの支援が柔軟でかつ手厚いことです。機器の導入などについても入居企業のニーズをくみ上げてもらえることにとても助けられています。インキュベーターの他にもアクセラレータープログラムや様々なイベントやセミナーが頻繁に開催されていて、OISTや、沖縄県のスタートアップ支援への本気度の高さを感じます。

また、OISTのコミュニティへアクセスできる価値も大きいです。実は私自身も元OIST職員ですが、EFポリマーには現在OIST出身者が4名働いています。貴重な人材を引き抜く形となりOISTに対しては申し訳ない面もありますが、結果を出すことでお返ししていくつもりです。また、OISTがあることによって県外から集まった人材が沖縄県内のスタートアップに転職し、沖縄に人材として定着して新しい産業の成長に貢献していくことは、OISTが地域経済に提供している大きな価値といえると思います。

その他、OIST周辺には様々な国のインターナショナルなコミュニティがあるので、外国人のメンバーや、その家族が生活になじんでいく上で大きな助けになっています。

どんな企業にOISTイノベーションインキュベーターへの入居をおすすめしたいですか?

いまインキュベーターに集まっている企業の集積を見ると、バイオや農業系のスタートアップが相性が良いのではないかと思います。また、東京には数多くのスタートアップがいるので埋もれてしまいがちだと思いますが、沖縄だとみんなが手厚くサポートしてくれるので、沖縄での起業はおすすめです。

OISTイノベーションインキュベーターに今後期待することがあれば教えてください。

現施設は試験的につくられたものということもあり、温度や湿度の管理など、実験インフラとしては課題が多いので、より高いレベルの実験環境が整ってくれることに期待しています。また、OISTとの共同研究に取り組む大企業が入居するようなスペースもあるということなので、大企業との連携の機会があることも楽しみです。面積が広がることで広がる様々な可能性に期待しています。

(取材日:2024年8月14日)

 

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