立柱式:第2研究棟の整備が本格化

  来年秋に予定されている沖縄科学技術大学院大学(OIST)の開学に向け、沖縄県恩納村のキャンパスでは、昨年11月に着工した第2研究棟の建設が順調に進められています。この程、1階部分の床コンクリートが完成し、いよいよ鉄骨工事が始まりました。ジョン・ディキソン施設・建設部長は、OISTに新たに加わる研究者や学生の受入れ準備について、「すべてが予定どおり着実に進んでいます。第2研究棟は、2012年春の完成に向けて全体の15%の工事が終了しました。このまま予定どおり進めば、2012年6月には、新しい研究ユニットが移転を始めることができるはずです。」と説明しています。

  鉄骨工事は、垂直の鉄柱を立てることから始まります。第2研究棟に最初の柱が立てられたのは5月16日の朝。冷たい風が吹き雨も降りしきる中、建設作業員とスタッフが集まり、日本の伝統にならった「立柱式」が行われました。

  最先端の研究施設を整備するのに、なぜこのように伝統的な習わしに忠実なのか。長く日本に在住し、日本の建設業に数十年間携わってきたディキソン部長に尋ねてみました。ディキソン部長からは、「こうした儀式は、作業員の気持ちを引き締め、より良い仕事をする上で大事なことです。」との答えがありました。「このようなスタート切ることにより、その後の仕事への取り組み方にも大きく影響してくると思います。日本人はとてもまじめに働きます。そして、忍耐強く、すべて正確にやり遂げます。OISTの建設現場の作業員の方々も例外ではありません。日本は世界の他の国々と比べ、建設工事を行うには、素晴らしい環境の整った国です。」

  OISTは、単に慣習を受け入れ、それに従っているだけではありません。最先端の科学技術に取り組む国際的な研究機関でありながらも、日本、とりわけ沖縄の人々の習慣や伝統を尊重し、その文化を讃えることを大切にしています。そしてそれが、巡り巡って、仕事や勉学のために世界中からこの島に集う私たちの豊かな生活につながっているのだと思います。


式の終わりに挨拶をするジョン・ディキソン施設・建設部長


立柱式を終えてわずか数時間後には、すでにたくさんの鉄骨柱が森林の中にそびえ立ちました。これまでのキャンパス整備と同様、第2研究棟の建設も環境への影響を最小限におさえた上で実施されています。建設現場は造成による平らな土地はなく、緑豊かな自然に囲まれた島のように見えます。

(文:クーパー・マイケル、訳:今村仁美)

 

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