2013-03-13

OIST研究棟、持続可能な環境設計に世界的評価

 この度、OISTの第2研究棟が、その画期的な設計と建築手法により、国際的な建物環境性能評価指標であるLEEDの新築建物を対象としたグリーンビルディング認証を取得しました。環境にやさしい建築を評価する同認証を日本国内で取得した建築プロジェクトはわずか32件しかありません。現在OISTの第2研究棟が、同認証を受けた沖縄初の新築建物であり、全国で唯一の教育施設となります。研究施設に必要な電力量を考慮すると、これは特筆すべき快挙と言えます。

 OISTのジョン・ディキソン副学長(施設管理担当)は、「一部の国では、就職の際に、職場環境を見極める上でLEED認証に注目する動きもあるほどです。」と言います。

 LEEDは、米国グリーンビルディング協会(USGBC)が定める認証制度で、当初は北米の建築物を対象とした認定基準でしたが、今では国際標準指標として用いられ、同制度の認証を受けたプロジェクトは135か国で13,000件を超えます。同認証システムは各プロジェクトに対し、「水の効率的使用」「エネルギー・資源消費の最適化」「室内環境の質」「革新的な設計」「総合的な持続可能性」など様々な評価項目にポイントを付与します。 OISTはシルバー認証を取得しました。

 OIST第2研究棟は、設計に携わった日建設計、コーンバーグ・アソシエイツ、国建の三者による共同企業体や、工事を請け負った西松建設株式会社、新菱冷熱工業株式会社、東光電気工事株式会社をはじめとする企業により、環境に配慮した多数の技術が取り入れられました。例えば、鉄分を多く含んだ土が水路に流出するのを防ぐと同時に、回収した土は外構工事などに再利用されました。また、建物の出入り口から一定の距離内にシャトルバスと停留所を設置したことで、交通面においても点数が加算されました。加えて、本学キャンパスが空港からのバスの経路に含まれたことも高く評価されています。さらに、低排出ガス車(LEV)専用の駐車スペースを設置したことも評価の鍵となりました。

 ディキソン副学長は、「この点においては容易にポイントを獲得することができました。なぜなら日本車の多くは、排気量が2000cc以下の低排出ガス車だからです。」と話します。LEEDでは、複数の交通手段を確保することも評価の対象となるため、自転車を駐輪するための専用ロッカーの設置も評価に寄与しました。

 OISTは、10点中10点の満点を、水の効率的な使用において獲得しました。OISTではキャンパス内で使用する水を全て再利用しています。例えば、第2研究棟の超低速流トイレには、水処理施設で処理したリサイクル水を使用しています。手洗い場にはセンサーを設置し、水道水の消費を最小限にしています。また、キャンパス周りの散水などにも処理済みの水が再利用されています。

 コウモリなどの野生生物への影響を最小限に抑えるよう、照明を地面近くの低い位置に設置したことも評価されました。建物内では、部屋や廊下の照明に自然光を取り込む工夫がされています。また、省エネに役立つ照明の調整機能も加点につながりました。

 建設資材を800km圏内から調達したことも加点に寄与しました。OISTではコンクリートや石材の多くが、キャンパスから40kmほどの距離にある本部半島から調達されています。

 最後は、研究棟の革新的な設計です。外壁に設置されたユニークな日よけなどが評価されました。

 OISTのキャンパス設計を日本側から指揮した日建設計の岡本隆氏は、「美しい自然の真ん中に、前例のない国際的な研究施設をつくるのはとてつもない挑戦でした。」とふりかえります。そして、「我々の熱意と努力の賜物ともいえる建物が、その持続可能な環境設計に世界的評価を受けたことを大変嬉しく思います。」と感想を述べて下さいました。

 また、アメリカ側の責任者としてプロジェクトを指揮したケン・コーンバーグ氏はLEEDの意義を賞賛した上で、「通常、研究施設は空気や水を浄化したり、様々な研究機器を動かすのにも相当量の電力を必要とするので、LEEDの認証を受けることは容易ではありません。そうした中、OISTは次世代のために沖縄独自の生態系を守りながら、最先端の研究環境の整備に力を注いできました。」と語り、この度の評価について誇らしく思うと話して下さいました。

 施設管理ディビジョンの職員及び建築家にとっては、OIST第3研究棟の建設において、どのような点が改善可能かを認識する機会となりました。第3研究棟の建設について、「これまでより楽になる部分もあるはずです。」と、ディキソン副学長は期待を込めます。

 間もなく届くLEEDシルバー認証の楯は、第2研究棟の出入り口に飾られる予定です。

 

(ウェスト・エイミー )

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