青と緑の惑星:OISTと理研が生態学のシンポジウムを開催

OISTと理研が開催した合同シンポジウムで、相互理解と知識交換による研究協力に向けた第一歩を踏み出しました。

去る4月6日と7日の両日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と理化学研究所(理研)は、各機関が取り組んでいる生態学研究に焦点を当てた「第1回OIST-理研合同シンポジウム」をOISTキャンパスで開催しました。

このシンポジウムは、日本と世界の学術および科学技術の振興と人材育成を促進するために昨年締結された協定に基づいて開催され、両機関が緊密に連携することのメリットが強調されました。国際的ですが小規模で新しいOISTとは対照的に、理研は1917年に設立され、現在全国に7つのキャンパスを持ち、約3,000名の研究者が在籍する大規模な科学研究機関です。

このシンポジウムは、単に生態学的な研究を紹介するだけでなく、地球環境が直面している大きな課題への学際的アプローチを模索し、促進することを目的としています。各発表者は、最先端の研究や技術の紹介を交えながら、それぞれの考察を発表しました。

OISTプロボストのメアリー・コリンズ博士は、開会式で次のように挨拶しました。「今回のシンポジウムは、両機関の協力関係がさらに深まっていくきっかけとなることを確信しています。そして、国連が掲げる『持続可能な開発目標』に科学の力でどのように取り組むことができるかを議論する絶好の機会でもあります。」

シンポジウムで 開会の挨拶をするメアリー・コリンズ博士

理研の小寺秀俊博士は、次のように述べています。「科学は細かい専門分野に分かれており、研究者はそれぞれ独自の研究を行っています。現在の科学技術は非常に進歩しており、我々は機器や技術を駆使して課題を克服しています。両機関が協力することによって、解決策がいち早く見つかり、次の研究目標が達成しやすくなります。」

今回のシンポジウムが、両機関の相互理解と知識交換を通じて将来の協力関係や連携につながる第一歩であることを博士は強調しています。

合同シンポジウムに参加する理化学研究所理事の小寺秀俊博士

シンポジウムの1日目は、OISTと理研の研究者が交代で研究発表を行い、ジンベイザメの生態からプラスチックの生分解性、クラゲのゲノムまで、さまざまなトピックを取り上げました。その後、休憩時間やポスター発表を挟み、これらのテーマについて議論を深めました。

シンポジウム1日目の最後にポスター発表で研究内容について議論を深めた

シンポジウム2日目はテーマ別に3か所に分かれ、参加者は「環境保護」、「生態系と生物多様性」、「気候変動と地球科学」の中から各自の関心に合ったセッションを選びました。これらのワークショップでは、キャリア初期の研究者による短い発表が中心となり、2人のディスカッションリーダーが進行役を務めました。ポスドクや博士課程の学生は、アドバイスを受けたり、自分の研究を発表したりする機会を得ることができました。さらに、聴衆からの質問によって議論が一層深まり、将来の研究に向けた多くのアイデアも生まれました。 

OIST-理研合同シンポジウムの「生態系と生物多様性」ワークショップで研究発表をするOIST技術員の増永あきさん

シンポジウム最後の総括では、どの研究者も多くの有意義な議論が行われた点で合意し、今後も協力関係を継続していく必要があることを確認し合いました。 

OISTの研究担当ディーンである山本雅教授は、「今回のシンポジウムでは有意義な交流が行われ、発表も分かりやすく、大成功だったと思います。このようなシンポジウムを継続的に開催することが重要だと考えています。自然科学の分野で日本最大の研究機関である理研は、多くの知見を持っています。そのため、OISTの研究者にとっては、同じ分野の研究者と出会う素晴らしい機会となります。特に今回のワークショップでは、各研究者が将来の研究につながるような共通の関心事について議論を交わしていました」と話します。

山本教授は、OISTの研究者は今後、日本中の研究者とのネットワーク構築を目指すべきだと強調しています。そして、今後も理研を始めとする沖縄県内外の大学と関係を強化していきたいとしています。

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