地球温暖化防止とサンゴ礁保全

6月29、30日に「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議」(主催:環境省、沖縄県、共催:OIST、琉球大学)がOISTキャンパスにて開催されました。

 6月29、30日に「地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議」(主催:環境省、沖縄県、共催:OIST、琉球大学)がOISTキャンパスにて開催されました。モルディブやパラオなど14の国と地域から政府関係者や専門家が集まり、サンゴ礁の保全など、地球温暖化の影響を受けやすい島国の環境対策について話し合われました。

 一日目は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長による基調講演や石原伸晃環境大臣、涌井史郎東京都市大学教授、タレントの今井絵理子さんらによる対談、専門家によるパネルディスカッションが行われ、講堂は500人の聴衆で満員になりました。

 石原大臣は開会挨拶で、開催理由を「島国が直面する課題についてみなさんと一緒に考え世界に発信するため」だと述べ、島嶼国の環境対策に対し日本の技術や人材、ノウハウを導入した「島国まるごと支援」を行っていくことを発表しました。本学のドーファン学長はOISTで本会議を開催できたことを喜ぶとともに、気候変動やエネルギー、人々の健康、食料や水不足の問題を決するには科学的知見が最も強力なツールであり、国際社会が直面する課題の解決に大学が果たす役目は高まっていると述べました。

 二日目は、4つの分科会とサイドイベントが行われ、約200人が参加しました。分科会はそれぞれ、サンゴ礁保全、島嶼国における温暖化対策、エコツーリズム、温暖化への適応のテーマで話し合われました。分科会1では本学の佐藤矩行教授がパネリストとして登壇し、最新のサンゴのゲノム研究について紹介しました。佐藤教授らのグループは2年半かけてサンゴの一種コユビミドリイシの全ゲノムの解読を一昨年達成し、サンゴに共生する褐虫藻のゲノム解読が最近完了したばかりです。海域によるサンゴのゲノムの違いや温度変化への適応を調べる研究がサンゴ礁保全において重要な役割を果たすことを示しました。

 モルディブ共和国のマリヤム・シャキーラ環境エネルギー大臣はOISTのインタビューに対し、「地球温暖化防止とサンゴ礁保護の2つのテーマが同時に議論され関係者が一堂に会したことはとても意義深いことです。」と述べました。また、モルディブは日本からこれまでにも首都マレに防波堤などのインフラ整備で多くの支援を受けており互いに良好な関係を築いてきましたが、二国間クレジット制度(JCM)(※)により、さらにその関係が強化されるでしょう。」と語りました。

 全体総括では谷津龍太郎議長(環境省地球環境審議官)が、島嶼国特有の環境問題について日本と島嶼国が協力して取り組んでいくべきであり、今後もこうした会議を沖縄で毎年開催していきたいことを表明しました。参加者の一人で、サイパン近くで生まれて戦争を体験している田原良子さんは本会議について「参加して良かった。島国のみんなで協力し合うことはとてもいいことだと思います。」と話していました。

※ 二国間クレジット制度(JCM):Joint Crediting Mechanism。海外における日本のエネルギー起源CO2排出削減への貢献を適切に評価するため、環境省で構築を進める新たなメカニズム。

▶環境省報道発表資料:地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議の結果について(お知らせ)

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