OISTシンポジウム「動物の不思議な能力~ゲノムからの挑戦」
(独)沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)は、去る1月29日(土)、沖縄産業支援センター(那覇市)において、シンポジウム「動物の不思議な能力~ゲノムからの挑戦」を開催しました。当日は、高校生を含めおよそ90名の方々に、動物に関する研究の第一線で活躍する5人の研究者の講演をお聞きいただきました。
主催者代表としてシンポジウム冒頭に挨拶をしたOISTマリンゲノミックスユニット代表研究者の佐藤矩行博士からは、「これだけの研究者が一堂に会する機会はあまりないので、とても有意義なイベントである」との感想が述べられました。
講演では、動物がもつ不思議な能力について一般の方にもわかりやすく紹介されました。暑さと寒さに耐え、水がなくても何十年も生きながらえる強靱な生命力をもつ体長1ミリにも満たないクマムシの話や、アフリカの半乾燥地帯の岩盤の窪みにできた小さな水たまりに生息し、仮死状態から一雨降ると生き返るネムリユスリカの話がありました。ネムリユスリカに含まれる不思議な物質トレハロースのCMソングが流れると、会場から笑いもおきていました。
また、OISTマリンゲノミックスユニット研究員の中島啓介博士は、「動物がつくるセルロース」と題し、ホヤのセルロース合成について、その進化の歴史も含めわかりやすく解説しました。
この他、産学連携の可能性についても全般にわたって議論され、活発な質疑応答を経て、盛況のうちにシンポジウムは終了しました。
このシンポジウムは、沖縄科学技術振興センターの共催により、沖縄県及び沖縄ゲノム研究推進協議会の後援を得て開催されたものです。
開会御挨拶
(独)沖縄科学技術研究基盤整備機構 マリンゲノミックスユニット 代表研究者 佐藤矩行博士
講演者
東京大学大学院 理学系研究科 國枝 武和博士 「極限環境耐性動物クマムシのゲノム解析と機能プロテオミクス」
(独)農業生物資源研究所 乾燥耐性研究ユニット 奥田 隆博士 「ネムリユスリカの極限的な乾燥耐性」
東京大学大学院 農学生命科学研究科 長澤 寛道博士 「海洋生物における石灰化に関与する有機基質の同定と機能解析」
広島大学大学院 理学研究科 道端 齊博士 「ホヤのバナジウム濃縮ー生物無機化学的解析」
(独)沖縄科学技術研究基盤整備機構 マリンゲノミックスユニット 中島 啓介博士 「動物がつくるセルロース」
約90名が来場したシンポジウム会場 |
佐藤矩行博士による開会御挨拶 |
動物がつくるセルロースについて説明する中島啓介博士 |