武田鋼二郎博士がアステラス病態代謝研究会の研究助成金を取得

この度、G0細胞ユニットのグループリーダー武田鋼二郎博士が公益財団法人アステラス病態代謝研究会の平成22年度研究助成金を取得することになりました。同助成金は、疾患の解明と画期的治療法の開発に関する研究に対し与えられるものです。

今回応募した武田博士の研究テーマは「タンパク質分解系の協調によるミトコンドリア品質管理と静止期細胞の寿命維持」で、分裂酵母をモデル生物として、細胞増殖を停止した静止期(G0期)の生存維持(すなわち細胞の寿命の維持)のメカニズムの理解を深めることを目指しています。本研究の成果は、パーキンソン病などの神経変性疾患、糖尿病等のメタボリック症候群の治療法の開発への貢献が期待されます。

武田博士の研究は計542件の応募の中から選ばれた助成対象のひとつで、同財団によると、約40年にわたる同助成金の歴史で、沖縄で研究をしている研究者の取得は初めてとなります。

武田博士の研究要旨

我々は分裂酵母をモデル生物として、細胞増殖を停止した静止期(G0期)の生存維持機構(すなわち細胞の寿命の維持)の理解を目指している。最近、静止期(G0期)特異的にプロテアソーム系とオートファジー系が協調的してミトコンドリアの品質管理と細胞生存の維持に貢献していることを米国科学アカデミー紀要に報告した。すなわち、静止期ではプロテアソーム系はなんらかの形でミトコンドリアの機能を正常に維持し、酸化ストレスの発生を防ぐ役割を担っているのに対し、ダメージを受けたミトコンドリアの処理にはオートファジー系が重要であるらしい。これらは致死的な酸化ストレスの蓄積を防止する静止期細胞の防御手段であると考えられる。

以上の結果を発展・深化させるべく、本研究では、(I)プロテアソームとミトコンドリアの関わり、特にミトコンドリア機能維持に必須なプロテアソームの基質タンパク質の同定、及び (II) ミトコンドリアのオートファジーによる分解を促進する因子の同定を目標として、アステラス病態代謝研究会に提案した。 

広報・取材に関するお問い合わせ
報道関係者専用問い合わせフォーム

シェア: