日本の研究機関がヒューマン・ブレイン・プロジェクトに参画
この度、沖縄科学技術大学院大学(ジョナサン・ドーファン学長、以下OIST)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長、以下理研)が、欧州委員会により選定された未来および発展期にある技術(FET)プログラムの2大プロジェクトのひとつであるヒューマン・ブレイン・プロジェクト(HBP)に参加することが決定いたしました。本プロジェクトには、国際分野で活躍する科学者らが集結し、「人間の脳の働きを解明」するといった現代の科学において最も重要な課題に取り組みます。
欧州及び各国の80を超える研究機関が共同で進めるヒューマン・ブレイン・プロジェクトは、今後10年(2013~2023年)にわたり、およそ11億9千万ユーロ(約1200億円)の研究資金が支給される予定です。
同プロジェクトの目的は、人間の脳に関するこれまでの研究成果を結集し、スーパーコンピューターを用いて、脳の詳細なモデルやシミュレーションをひとつひとつ再構築することです。このように組み立てられた脳のモデルは今後、人間の脳の働きや疾患の解明の手掛かりとなりうると同時に、計算科学やロボット工学の革新的な技術発展に寄与する可能性を秘めています。こうした将来性を見据え、欧州委員会は1月28日に、未来および発展期にある技術(FET)プログラムを通して資金援助を行う2大プロジェクトのひとつにヒューマン・ブレイン・プロジェクトを選定しました。
OISTからは、エリック・デ・シュッター教授率いる研究チームが、重要なソフトウェア基盤を構築するブレイン・シミュレーションプラットホームの開発チームに参画します。OISTの研究チームは、特にニューロンにおける電気生理学的事象と生化学的反応の相互作用の空間シミュレーションを行うソフトウェアのプログラミングにおいて力を発揮することが期待されています。
デ・シュッター教授は、「OISTがこのような国際的なイニシアチブに参加することができ非常に嬉しく思います」と話し、「分子レベルにおける詳細なモデリングを全脳領域に渡る広範なモデリングにどう取り込むかが最大の課題となります」と抱負を語りました。
理研からは、脳科学総合研究センターの藤井直敬チームリーダーが、ヒトに特有の認知機能、シンボル、言語、自己認識に関する脳機能について明らかにする研究グループに参加します。理研の研究チームは、ヒトのみが持っている言語に特有の構造とその脳内認知メカニズムに関して、言語を持たないサルを対象とした大規模脳内記録解析技術を用い、ヒトに繫がる言語獲得の進化基盤的認知機能を明らかにします。また、田中啓治チームリーダーとJustin Gardnerユニットリーダーは、大脳感覚野における感覚モダリティーを越えた統合のメカニズムを明らかにする研究グループに参加します。理研の研究チームは、物体視覚情報が外界に関す知識に変換される過程、また外界に関する予備知識が視覚知覚に影響する過程のメカニズムについて研究します。
本プロジェクトは2013年後半に開始される予定で、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne)のヘンリー・マークラム (Henry Markram)博士のもと、ハイデルベルク大学(ドイツ)のカールハインツ•マイヤー(Karlheinz Meier)博士、Clinique Hospitalière Universitaire Vaudoise及びローザンヌ大学(University of Lausanne)のリチャード・フラッコウィアック(Richard Frackowiak)博士を共同ディレクターとして立ち上げられます。
プロジェクトの詳細は、下記のリンクをご参照ください。
http://www.humanbrainproject.eu/vision.html
画像やビデオは、下記のリンク先をたどっていくとダウンロードできます。
http://bit.ly/HBPmediabox
【本件お問い合わせ先】
<OISTに関すること>
学校法人沖縄科学技術大学院大学(http://www.oist.jp)
コミュニケーション・広報部 メディアセクション: 名取 薫
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<理研に関すること>
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