The Science Bridge イニシアチブを設立

世界中の科学研究者の交流を促進し、学術全体の発展を目指す取り組みが神経科学分野で始まりました。

  世界中の科学研究者の交流を促進し、学術全体の発展を目指す “The Science Bridge”イニシアチブ(事務局:スペイン the Achucarro Basque Center for Neuroscience)が発足しました。あわせて、林康紀 京都大学教授、駒井章治 奈良先端科学技術大学院大学准教授(兼The Science Bridge Advisory Boardメンバー)、福永泉美 沖縄科学技術大学院大学准教授、ベアン・クン 同准教授ら賛同者122人による声明文が11月15日、Neuron 誌に掲載されました。なお、イニシアチブ自体の賛同者には野依良治 科学技術振興機構CRDSセンター長ら29人のノーベル賞受賞者を含め、計200人以上の科学者が名を連ねています。

  戦争など国際関係上の問題や経済問題もあり、共同研究や研究者交流が盛んにおこなわれる地域は限られているのが現状です。イニシアチブは分野、地域を問わずあらゆる研究者の交流を促進し、学術の発展を加速させることを目的としています。その端緒として神経科学分野でアラブ・西アジア-西側の垣根を取り払う、研究者のコラボレーションに取り組み、長期的にはアラブ世界と西側諸国双方に独自の研究所"Twin Institutes"の設立を目指します。その過程でアラブ世界出身の学生や若手研究者のトレーニングを行い、母国も交えた頭脳循環を促します。

OISTの福永泉美准教授とベアン・クン准教授。The Science Bridgeイニシアチブに賛同する研究者らの中に名を連ねている。

  イニシアチブで最初に取り組む神経科学は極めて分野横断的な領域です。生理学や分子生物学はもちろん、化学、物理学、情報学に至るまで自然科学分野に大きくまたがっているため、多くの研究者を巻き込むことができるでしょう。加えて、対象とする現象や疾患は世界のあらゆる地域の人々の生活と深くかかわっています。うつ病やPTSD、アルツハイマー病といった神経に関わる疾患は西側諸国、アラブ世界のどちらでも大きな課題です。中には環境により症状や適切な治療法が異なるものもあるため、イニシアチブを通して研究フィールドをアラブ世界にも広げることは疾患や現象を総合的に理解するためにも重要だと言えるでしょう。多文化、多地域の研究者による多様性の高い環境や一般の方とのコミュニケーションは研究の生産性の観点からも欠かせません。将来的には洋の東西を問わずあらゆる地域、分野を視野にいれた活動を目指していきます。

The Science Bridgeイニシアチブは、神経科学分野で西側諸国とアラブ世界の間のパートナーシップを促進し、最終的には双方に独自の研究所 "Twin Institutes" の設立を目指す。

共同プレスリリース(PDF)

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