楠見明弘教授がOISTに着任

楠見教授は膜協同性ユニットを主宰します。

Kusumi

   この度、膜協同性ユニットのリーダーに楠見明弘教授(アジャンクト)が着任しました。京都大学での教授職を兼任する楠見教授は、これまでウィスコンシン医科大学、東京大学、名古屋大学での研究職を歴任し、実績を積みました。楠見教授の研究は細胞膜に焦点を当てたものです。

   楠見教授が細胞膜に興味を持つようになったのは、ある意味偶然でした。物理学専攻だった大学四年生の時に、教室を間違えて細胞膜についての生物学の講義を聴講したのがきっかけでした。講義では、京都大学の大西俊一教授が、シンガー(S. J. Singer)とニコルソン(G. L. Nicolson)による流動モザイクモデルについて説明しておられ、楠見教授はすぐにその概念の面白さの虜となったそうです。「流動モザイクモデルは、私の物理マインドを、強く刺激したのです」と楠見教授は振り返ります。

   楠見教授は最初の博士研究員(ポスドク)の研究で、非線形電子常磁性共鳴(EPR)と再構成膜での分子動態解明への応用研究を、二度目のポスドク時代は細胞間相互作用の研究に携わりました。この間、当時はまだ考える人もあまりいなかった、顕微鏡下での生細胞の時間分解蛍光測定と1分子イメージングの概念に惹かれていきました。

   楠見教授が今後OISTで進めようとしている研究は、これらの過去の経験がもとになっています。楠見教授は熱く語ります。「私たちのユニットが特に焦点を当てていることは、細胞膜内での分子の協同性相互作用によるメカニズムを明らかにすることです。細胞膜はこのメカニズムによって、シグナル伝達や神経ネットワーク構築といった機能を発揮できるのです。細胞膜は、細胞全体をすっぽり包み込む、細胞の最も外側に位置する膜で、生命の基本単位である細胞にとって、極めて重要なものです。生命のひとつひとつの空間を決めるものですから。」

研究ユニット

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