津波漂流物の行く先は?

10月25日にOISTにて、津波による洋上漂流物のモニタリングと予測シミュレーションに関する国際ワークショップが開催されました。

 10月24〜25日にかけて、国際連合環境計画(UNEP)が進める北西太平洋地域海行動計画(North-West Pacific Action Plan:NOWPAP)の海洋ゴミの問題を話し合うワークショップがOISTを会場として開催され、それに合わせて一般向けの『洋上漂流物のモニタリングと予測シミュレーションに関する国際ワークショップ』が25日に開催されました。

 2011年3月11日の東日本大震災では、大量のガレキが太平洋に流出し、北アメリカ西海岸では桟橋や漁船などの漂着も報告されています。今回のワークショップでは、環境省が中心となり京都大学や海洋研究開発機構などの日本の研究機関と、アメリカ海洋大気庁(NOAA)などが連携して行った津波漂流物のモニタリングと予測に関するプロジェクトについて研究成果が発表されました。

 環境省の推計では、流出した500万トンのガレキのうち70パーセントが日本周辺海域で沈下、残りの30パーセントにあたる150万トンが漂流したとされています。人口衛星や航空機の観測により、漂流物の集団が0.1〜10キロメートルの長さのブーメラン状となって形を変化させながら漂流することが確認されました。シミュレーションでは、漂流物を比重が小さく体積の大部分が海面上に出ていて海上風に影響されやすいものと、比重が大きく大部分が海面下にあって海流の影響を受けるものを4段階に分けて計算されました。その結果、風に影響されやすい漂流物は2012年3月ごろから北アメリカ大陸北部に漂着しはじめたことや、アメリカ西岸に近づいた漂流物の多くはその後南西方向に流され、フィリピン諸島にかけて北太平洋南部にまで到達していることがわかりました。

 本研究を統括する京都大学副学長の淡路敏之氏は、インタビューに対し、今回の研究プロジェクトで米国と連携したことについて、洋上漂流物の研究が進んだだけでなく日米間の信頼関係の維持に非常に有意義であったと述べました。また、地球環境に関する研究について、「地球環境がローカルに具体的にどういう現れ方をするのか包括的に研究する必要がある。OISTのように学問分野の境界のない新しい大学ならそれができると思う」と本学への期待を語りました。

 

環境省プレスリリース

 

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