佐藤矩行博士 2010年の「エドウィン・グラント・コンクリンメダル」を受賞します
プレスリリース
この度、米国発生生物学会は本年(2010年)の「エドウィン・グラント・コンクリンメダル」を、沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)マリンゲノミックスユニット代表研究者の佐藤矩行博士に授与すると発表しました。
米国発生生物学会は1939年に創立されました。現在世界中に2000名近い会員を有し、この分野の研究を牽引しています。「エドウィン・グラント・コンクリンメダル」は1995年に同学会により創設された賞で、発生生物学の研究において優れた業績をあげた研究者を毎年1名選び表彰していますが、佐藤博士の今回の受賞は日本人として初めてです。同博士は長年ホヤの研究に取り組んできましたが、今回の受賞について米国発生生物学会は、E.G.コンクリン(1863-1952)自身がホヤ発生研究のパイオニアであることから特に意義深いと述べています。
授賞式は8月5~9日に米国ニューメキシコ州で行われる米国発生生物学会(本年は日米学会の合同開催)で行われます。
※授賞理由
・発生生物学の古典的な研究材料であったホヤの研究に、近代的な分子生物学の技術を導入して発生に関わる新たな
遺伝子の働きを明らかにしたこと
・カタユウレイボヤのゲノム解読プロジェクトの先頭に立ち2002年に解読したこと
・ホヤゲノムの解読成功により、発生を複数の遺伝子の働きによって総合的に理解しようとする新たな研究モデルが
確立され、ホヤが国内外の多くの研究者に使われるようになったこと
・2008年にはナメクジウオのゲノムを解読し、ホヤゲノムと合わせて脊索動物の起源と進化の道筋を明らかにし、150
年以上にわたって議論されてきた「脊椎動物の起源」の理解に大きな貢献をしたこと
※佐藤博士について
1974年に東京大学で理学博士号を取得後、長年、京都大学大学院理学研究科で発生生物学の研究と教育に従事し、
2008年4月からOISTのマリンゲノミックスユニットの代表研究者として研究を行っています。最近では、沖縄の研究環境を活かして、ユニットの研究メンバーと協同でサンゴのゲノム解読を進めるなど、発生と環境を結びつける研究にも着手しています。(http://www.irp.oist.jp/satoh)日本の発生生物学研究は世界トップレベルにありますが、多くの優れた研究者の中から同博士がこの度の受賞者に選ばれました。同博士は、2005年に動物の発生と進化の研究分野で優れた研究者に贈られる「アレキサンダー・コワレフスキーメダル」も受賞しています