OIST教授が2021年度ハーバード大学ラドクリフ研究所フェローに選出

エヴァン・エコノモ教授は、ハーバード大学ラドクリフ研究所に在籍中、世界中のアリやチョウの多様性と進化に関するプロジェクトを進める予定です。

この度、エヴァン・エコノモ教授が、2021年度のハーバード大学ラドクリフ研究所フェローに選出されました。教授は1年間、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにおいて、類まれなアーティストや科学者、学者、実務家専門家などと共に、発見や学際的交流を通して学び合い、高め合うことになります。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の生物多様性・複雑性研究ユニットを率いるエコノモ教授は、探究や研究に邁進するフェローシップのメンバーの一員として、1年間、アリやチョウの地球規模での多様性や進化に関する研究プロジェクトを進める予定です。

2021年度のハーバード大学ラドクリフ研究所フェローに選ばれたOISTの生物多様性・複雑性研究ユニットを率いるエヴァン・エコノモ教授。

エコノモ教授のOISTでの研究室では、長い時間をかけて世界中のアリの分布を明らかにし、そのパターン形成の要因を解明してきました。ラドクリフ研究所で行うプロジェクトでは、チョウ研究の世界的権威ナオミ・ピアス教授とハーバード大学生物体・進化生物学科のヘッセル教授と協力して、エコノモ教授のアリのデータとピアス教授のチョウのデータを活用することで、相乗作用をもたらしたいと考えています。

エコノモ教授は、次のように述べています。「世界各地のアリやチョウの生息地の全体像を把握することは、世界的な環境保全活動を行う上で極めて重要です。これによって、最も重要な優先順位を利害関係者に示すことができます。現在の保全活動の優先順位は脊椎動物のデータに基づいていますが、無脊椎動物は動物種の大部分を占めており、世界の生態系において非常に重要な機能を果たしているのです。」

エコノモ教授は、世界のアリとチョウ多様性が互いにどのような影響を与え合ってきたのかを探究したいと考えています。「アリは、一部のチョウの幼虫と相互作用をもたらす関係を持ち、それは、有益で強いパートナーシップといえるものから寄生的な搾取まで、さまざまです。私たちは、これらの相互作用がアリとチョウの進化にどのような影響をもたらして、種が多様化するに至ったかを地球規模で調査したいと考えています。」

エコノモ教授の新たな研究拠点となる比較動物学博物館は、世界最大数のアリのコレクションを所蔵し、アリの生物多様性研究の拠点となっています。教授は2021年9月1日から正式にラドクリフ研究所でのプログラムに参加することになります。

「自分の安全地帯から踏み出すことにとてもワクワクしています。このプログラムは、私にとって全く新しい環境で学ぶ機会を提供してくれますし、私たちの研究を進める上で大胆で真に新しい方向性を見出す機会を与えてくれるでしょう」とエコノモ教授は語っています。

ラドクリフ研究所のフェローシップ選考は競争率が高く、1,383名の応募者の中からエコノモ教授を含む52名がフェローに選ばれました。同期フェローの出身国は、9カ国です。

ハーバード・ロー・スクールのDaniel P. S. Paul憲法学教授およびHarvard Faculty of Arts and Sciencesの歴史学教授で、ラドクリフ学部長も務めるトミコ・ブラウン-ナギン博士は、次のように述べています。「2021年度のフェローの皆さんに見られる特徴は、広範な知識、学問での卓越性、そして創造性です。また、彼らの研究の多くは、今日最も喫緊の課題に焦点を当てています。」

「パンデミックとその広範な影響によってこれまでになく困難であった14ヵ月を経て、私たちの社会は気の遠くなるほど多くの課題に直面しています。これらの課題の中には新しいものもあれば、改めて注目されるようになった長年未解決の根深い問題ものもあります。フェローたちは、この瞬間とその意味について考え、科学、社会科学、芸術、人文科学の分野にわたって知識と実践の限界に挑戦してくれるでしょう。彼らを迎えるのを待ち遠しく思います。」

こちらからフェローの一覧がご覧いただけます。

OISTについて

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、科学技術分野で優れた研究と教育を行う国際的な大学院大学であり、世界的な評価を得ています。真に学際的な研究環境と、誰もが利用可能な世界水準の設備を備えており、科学者たちが分野の垣根なく新たな知の分野で協力し合うことを奨励しています。詳細はこちらをご覧ください。www.oist.jp/ja

ハーバード大学ラドクリフ高等研究所について

ハーバード大学ラドクリフ研究所は、あらゆる分野で変革をもたらすアイデアを創造し、共有することを目指すハーバード大学の中でもユニークな空間で、多くの人から高い評価を得ているレジデンシャル・フェローシップ・プログラムでは、毎年世界中から一流の学者、科学者、芸術家を受け入れています。また、革新的な研究協力を促進し、年間数百回の公開講座、展示会、パフォーマンス、会議などのイベントも開催しています。さらに、同研究所には女性、ジェンダーおよびセクシュアリティの歴史に関する全米屈指のアーカイブであるArthur and Elizabeth Schlesinger Libraryが併設されています。ラドクリフ研究所の関係者や研究プログラムについての詳細は、こちらをご覧ください。www.radcliffe.harvard.edu

ヘッダー画像提供: ジョン・フェランさん

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