2021年6月21日
ペロブスカイト太陽電池の未来がさらに明るく
太陽光を電気に変換する太陽電池は、長年、再生可能エネルギーとして世界的に注目されてきました。太陽電池は、その1枚1枚は非常に小さいですが、モジュールにスケールアップすることでバッテリーの充電や照明の点灯などに利用することができます。また、将来的には太陽電池モジュールを並べて建物の主要なエネルギー源として利用できるようになる可能性もあります。しかし、現在市販されている太陽電池はシリコンを使用しているため、従来の電源に比べて製造コストが高くなってしまいます。
そこで登場するのが、比較的新しい素材として研究開発が進んでいるメタルハライドペロブスカイトです。この結晶構造を太陽電池の中心に置くことで光を電気に変換することができ、コストもシリコンよりはるかに低く抑えることができます。さらに、ペロブスカイト太陽電池は、硬い基板と柔らかい基板のどちらでも製造することができるため、安価であることに加えて、より軽量で柔軟性のあるものになる可能性があります。しかし、実用化に向けては、サイズや効率に加え、寿命も向上させる必要があります。
この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のヤビン・チー教授が率いるエネルギー材料と表面科学ユニットの研究チームは、ペロブスカイトの重要な原材料のうちの1つを従来とは異なる方法で合成することが、ペロブスカイト太陽電池を改良する鍵となる可能性があることを新たな研究で実証し、Nano Energy誌に発表しました。
「ペロブスカイトには、吸収層を形成するホルムアミジン鉛ヨウ素(FAPbI3)と呼ばれる結晶性粉末が必要です。以前は、この層はヨウ化鉛(II)(PbI2)とヨウ化ホルムアミジニウム(FAI)という2つの材料を混ぜ合わせて作られていました。両材料間で反応が起こることでホルムアミジン鉛ヨウ素が生成されますが、この方法は完璧というには程遠いやり方でした。元の材料の一方または両方が残ってしまうことが多く、それが太陽電池の効率を下げてしまうのです」と、本論文の筆頭著者の一人、ポストドクトラルスカラーのグオチン・トン博士は説明します。
同課題の解決策として、研究チームはより精密な粉体技術を用いて結晶性粉末を合成しました。この際も原料の一つであるヨウ化鉛(II)を使用しましたが、90℃に加熱して丁寧に溶かし、残った材料を濾過するなどの工程を追加しました。これにより、高品質で完璧な構造を持つ粉末を得ることができました。