OIST理事会メンバーのリタ・コルウェル博士、ヴァネヴァー・ブッシュ賞受賞
この度、著名な微生物学者で、沖縄科学技術大学院大学(OIST)理事会メンバーのリタ・コルウェル博士が、2017年のヴァネヴァー・ブッシュ賞を受賞することとなりました。毎年授与される本賞は、科学技術分野における公職を通じて、長年にわたって米国社会に専門知識を還元してきた人物に与えられるもので、コルウェル博士は、衛生、水、世界における感染症の分野における功績を讃えられています。
コルウェル博士は、細菌学データ解析プログラムを米国で最初に開発した研究者で、1960年代には生物学研究の重要なツールとしてのバイオインフォマティクスの礎を築く重要な役割を果たしました。1970年代、同博士は、コレラ菌が下水への混入のみではなく、環境に自然に存在する細菌であることについて証明し、コレラ菌に関する定説を覆しました。また、1990年代の中南米におけるコレラ流行では、コルウェル博士は深い知識を惜しみなく提供し、各国の政府機関を支援し、多くの人命を救いました。
コルウェル博士のこうした貢献が、同博士を類まれな学際的パイオニア科学者としての地位を不動のものとしました。博士の功績は、公衆衛生、感染症、微生物学、生態学、コンピュータ技術、衛星技術など、数多くの科学技術分野にまたがっています。
OIST理事会メンバーであることに加え、コルウェル博士は1998年から2004年にかけて、女性初の米国科学財団理事長を務め、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学大学院およびメリーランド大学カレッジパーク校における特別教授職も歴任しています。 同博士は生涯を通じ様々な賞を受賞しており、日本国内においては旭日重光賞を授章、また、世界の高等教育機関から61もの名誉学位を受けています。
「ヴァネヴァー・ブッシュ博士は、米国連邦政府による基礎研究支援における指針を示された人物ですから、この度のヴァネヴァー・ブッシュ賞受賞には、深く感謝しています。先見の明があったブッシュ博士は、米国科学財団と米国国立衛生研究所ばかりでなく、さまざまな機関による研究支援の基盤を築きました。創造性が牽引すると言われる基礎研究は、現代社会の多くの技術進歩の礎となるものです。 ですので、今回の受賞は大変名誉なことだと感じております。」 と、コルウェル博士は電子メールを通じてこの度の受賞の感想を寄せてくれました。