OISTマリン・サイエンス・ステーションが開所
「OIST マリン・サイエンス・ステーション」と名付けられたこの臨海実験研究施設は、約80の水槽設備、水深3mのプール等を配備し、OISTの研究者をはじめとする、国内外の研究者に海洋に関わる実験研究の場を提供する施設です。沖縄の地理的利点を活かし、海洋に関わる様々な実験・研究の拠点として発展していくことを目指しています。
研究分野間に垣根のない学際性を特徴の一つとするOISTでは、同ステーションの利用も、その特徴を活かしたユニークなものとなります。脊椎動物の起源と進化の研究を中心に各種海洋動植物のゲノム解読を行っている、マリンゲノミックスユニット(佐藤矩行教授)では、同ステーションでサンゴ、オニヒトデ、ギボシムシ、ハゼなど、沖縄及び近海に棲息する動物や、オキナワモズク、ウミブドウなどの沖縄で栽培されている海藻類等を生育し、実験に使用していきます。
また、量子波光学顕微鏡ユニット(新竹積教授)では、地球温暖化を踏まえ、将来を見据えた再生可能エネルギーとして期待の高い、OIST独自の波力発電の技術開発をこのステーションから目指します。さらに、海洋生態物理学ユニット(御手洗哲司准教授)では、同ステーションを利用して、サンゴ礁の周りを流れる海流がサンゴの白化現象に及ぼす影響を研究し、また、流体力学的手法を使って、顕微鏡を使った観察だけでなく遺伝子レベルで解明していく研究を行う予定です。
御手洗准教授は、「海の中で観測した事象の因果関係を調べるのは大変難しいのですが、これまでキャンパスなどで小規模で行っていた実験を、マリン・サイエンス・ステーションにおいて比較的大規模に生海水を使って実験できるのは助かります。」と、ステーションの開所による研究の効率化に期待を寄せます。また、同センターを活用する予定の佐藤教授は、「海洋動植物を研究する私たちにとって、OISTが備える最先端機器と海とを直結させる場所として研究活動に非常に有益です。」と、ステーションが果たす役割について述べています。
落成記念式典でご挨拶に立たれた、沖縄県恩納村の長濱善巳村長は、「恩納村漁業組合とOISTが、今まで以上に連携を密にし、一体となって海ぶどうやモズクなどの養殖技術の向上を目指し、海洋深層水の開発や研究にご尽力されますことを期待します。」と述べ、同ステーションが恩納村の水産業の振興・発展を図る上で大きな礎になるとの期待を表しました。
OISTでは、今後も、太陽光などの再生可能エネルギーを利用した持続可能な暮らしを実現するための実験など、多岐にわたる研究分野において、このマリン・サイエンス・ステーションを利用し、さらには同ステーションを共同研究者をはじめとする国内外の研究者に利用を開放し、ここ沖縄における国際的な海洋研究拠点として、本臨海研究施設を発展させていく予定です。
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