沖縄科学技術大学院大学の創立式典の一日
2011年11月19日、夜が明けようとする頃、沖縄科学技術大学院大学のメインキャンパスでは慌ただしい一日が始まろうとしていました。同日、本学の創立を祝して開催される式典に向け、沖縄県内を始め、日本全国、更に海外から出席される約400名の御来賓の皆様をお迎えする最終準備が進められていました。
当日、最初の催しとして開催されたのが、OISTの創立と発展に寄与されたシドニー・ブレナー博士(旧沖縄科学技術研究基盤整備機構理事長)を称えるシンポジウムでした。本学プロボーストのロバート・バックマン博士と学園理事のジェローム・フリードマン博士による挨拶に続き、本学で研究を行う銅谷賢治教授、佐藤矩行教授、御手洗哲司准教授、アレクサンダー・ミケェエブ准教授から、研究内容に関する講演がありました。それぞれの講演からは、多様性に富む研究が活発に行われる本学の将来の姿を感じることができました。現在も分子遺伝学ユニットの研究を続けるブレナー教授が、OISTのこれまでの歴史と展望について語ると、会場全体が感激に包まれたようでした。シンポジウムの最後には、本学メインキャンパスの写真が、バックマン博士からブレナー博士に贈呈されました。この写真は、OISTの理事会メンバー全員が敬意を込めて署名したものです。
午後の創立記念式典は、あいにくの天候のため、プロジェクターを設置したB250セミナールーム等に会場を移して行われました。この式典では、沖縄科学技術大学院大学初代学長のジョナサン・ドーファン博士の式辞に続いて、学園理事の有馬朗人博士、川端達夫内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)、仲井眞弘多沖縄県知事から、それぞれご挨拶をいただくとともに、マサチューセッツ工科大学(MIT)名誉学長のチャールズ・ベスト博士から基調講演を賜りました。ベスト博士は、「ドーファン学長にお祝いを申し上げるとともに、この21世紀の大学を力強く、かつ先見の明をもって設立したことに対して、沖縄県民の皆さんと日本政府の前向きな考えに敬意を表します。OISTは沖縄で生まれ、ここで育まれます。年月と共に、沖縄に大きな恩恵をもたらすでしょう」と大きな期待を示され、講演を締めくくりました。
講演終了後、来賓の方々には屋内からセンターコートに移動していただき、特別祝賀イベントが開催されました。来賓の皆様が着席し、メディアの準備も整うと、今にも雨が降り出しそうな空模様の中ではありましたが、スポットライトは舞台上のパフォーマーたちへと移りました。太鼓の力強い音に合わせた沖縄の伝統舞踊に続き、獅子と竜が舞い踊る伝統芸能が披露、更には銅谷博士の研究ロボットを舞台背景に、若いヒップホップグループによるロボットの動きを真似たダンスが披露されました。イベントの最後には、地元の新体操選手の方々が優雅に操る赤いリボンで描かれた流動的なOISTのロゴが飾られました。
OISTにとって、まさに記念すべき日となりました。いよいよ、沖縄科学技術大学院大学が本格的に始動します。本学の創立というこの歴史的な日を皆様と共に祝うことができましたことを心より嬉しく思っています。御出席いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
(ジュリエット・ムセウ)