理事会がOISTの進捗を評価
沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)の理事会の第4回会合が10月4日と5日にOISTキャンパスにて開催されました。
OISTのジョナサン・ドーファン学長は、第一期生がキャンパスでの生活を開始し、博士課程の履修を始めたことで、大学院大学の全ての機能が本格稼働したと語りました。ドーファン学長は第一期生の選考過程の概要を説明し、世界中から集まった優秀な候補者の中から18ヶ国・地域の34名の学生が選抜されたと述べました。ドーファン学長は、「第一期生の多様な科学的バックグランドは、多彩な文化によって更に広がりを持っています。世界を見てもこれほど科学的・文化的に多様性にあふれた博士課程のクラスを見たことはありません。この第一期生、そして今後OISTに入学する学生は特別な存在と言えます。」と語りました。理事会議長のトーステン・ヴィーゼル博士は、OISTがこのように高いレベルの学生の獲得に成功したことを称え、「OISTが内定を出した学生のうち、OISTへの入学を希望した学生の割合が、多くの一流の大学院よりも高くなっていることに特に感心しました。」と述べました。
ドーファン学長は、昨年新規採用した24名の教員の大半が、OISTに着任したと説明し、「キャンパス及び研究棟は、教員、ポスドク研究員や学生で埋まっています。OISTは科学技術の大学院大学として本格稼働し、活気に満ちています。」と語りました。また、ドーファン学長は2012年度中期の支出状況の詳細な分析を行ったうえで、厳格な予算計画と管理の重要性を強調しました。更に、ドーファン学長は、第3研究棟の建設予算が含まれる2013年度の概算要求について説明しました。本予算が承認されれば、キャンパス整備計画の第1段階の建設工事が全て実施されることとなります。
ロバート・バックマン上級副学長は、海洋研究及び先端研究のワークショップの開催などの取り組みの拡充について説明し、OISTが米国のウッズホール海洋生物学研究所(MBL)と研究教育における協力協定を締結したことを発表しました。バックマン上級副学長は、「OISTはこれまでに、ウッズホールの別の研究機関であるウッズホール海洋研究所(WHOI)と連携し、沖縄沿岸海域の海流観測システムや熱水噴出孔付近に生息する幼生の海流輸送などについて共同で研究をおこないました。今後MBLとの共同研究が、本学の生物学や環境学分野の教育研究の歴史に新たな一章を開きます。連携によってお互いの頭脳を結集することで、新たな発見につながることが期待されます。」と説明しました。
ジョン・ディキソン副学長(施設管理担当)は、キャンパス整備の進捗状況について、新設された第2研究棟への移転は完了し、本格稼働していると説明しました。また、沖縄は9月に猛烈な台風に3回見舞われましたが、OISTの施設は最も過酷な環境にも耐えることができたと同副学長は報告しました。ヴィレッジセンターと呼ばれる学生及び教員向けの住居棟に入居者が移り、新たな住居棟の建設が進められています。更に、キャンパス内に建設されている教員向けの戸建て住宅22戸の整備が進んでおり、今年中に完成する予定です。
ドーファン学長は、教員、学生や職員の獲得及び確保には、チャイルド・デベロップメント・センター(幼児教育・学童保育施設)の整備が欠かせないと改めてその重要性を説明した上で、「学生、教員、職員が研究や業務に専念するためには、安全で適切な保育環境が確保されていることが不可欠であり、同センターで提供される多言語の教育・保育は大学院大学の成功を左右する重要な要素です。」と述べました。ドーファン学長は現在実施している暫定的なプログラムについて説明し、2013年度の予算要求において、恒久的なチャイルド・デベロップメント・センターの予算確保が鍵となることを強調しました。理事会もその重要性を強調し、支持を表明する以下の声明を発表しました。「理事会は、内閣府からの強い支持に深く感謝し、2013年度におけるチャイルド・デベロップメント・センターの整備に必要な概算要求額が承認されるよう財務省に要請いたします。」