科学を学ぶ楽しさを肌で体験―OISTサイエンスフェスタ2022開催
OISTが主催する、年に一度の科学のお祭り「サイエンスフェスタ 2022」が、11月12日に開催されました。今年で12回目となるサイエンスフェスタは、科学実験ショーや、サイエンストーク、ラボツアーなど、様々なプログラムで構成された子どもから大人まで楽しめるイベントです。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、おととしは中止、去年はオンラインでの開催となっていましたが、今年は3年ぶりに対面とオンラインを合わせたハイブリッドで実施され、人数制限を設けながらも合計600人ほどの参加者で賑わいました。
巨大雲マジック!
サイエンスフェスタの幕開けを飾ったのは、OIST博士課程学生のテオドロス・ブルミスさんによる科学実験ショーです。バチバチと爆音を轟かせ稲妻を作り出したり、会場いっぱいにひんやりとした雲を出現させたりと、魔法のような科学実験を繰り広げるブルミスさんに会場の子どもたちは釘付けです。「科学者たちはいろんな実験を繰り返すことで、世の中の謎を解き明かそうとするのです」ブルミスさんは、なぜ?と考えることの大切さを会場の子どもたちに熱く語り、科学実験ショーを締めくくりました。
マイナス273度の冷凍機とダイヤモンドで何をする?
興奮冷めやらぬ中、会場のスクリーンにOISTの実験室から中継映像が映しだされます。サイエンスフェスタ初のバーチャルラボツアーを案内するのは、OISTの久保結丸博士と学生の濱元樹さん。量子コンピューターに関する実験で使用されるレーザーやダイヤモンド、巨大な冷凍装置に、大人たちも目が離せません。「鉛筆の芯からダイヤモンドは作れるのか?」「冷凍装置を使うとどれくらいで液体窒素を作れるのか?」など会場には多くの質問が飛び交い、子どもたちは最先端の研究現場に刺激された様子でした。
身近な隣人バクテリア
バクテリアの世界を紹介したのは、学生のジギャーサ・アロラ さん。顕微鏡の歴史、食べ物が腐る理由を探った科学者の話など、長きにわたるバクテリアの研究によって人類が獲得した様々な知恵が紹介されました。観客全員が参加したアクティビティでは、パスタを使って体の中に住むバクテリアのバランスと健康について体験しながら学びました。「目に見えないものにこそたくさんの謎や発見があるかもしれません」アロラさんは自身の経験談を交え、科学の醍醐味を語っていました。
海の王者を恐れることなかれ
「サメは危険な存在でしょうか?」鋭い歯がぎっしりと生えたサメのあごの標本を手に持ち観客に尋ねるのは、研究員のファビエン・ズィアディ さん。数百年生きるサメ、乱獲によって絶滅に瀕するサメ、自転車事故よりも少ないサメの被害など、多くの参加者が知らないサメの事実が次々と紹介されます。「サメは怖い生き物ではなく、海の環境を保つ大切な存在。サメを守る努力を通して、沖縄の海を守りましょう」沖縄近海でサメの調査をするズィアディ さんは、恐れるだけでなく正しく理解しようとすることの大切さを説きました。
3年ぶりの対面イベントとなった今回のサイエンスフェスタでは、体験を通して多くの驚きと発見をたくさんの人々に届けることができました。まだ人数制限付きでの開催でしたが、来年以降はより多くの方々にも来ていただけるイベントが開催できることを願っています。