北野宏明博士の研究論文が Nature Chemical Biology に掲載されました
オープンバイオロジーユニット代表研究者の北野宏明博士の論文が、最新号の Nature Chemical Biology に掲載されました。
<論文概要>
大型粒子加速器による実験など、「ビッグサイエンス」は大規模な設備と巨額の資金、また、大量の人材を必要とする研究が伝統的であった。生命科学の分野では、ヒトゲノム解析プロジェクトがビッグサイエンスであった。しかし、ほとんどの生物学はスモールサイエンスであり、今後ともそうあり続けるであろう。
一方で、生命をシステムとして理解する新しい生物学の一分野である「システムバイオロジー」の台頭とともに生命の網羅的、統合的理解が重要になってきている。これには、多角的な研究や規模の大きな研究が必要であると同時に、スモールサイエンス要素を維持しないといけないという側面がある。つまり、スモールサイエンスの集合から仮想的なビッグサイエンスを実現する仕掛けを実現する必要がある。このようなプロジェクトの事例とその成功には、参加者のモティベーションなどの社会的ダイナミクスを考慮したソシアルエンジニアリングが重要である。
本論では、このサイエンスにおけるソシアルエンジニアリングの考え方と成功事例の分析を行う。この一つのOSDDプロジェクト(インド政府が主導する結核薬開発のためのオープン・ドラッグ・ディスカバリー・プロジェクト)には、OISTオープンバイオロジーユニット(代表研究者:北野宏明博士)の開発したPayaoというソフトウエアプラットフォームが分散した知識の集約と言う側面で重要な役割を果たしている。