タンパク質の3次元構造
この回転しているイメージは、低温分子分解能電子線トモグラフィー 法(Cryo-MET)とX線結晶構造解析法と呼ばれる2つの異なる手法で得られたタンパク質の三次元構造です。この試料は免疫グロブリンGという抗体で、ヒトの免疫システムにおいて最も多く存在するものです。
この2つのイメージは完全に重なっていませんが、これはタンパク質の構造 が非常に柔軟 であるためです。タンパク質は絶えず運動しており、それによって他の分子と反応するのに適した構造をとることができます。
Cryo-MET法で得られた灰色の雲状のイメージはこのタンパク質のとりうる構造の一つを示しています。この手法では、多数のタンパク質分子を凍結させ、 灰色で表示したような三次元のイメージを構築するため、それぞれは そのタンパク質のある瞬間の構造を示しています。一方、黄色のリボンモデルで表示したX線結晶構造解析法では、全てのとりうる構造の平均を表しているにすぎません。この手法ではより高分解能の結果が得られますが、そこにタンパク質の柔軟性は含まれません。タンパク質のさまざまな部位は、いかなる瞬間においても全く異なった構造をもつと考えられています。これらの2つの手法を組み合わせることで、分子のより詳細な構造と、その動きを理解することができます。
日付:
2014年7月30日
作者:
poncie
Copyright OIST (Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University, 沖縄科学技術大学院大学). Creative Commons Attribution 4.0 International License (CC BY 4.0).
タグ
Research