ラット脳幹巨大シナプス終末端と膜容量測定法

図4 ラット脳幹巨大シナプス終末端と膜容量測定法

OIST細胞分子シナプス機能ユニット(高橋智幸教授)のザカリ・タウフィック研究員と江口工学研究員はそれぞれの専門の生化学と電気生理学の手法を組み合わせ、Rhoキナーゼという酵素が神経細胞間の情報伝達を調節する重要な分子であることを発見しました。

  本研究で用いたラット脳幹のヘルドのカリックス(Calyx of Held)シナプスは、シナプス前末端が巨大なため、生物顕微鏡下で同定することができ、パッチクランプ法による電気信号の記録が可能です。左の写真は顕微鏡下で観察したcalyx of Heldのシナプス前末端に、ガラス電極から蛍光色素を注入しているところ。中央はシナプス後細胞である台形体内側核(MNTB)神経。シナプス前末端がシナプス後細胞の細胞体を包み込んでいることがわかります。右はエンドサイトーシスの速度を測るために用いられた膜容量測定法の図。膜容量測定法は細胞膜が電気容量を持つ性質を利用した方法です。エキソサイトーシスによって膜の表面積が増すと細胞膜の電気容量(膜容量)も増え、エンドサイトーシスによって膜表面積が減ると電気容量も減ります。ガラス電極を用いてシナプス前末端膜の電気容量を測ることで、エンドサイトーシスの様子を調べることができます。

 

 本研究の成果は、2013年7月17日付けのJournal of Neuroscienceに掲載されました。

日付:
2013年8月29日
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