サイエンス・チャレンジ2018
毎年恒例のOISTサイエンス・チャレンジが3月10日~17日にかけて開催されました。本プログラムは1週間にわたり、博士課程進学を検討中の学生がサイエンスのスキルを磨き、OISTでの大学院生活を体験することを目的としています。
第四回目となる本年は「発見の喜び」というテーマの下、日本、インドネシア、香港、 米国、マレーシア、 カナダからの学部生および大学院生(修士課程)30名が、選考の末に沖縄訪問の機会を得、OISTキャンパスでのワークショップなど、活動盛りだくさんの一週間を過ごしました。
プログラムは、ピーター・グルース学長の歓迎の挨拶から始まり、その後キャンパスツアーと入門セミナーが行われました。
学生参加者は、 超伝導材料の浮上実験や流体力学のデモから、電子顕微鏡による観察やロボットにいたるまで、OIST における広範な研究の専門分野を体験しました。 多くの学生が、大学院生活を垣間見る機会を得ただけでなく、最先端の材料や施設に触れたり、名だたる研究者に会ったりと、初めての体験をしました。
日系米国人で筑波大学修士課程在学の野坂ディバインさんは、 「OISTに来る前は、何を期待してよいのか分かりませんでした。物理の講義などは、私が理解できるとは思っていませんでしたし・・・。ところがOISTの講師の方が、見事に私の不安感を取り除いてくれました。物理の講義はすべて理解できました。教え方が驚くほど素晴らしかったです!」 と、語ってくれました。
遠方から沖縄を訪れた多くの学生たちに沖縄の素晴らしさを体感してもらうべく、OISTでは本部町にある海洋博公園や美ら海水族館へ案内するとともに、OISTキャンパスに戻って、研究者たちによるプレゼンテーションや、 在学生との質疑応答セッションを行いました。
ただし、プログラムは観光や交流ばかりではありませんでした。 参加学生たちには、最終日にコンテストが待ち受けていたのです。それは、3人のOISTメンバーが審査員を務める場で、今年のテーマ について各自が発表するというもので、その準備に参加者たちは1週間かけて取り組みました。 「発見の喜び」を自由に解釈した学生たちによるプレゼンテーションは、想像力にあふれたものばかりでした。ゼロからのバクテリア生成 、ガンとの闘いにおける植物リグニンの使用、AIが創り出す音楽、 ハイブリッド温泉車などです。
プレゼンテーションの質はどれも素晴らしいもので、 審査員の森田洋平博士、レナ・シュルツさん、アルベー・ベンセーン・カーゼス博士にとって、優勝者を選ぶ作業は困難なものとなりました。閉会式では、 ローレン・イェンさんと ウーイ・コッソンさんに対して特別賞が授与された他、三宅みなとさんが最優秀賞を受賞しました。三宅さんは、深海における生命の起源を探索する喜びについて、感動的なプレゼンテーションを行いました。
「他の学生たちとの共同作業は、非常に刺激になりました。また研究室にも圧倒されました。それと食事がとてもおいしかったです」と、三宅さんはコメントしてくれました。
今年のプログラムは、夕食懇談会で締めくくられ、全参加学生が前向きな展望を語りました。 研究科オフィスのグスマン勇気さんは、「ここに来る前は皆さんOISTについてあまり知らなかったかもしれませんが、OISTの施設や研究機器、大学院生活の一端を実際に見ることで、学生たちが目を見開いて感動してくれたのは、素晴らしいことです。 おそらく夢のような世界だったと思います」と、今年のプログラムをふりかえり語りました。