顕微鏡に関するワークショップ・シリーズが始まりました
OISTの目的のひとつは、沖縄の発展に寄与することにあります。しかし、地域のニーズをくみ取ることは、「言うは易し、行うは難し」ということわざ通り、口で言うほど簡単ではありません。OISTの丸山一郎教授は、OISTには高性能な顕微鏡が備わっており、これらを利用できる外部の方の中にはその使い方を熟知している方が少ないという現実に大変驚かれたそうです。このことがきっかけとなり、同教授は、OISTが所有する最新鋭の顕微鏡の使い方を習得してもらうため、専門家による講義や実践的なトレーニングを含む一連のワークショップの開催を決定しました。そして、二光子蛍光共焦点顕微鏡に関する第一回目のセッションが、5月15日から17日にかけて行われました。
本セッションは、丸山教授率いるOIST情報処理生物学ユニットの客員研究員である石館文善研究員がワークショップの講師を務めました。石館研究員は、OISTのほかにも京都大学で客員教授を務めるなど複数の研究機関に所属し、数か月前に定年退職を迎えるまで、二光子蛍光共焦点顕微鏡を開発するカールツァイス社(Carl Zeiss MicroImaging)に43年間勤務されていました。今回のワークショップへの参加理由について石館研究員は、顕微鏡に対する情熱と、これまでの職務経験から得た「いわゆる財産を他の方とも共有したい思いから」と、語ってくれました。今回のセッションには28名が参加し、そのうち約半数がOIST関係者、残り半数は琉球大学や国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)を始めとする県内の他の研究機関からの参加者でした。石館研究員による初日の講義に続いて、参加者が3つのグループに分かれて行う実践的なトレーニングが2日にわたって開催されました。
沖縄高専の祖納元りえさんは、「教科書に掲載されている図でしか見たことのないモーター・タンパク質などの物質の構造を、実際に動画で見ることができた」と、ワクワクした様子で話してくれました。祖納元さんの同級生の具志堅央さんからは、ワークショップが英語で行われたことが良かった、との感想が寄せられました。具志堅さんは、自然界に多く見られる甲殻類の貝殻に含まれるキチンという複合体について研究を進めており、英語を使って自分の研究を世界中の研究者に伝えたい、という目標についても語ってくれました。
全内部反射蛍光顕微鏡について学ぶ次回のセッションは6月5日から始まります。また、蛍光相関分光法に関するセッションは11月の開催を予定しています。現在、丸山教授が他の蛍光顕微鏡ワークショップの開催準備を進めています。
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