OIST COI-NEXT 第2回シンポジウム開催 - 立ち上げから1年、活動が本格軌道に

OIST COI-NEXT年次シンポジウムが2024年2月20日に開催されました。

OIST COI-NEXT Annual Symposium 2023

OIST COI-NEXT年次シンポジウムが2024年2月20日に開催されました。文部科学省、琉球大学、株式会社コランダム・システム・バイオロジーなど、沖縄科学技術大学院大学(OIST)だけでなく様々な機関から120人を超える参加者がOISTのキャンパスにに集まりました。

OISTが科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択され、「グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点」を立ち上げてからおよそ1年が経過しました。2023年3月に行われたキックオフシンポジウムに続き、この度第2回シンポジウムが開催され、同拠点の進捗について確認しました。

Prof. Nicholas Luscombe, Project Leader of OIST COI-NEXT
グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点の共同プロジェクトリーダーであるニコラス・ラスカム教授が、同拠点のこれまでの歩みと、今後の方向性について説明。
OIST/Jeff Prine
グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点の共同プロジェクトリーダーであるニコラス・ラスカム教授が、同拠点のこれまでの歩みと、今後の方向性について説明。

シンポジウムでは、グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点の共同プロジェクトリーダーであるニコラス・ラスカム教授が、同拠点のこれまでの歩みと、今後の方向性について説明しました。まず、同拠点のコンセプト「ワンヘルスの実現(ワンワールド・ワンヘルス)」について、そして10年のビジョンについて話しました。ラスカム教授は「健康な心と体、そして環境のつながりは不可分である」と述べ、プロジェクト全体を導くコンセプトを分かりやすく説明しました。研究プロジェクト全体に共通する「一体性」は、異なる種類の知識を結びつけ、研究開発部門の多様なアクターを巻き込むものです。グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点は、連携や研究を通じて、社会にとってプラスとなる成果を生み出すことに注力しています。

同拠点は学内公募を経て、2024年度に向けて新たに六つのプロジェクトを追加しました。現在、OISTの研究ユニットと外部パートナーが参加する研究プロジェクトは18件となっています。

 COI-NEXT シンポジウム2023-パネルディスカッション
OIST COI-NEXTに参加する研究者、事務局、産業界のパートナーらが参加するパネルディスカッションの様子。
OIST/ジェフ・プライン
OIST COI-NEXTに参加する研究者、事務局、産業界のパートナーらが参加するパネルディスカッションの様子。

COI-NEXTは、OIST Innovationとの連携を通じて、沖縄の経済発展の促進にも貢献しています。スタートアップに具体的な支援を提供することを目的としたスタートアップ・アクセラレーター・プログラムがこのイニシアティブには含まれています。COI-NEXTとOIST Innovation は、イノベーションと起業家精神を支援することで、地域の成長と繁栄に貢献します。

OIST Innovationのローレン・ハ准副学長(技術開発イノベーション担当)は「To and From Industry(産業界へ、そして産業界から)」と題した講演の中で、スタートアップ・アクセラレーター・プログラムの方法論と進捗状況について説明を行いました。2024年度は、ブートキャンプを含む複数の段階を経て、69件の応募の中から4チームが選抜され、OIST Innovationの支援を受けながら、新会社設立に向け、戦略を特定・計画するという紹介がありました。

OIST Innovationのローレン・ハ准副学長(技術開発イノベーション担当)
講演(タイトル:「To and From Industry(産業界へ、そして産業界から)」)を行うOIST Innovationのローレン・ハ准副学長(技術開発イノベーション担当)。
OIST/ジェフ・プライン
講演(タイトル:「To and From Industry(産業界へ、そして産業界から)」)を行うOIST Innovationのローレン・ハ准副学長(技術開発イノベーション担当)。

ラスカム教授は、今後の活動の課題として、プロジェクトをより高いレベルで統合すること、また、国際レベル、非学術レベル、地域レベルにおいて、現在まだ関わっていない人々との連携を強化することを挙げました。 この点について、最初にプレゼンテーションを行った 琉球大学COI-NEXT『資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステイナブル陸上養殖のグローバル拠点』副プロジェクトリーダーの羽賀史浩教授は、プロジェクト 「農水一体型システム」を紹介しました。養殖システムの循環と農業と養殖の統合強化を通じて、食料、エネルギー、気候に関するSDGsの目標に焦点を当てています。

Prof. Fumihiro Haga, Deputy Project Leader of COI-NEXT from the University of the Ryukyus
琉球大学COI-NEXT『資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステイナブル陸上養殖のグローバル拠点』副プロジェクトリーダーの羽賀史浩教授は、プロジェクト 「農水一体型システム」を紹介。
OIST/Jeff Prine
琉球大学COI-NEXT『資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステイナブル陸上養殖のグローバル拠点』副プロジェクトリーダーの羽賀史浩教授は、プロジェクト 「農水一体型システム」を紹介。

シンポジウムでは、社会的インパクトが期待される具体的な取り組みについてプレゼンテーションが行われました。OIST発達神経生物学ユニットを率いるゲイル・トリップ教授は、注意欠如多動性症(ADHD)の研究を社会にどのように役立てていくことができるかについて説明しました。最後を締めくくったのは、株式会社コランダム・システム・バイオロジー代表取締役の大竹秀彦氏によるプレゼンテーションでした。同社は、OISTとの共同研究で健康状態に関する複数のパラメーターと相関するメタゲノミクスを用いて、ヒトのマイクロバイオームを大規模に自動解析することを提案しています。このようなアプローチは、近い将来、大きなインパクトを与える可能性を秘めています。

Karin Markides, President of OIST
OIST学長兼理事長のカリン・マルキデス博士による講演。
OIST/Jeff Prine
OIST学長兼理事長のカリン・マルキデス博士による講演。

シンポジウムのでは、OIST学長兼理事長のカリン・マルキデス博士とOIST Innovation ビジネスディベロップメントスペシャリストの栗原聖之氏がそれぞれ、イノベーションと産学連携における重要な視点についても語りました。二人とも、産学連携において豊富な経験を持ち、その知見を熱心に聴衆と共有しました。二人のメッセージの核心は「学術研究に基づくイノベーションを成功へと導く決定的な要因は、卓越したビジョンとリーダーシップである」ということでした。

---

執筆:Mari Bergsvag

OIST COI-NEXT ポッドキャスト

OISTポッドキャスター・イン・レジデンスが同シンポジウムを紹介しました。

OIST発の科学技術イノベーションが未来を拓く:OIST COI-NEXT年次シンポジウム2023レポート

また、英語のポッドキャストでも同シンポジウムを紹介しています。

https://www.oist.jp/research/podcast

広報・取材に関するお問い合わせ
報道関係者専用問い合わせフォーム

シェア: