沖縄の未来は明るい!高校生による起業プランコンテスト
沖縄科学技術大学院大学(OIST)と在沖米国総領事館の共催により、地元沖縄の高校生の科学教育と英語教育、さらに起業家精神を育むイベントが2018年12月8日(土)恩納村谷茶のOISTで開催されました。
少し緊張した面持ちで会場に入ってきたのは、書類選考で選ばれた沖縄県内の高校生たち。この日のために、科学実験と考察、そしてその結果を事業化するためのアイデアを練り、プレゼンの練習をしてきました。
今年第7回を迎える「SCORE! サイエンスin沖縄:起業のための研究能力 サイエンスフェア」は、県内の高校生が起業を視野に入れた科学研究プロジェクトをプレゼンで競い合うイベントです。自分たちに身近な課題を科学技術で解決しようと、未来の発明家・起業家が奮闘する様子を見ることができるイベントです。
今年は沖縄本島全土から集まった8校・12チームの生徒が完成度の高い発表を繰り広げ、審査員はどのチームも甲乙つけ難いと、予定時刻を超える話し合いを行い選考しました。それぞれのプロジェクトは、科学的考察が適切かどうか、創造性と起業家精神に富むアイデアかどうか、そして観客を魅了させるようなプレゼンを行ったか、など総合的に評価され、優勝は「沖縄県産フルーツフィッシュの開発」について発表した沖縄水産高等学校総合学科海洋生物系列3年生の新垣 佑美茄さん、佐々木 絵凜南ドゥエルさん、神谷力さんのチームが手にしました。2位には「サンゴの卵を自動回収するシステム」を発表した沖縄工業高等専門学校の眞榮田大和さん、3位には英語で「Okiスター プロジェクト」を発表してくれた沖縄水産高校Sea Men’s Clubの森原海さんと宮城英光さん、そして特別賞として「骨導音のフォルマント解析による発達障害におけるコミュニケーション補助器具の開発」を発表した美里高等学校地球科学同好会の玉城 紀香さん、安里 憂依さん、與久田 彩奈さんが選ばれました。
優勝チームにはOISTでのインターンシップの他に、米国研修旅行が授与されました。優勝チームの佐々木さんは、「まさか優勝できるとは思っていなかったけれど、これまで研究してきたことがこうした結果として残せてうれしい」と喜びを述べてくれました。チームが取り組んでいる、ヒラミレモン(シークワーサー)の精油製造業者が遠心搾汁時に出すパルプを利用した混合飼料を地元の養殖漁業者と共同で給餌飼育した「フルーツフィッシュ」について神谷さんは、「技術を特許申請まで持って行ったところがよかったのでは」と優勝の要因を分析しました。新垣さんは、「魚臭さが原因で魚が苦手な人が多いので、美味しい魚を作って、日本の漁業発展のためにも今後も頑張って行きたい。」と話しました。
審査委員長のマイケル・アディオロ在沖米国総領事館領事部副領事は、それぞれのチームが取り組んでいるプロジェクトは、想像力に優れ素晴らしいとした上で、「皆さんがこれから沖縄を背負って立つ未来の世代だと思うと、誇りに思う。」と審査員を代表して皆の健闘を称えました。
SCORE!2018の出場チーム(出場順):
- 沖縄水産高等学校 : Oki スター プロジェクト
- 球陽高等学校:自然の虫よけスプレー!?虫が嫌うベニボタルの体液について
- 那覇国際高等学校:人工海水を用いたクビレズタ(海ぶどう)の養殖法の検討~肥料の探索~
- 沖縄工業高等専門学校:サンゴの卵の自動回収するシステムの開発に挑む
- 美里高等学校:骨導音のフォルマント解析による発音障害におけるコミュニケーション補助器具の開発
- 球陽高等学校:沖縄県産植物に含まれる無色の紫外線吸収物質の探索 ~オオバギの茎からの分離とその活用~
- 北山高等学校:河川自然再生プロジェクト ~水無し川に水生生物を呼び戻そう!~
- 北部農林高等学校: Green cinnamonで村興しを ~カラキの新商品開発で大宜見村活性化計画~
- 沖縄水産高等学校:沖縄県産フルーツフィッシュの開発
- 中部農林高等学校:製紙スラッジを活用したエコ資材の開発~産業廃棄物を癒しの空間へ~
- 沖縄工業高等専門学校:海中IoTとグリーンAIによるサンゴ観測システムの開発 -サンゴ礁の保全と再生に向けてー
- 球陽高等学校:森でつなぐ観光と教育
SCORE!2018の審査員の方々:
- マイケル・アディオロ氏、在沖米国総領事館領事部 副領事
- 石原 啓氏、豊見城南高等学校 校長
- 鈴木 祥宏氏、OIST技術移転セクション 技術ライセンススペシャリスト
- 富名腰 敬氏、OISTマイクロ・バイオ・ナノ流体ユニット リサーチユニットテクニシャン
- 豊川明佳氏、沖縄大学 法経学部 法経学科 准教授