有馬朗人博士とのサイエンストーク

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 8月23日、沖縄工業高等専門学校の学生7名が、山城英之教授(生物資源工学科)の引率でOISTを訪れ、OIST運営委員会共同議長の有馬朗人博士(日本科学技術振興財団会長、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム会長)を囲む懇談会「サイエンストーク」に参加しました。

 冒頭、沖縄科学技術大学院大学学長予定者のジョナサン・ドーファン博士が御挨拶に立ち、この中で有馬博士について、「高名な物理学者。世界でも名高い教育者であり、東京大学の総長も務められた。俳人としてもご活躍されている。」と紹介しました。

 「科学技術立国の再興をめざして」と題した講話の中で、有馬博士は日本の若者はもっと自信をもってほしいと激励しました。戦後日本の教育を取りまく国際環境について同博士は、さまざまな統計比較から日本の小中学生の学力レベルが大幅に低下したように言われているのには事実誤認があり、統計対象となる国の数が大幅に増えたなかで、日本の順位は若干低下したのみであり、むしろ個人の知識力は上がっていると説明しました。一方で子どもの応用力は低下しており、自ら学び、解決する力を養って欲しいと訴えました。

 最後に、有馬博士は日本のエネルギー問題についてふれ、我が国は主要国の中でエネルギー自給率が最下位であり、ドイツを見習って風力や太陽光、水力を利用した再生可能なエネルギー開発に取り組むべきと指摘しました。

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 その後の質疑応答では、波照間さやかさん(専攻科1年)がデータを読み解く力について質問し、有馬博士は裏付けデータを見て比較することの重要さを指摘しました。また、祖納元りえさん(専攻課1年)から学生時代の勉強について聞かれると、有馬博士は若き日の写真入りのスライドを見せながら、日本の神話や物理の本を読むのが好きだったこと、モーターや鉱石ラジオ作りに夢中になったことを話し、自分で課題を見つけ、考え、取り組むことで知識が広がり、応用力が身に付いたと説明しました。新城綾樹さん(本科5年)が、10代最後にやっておくべきことについて質問したのに対し、有馬博士は英語力を身につけることと、自ら進みたい分野についての基礎の勉強をしておくようにと助言しました。

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 記念のグループ写真を撮影した後は、山田真久博士(コモンリソースグループ研究統括)の案内で施設内を見学しました。OISTの研究機器を間近で見た学生たちは、その研究環境に驚くとともに、窓越しに臨む素晴らしい景観に感動している様子でした。

 OIST事務スタッフも加わった昼食時には、山田博士が若い頃の研究の日々について振り返るとともに、沖縄科学技術大学院大学で実現する研究分野間の壁を除いた自由な教育研究環境を、前例のない真のチャンスと熱く語り、学生たちは熱心に聞き入っていました。

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 一日を振り返り、全員が有馬博士や山田博士の話に大いに刺激を受け、今後の学生生活に貴重なアドバイスを受けるなど有意義な時間を過ごせたと感想を述べていました。天久隆貴さん(本科5年)は、サイエンストークに参加して研究へのモチベーションが上がったと笑顔で答えていました。

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 上で御紹介した以外の参加学生は、森田この美さん(専攻科2年)、吉田兼大(専攻科2年)、當山未樹さん(専攻科1年)です。

(名取 薫)

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