秘密計算技術がつなぐ、暗号技術研究とプライバシー保護の新たな架け橋
沖縄科学技術大学院大学(OIST)とデンマークのソフトウェア企業Partisia社は、秘匿マルチパーティ計算技術(MPC)の研究を推進し、革新的なプライバシー強化技術のソリューション開発を強化するための覚書に署名しました。この連携により、双方の専門知識を結集し、秘密計算、量子耐性暗号技術、サイバーセキュリティに関するグローバルな知見の提供を目指します。
OISTの研究グループが持つ専門知識と技術を活かし、Partisia社は、MPC研究における豊富なノウハウと長年の経験を活用して、この協力関係を推進していきます。次の項目において、両者は緊密に連携して取り組んでまいります。
- 暗号技術、秘密計算、サイバーセキュリティ分野における共同研究プロジェクトの実施
- OISTとPartisia社間での研究者交流訪問やインターンシップの促進
- 共通の関心分野に関する研究教材の共同開発と知識の普及
- 日本、EU、その他の地域での研究助成金申請における協力
- 国内でのイノベーションの機会を見出すための協力
Partisia社のチーフ暗号プロトコル設計責任であるClaudio Orlandi教授は次のように述べています。「暗号技術、量子技術、サイバーセキュリティなどの分野において学際的な研究を展開するOISTとのコラボレーションを楽しみにしています。OISTのカルロス・シッド教授が率いる応用暗号ユニットは、量子耐性暗号の分野において重要な成果を上げており、これは我々が取り組んでいる秘匿マルチパーティ計算やその他のプライバシー強化技術の研究、開発、商業化における先駆的なアプローチと非常に合致しています。この協力関係を通じて、デンマーク、日本、そして世界中で、高度なプライバシーおよびサイバーセキュリティ技術の研究・開発・導入を加速し、より安全なデジタル社会の実現に貢献できると確信しています。」
OISTの応用暗号ユニットを率いるカルロス・シッド教授は次のように述べています。「Partisia社との連携を大変嬉しく思います。MPCの理論的基盤の多くを確立し、さまざまな応用を提案し、効率性の向上に地道に取り組み、MPCシステムの社会実装を実現するなど、Partisia社の貢献は計り知れません。プライバシー強化技術、MPC、量子暗号は、暗号研究及び実装において非常に活発で重要な分野であり、私たちの共通の関心事です。私たちは、古典的な方法と量子技術の両方において、安全なデータ共有と計算に向けた革新的な解決策に取り組むいくつかの研究プロジェクトを共に進められることを期待しています。この連携による研究者交流の枠組みの中で、沖縄にPartisia社の暗号学者をお迎えできることを楽しみにしています。OISTにおける暗号研究の活動をさらに発展させ、Partisia社が日本での存在感を強化する中で、共に協力して取り組む素晴らしい機会になるでしょう。」
Partisia社について
Partisiaは、暗号化されたデータを安全に操作・計算できるよう支援する革新的なソフトウェア企業です。 秘匿マルチパーティ計算および高度な暗号技術の分野で世界をリードするパイオニアたちによって設立され、個人、政府、民間企業のデータを暗号化し保護されたままデータ分析を可能にするプラットフォームを提供しています。
OISTについて
2011年に設立したOISTは、国内外から優れた人材を獲得して質の高い研究を行うことで、世界最高水準の研究拠点の形成を推進します。沖縄における技術移転およびイノベーションを促進する知的クラスターの核となることを通して、世界の科学技術へ寄与するために日本政府の主導により創設されました。先駆的な大学院大学として、科学的知見の最先端を切り拓く研究を行い、次世代の科学研究をリードする研究者を育て、沖縄におけるイノベーションを促進する拠点としての役割を果たすことを使命としています。