卓越した科学者たちがOIST理事に就任

ノーベル賞受賞者のセルジュ・アロシュ博士と李遠哲博士、アルブレヒト・ワグナー教授がOIST理事に就任しました。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の管理運営において、その権限と責任は本学の理事会に委ねられています。理事会は毎年5月と10月の年2回定例会合を開きます。国際的に著名な科学者や科学技術関係の組織運営者で構成されており、現在4名のノーベル賞受賞者が含まれています。

 今年10月1日の会合では、セルジュ・アロシュ博士と季遠哲博士、アルブレヒト・ワグナー博士がOISTの理事に任命されました。

 セルジュ・アロシュ博士は物理学者で、1944年にモロッコの都市カサブランカで生まれました。フランスの高等師範学校(ENS)を卒業後、1971年にパリ第6大学で博士号を取得しました。1972年から1973年まで米国スタンフォード大学で客員研究員として勤務し、1975年から2001年までパリ第6大学の教授を務めた後、2001年にコレージュ・ド・フランスで量子物理学の教授に任命されました。これらの経歴に加え、エコール・ポリテクニークで准教授(1974-1984年)、ハーバード大学で客員教授(1981年)、イエール大学で非常勤の教授(1984-1993)、フランス大学学院のメンバー(1991-2000年)、ENSの物理学部長、コレージュ・ド・フランスの学長(2012-2015年)など、様々な要職を歴任しました。アロシュ博士の功績は、量子光学や量子情報科学分野の発展に大きく寄与してきました。これまで数多くの賞を受賞しており、2012年には、個々の量子系の観測・操作を可能にした画期的な実験法の有効性が認められ、米国の物理学者デービッド・ワインランド博士と共同でノーベル物理学賞を受賞しました。

 李遠哲博士は、台湾出身の化学者でOISTとの関係は長きにわたります。2007年にOISTの前身である沖縄科学技術研究基盤整備機構の運営委員に就任以降、本学の発展に大きく貢献してきました。2013年まで沖縄科学技術大学院大学の理事を務めた後、一度退任しましたが、2年後の2015年10月に再び本学理事への就任を受諾しました。1986年にノーベル化学賞を受賞し、その後も李博士の科学への貢献は多くの国から称賛されています。現在、世界の大学41校より名誉博士号を授与されています。その他、米シカゴ大学やカリフォルニア大学バークレー校では教授に就任し、国立台湾大学で名誉教授、台湾中央研究院では特別リサーチフェローを務めました。また、同博士は1994年から2006年まで、台湾中央研究院院長を務めました。

 アルブレヒト・ワグナー博士はドイツ出身の素粒子物理学者です。ドイツのハイデルベルク大学で博士課程を取得後、同学や米国のローレンス・バークレー国立研究所に加え、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)、欧州原子核研究機構(CERN)などの機関で研究者として勤務しました。1984年にハイデルベルク大学の教授に就任し、1991年にはハンブルク大学の教授に就任しました。ハンブルク大学在籍中に、DESYの所長にも任命されています。1999年から2009年まで、DESY理事会の委員長を務めたほか、複数の国際的なコンソーシアムを率いる重要な役割も担ってきました。その中には、TESLA Technology Collaboration Boardの委員長(2005-2009年)や将来加速器国際委員会(ICFA)の委員長(2006-2008年)も含まれます。ワグナー博士は様々な諮問委員会や審議会などの委員を歴任しました。それらにはヘルムホルツ協会副会長(2001-2008年)、ハンブルグ大学の評議委員会委員長(2008年-)、ヨアキム・ヘルツ基金委員(2010年-)が含まれています。以前は、沖縄科学技術大学院大学評議員会の議長も務めていました。ワグナー博士は複数の名誉学位を授与されており、ドイツ連邦共和国功労勲章一等功労十字章を含む多くの受賞歴があります。

 経験豊富で国際的にも影響力を持つ新たな有力メンバーが理事会に加わったことで、今後のOISTの発展が増々促進されるものと期待されます。

 OIST理事会メンバー一覧はこちらからご覧いただけます。

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