命あふれるやんばるの森を描く
10月1日から31日までOISTキャンパスにて、沖縄県国頭村在住の画家菊田一朗氏による水墨画の屏風展を開催しています。菊田氏は、伝統的な技法で自ら仕立てた屏風に日々沖縄北部の森やんばるで出会う動植物を作品化しています。本展示会では、やんばる固有の鳥ヤンバルクイナとクワズイモを描いた『浴(よく)』や秋にピンクの花を咲かせるフヨウを描いた『芙蓉』など29点の作品が展示されています。
福島県の里山で生まれ育った菊田氏は、少年時代から昆虫や鳥など身近な自然を描くのが好きだったと言います。やがて自然の表面を描くのではなくて、自然のもっと本質的なものを描きたいと思うようになりました。そして、花や鳥や山など見ているものは循環している自然の一部の姿であり、自然は一つであるということに気づいたときに、それを表現しようと、色彩を省いて墨一色で描く水墨画の発想に行き着きました。
「自分の自然観がどれだけ相手に伝わっているのかとても気になる」と言う菊田氏は、様々な文化的背景を持つ人が見る機会の多い今回の展示会について、「率直にどんなふうな感じ方をされるのかぜひお聞きしたいと思っています」と語っていました。
会場では、作品の制作過程をまとめたビデオや屏風の伝統技術を解説したパネルも併せて展示しています。ぜひこの機会に本学にお越しいただき展示会をお楽しみください。