沖縄海洋研究の連携へ向けて
地球温暖化、海難捜索、サンゴ礁群集調査に共通するものとは ―?
去る1月31日、OISTで沖縄海洋調査・研究連絡会が開催され、海洋生態物理学ユニットの研究員たちをはじめ、県内の様々な機関から海洋調査に携わる方々が集まりました。OISTのジョナサン・ドーファン学長の挨拶で始まったこの連絡会は今回が2回目で、同会は参加者にとって貴重な情報交換の場であるともに、将来にわたる連携を模索する機会となっています。
気象庁沖縄気象台から参加された浅見幸宏氏は、「海洋の健康診断表」と題した発表の中で、同庁による長期・短期・週~月単位の海洋観測について説明し、観測の結果は天気予報や地球温暖化への対応に活かされていると述べました。第十一管区海上保安本部の手登根功氏は、同氏が昨年沖縄・黒島沖で実施した潮流観測について発表しました。手登根氏は、立て続けにおきたマリンレジャーの事故で死亡者も出たのを受けてこの観測を実施することになったと説明した上で、事故の原因は海上を吹く風の影響を受けた吹送流が海岸と平行に流れたことで、経験浅いシュノーケリング客をパニックに陥れてしまったようだと結論づけました。
OIST海洋生態物理学ユニットからも坂上太一郎研究員と長谷川大介研究員がそれぞれ発表に立ち、坂上研究員が沖縄版高解像度海洋シミュレーションの開発状況について、長谷川研究員が沖縄本島北部に位置する伊平屋島と伊是名島の間の潮汐流予測について話をしました。 同ユニットではこのような予測モデルと海洋観測を組み合わせて、サンゴなど、海流によって輸送される海の生物の幼生が、どのように分布しているかについて調べています。坂上研究員は、気象庁や海上保安庁が収集した観測データとシミュレーション結果を比較することで、よりリアルな予測が可能になると述べていました。
海洋生態物理学ユニットの御手洗哲司准教授は、「沖縄県内には様々な専門性を有する機関が複数存在し、質の良い海洋観測システムを構築するために必要な素地が十分にあります。この海洋調査・研究連絡会はその中心を担うグループになると信じています。」と語っています。
今回の会合にはこの他にも琉球大学(西原町)、沖縄県水産海洋研究センター(糸満市)、沖縄電磁波技術センター(恩納村)、そして水産総合研究センター(石垣市)からもご参加いただきました。
(名取 薫)
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