沖縄とハワイの専門知識を結集し、地球規模の課題に取り組む

持続可能な未来を目指し、世界各地で環境問題への取り組みが加速する中、島嶼地域ならではの自然環境に着目した国際的な研究プロジェクトが始まろうとしています。沖縄科学技術大学院大学(OIST)とハワイ大学マノア校 海洋地球理工学部・海洋学科の上廣海洋学振興センター(UC・AO)が協力し、台風が沖縄周辺の海洋環境、海洋生態系、そしてブルーエコノミーに与える影響の解明を目指します。
本プロジェクトに取り組むのは、OISTの御手洗哲司教授、佐藤矩行教授、パヤル・シャー博士、北野宏明教授です。研究者らはUC・AOの研究者とともに、沖縄の海洋が台風によってどのように変化するのか、またその変化が生態系や沿岸経済にどのような影響を及ぼすのかを調査します。
沖縄の海は、豊かな生物多様性を誇る一方で、冬の嵐や台風などの極端な気象現象によって大きく変動するダイナミックな環境でもあります。本研究では、海流、温度、塩分、溶存酸素、有機物、プランクトンなどの海洋パラメータを継続的にモニタリングし、そのデータを高度な海洋シミュレーションと統合します。これにより、台風による急激な変化が海洋システム全体に及ぼす影響を明らかにし、海の安全性向上や持続可能なブルーエコノミーの発展に貢献することを目指します。

このプロジェクトは、2024年に行われたUC・AO研究者のOIST訪問、そしてOIST代表団による上廣倫理財団への訪問を経て、同財団の支援によって実現しました。2025年4月に本格始動し、最先端の海洋学研究を推進しながら、沖縄とハワイの協力関係をさらに深めることが期待されています。
台風が海洋環境に及ぼす影響は、沖縄だけでなく、世界中の沿岸地域に共通する課題です。本研究が、島嶼地域の未来を見据えた新たな知見をもたらし、持続可能な社会の実現に向けた一歩となることが期待されます。