OIST-KEIOサマーキャンプで世代を超えた相乗効果を生み出す
沖縄科学技術大学院大学(OIST)と慶應義塾大学は、これまで、相互に有益な実り多い関係を築いてきました。この連携による取り組みの一つが、慶應義塾大学の医学部学生がOISTの国際的な環境で基礎研究を直接体験する、毎年恒例となった「OIST-KEIO インターナショナル・リサーチ・サマーキャンプ」です。
10日間にわたるサマーキャンプでは、学生たちは80以上あるOISTの研究ユニットの中から一つに参加し、教授や研究者、大学院生と緊密に協力しながら、実際に研究活動に参加します。今年で3回目となるサマーキャンプで、慶應義塾大学の学生は、サンゴの植え付けツアーや、沖縄の言語・歴史の授業、学術英語や三線のワークショップなど、OISTキャンパス内外で様々な科学、レクリエーション、文化活動にも参加します。この取り組みは、OIST評議員の川崎達生氏から多大な支援を受けて行われるもので、同氏のご寄付により、次世代の科学者を育成するための充実した体験を提供することが可能となっています。
今年は、慶應義塾大学医学部の学生20人が、細胞機能から計算神経科学、海洋生態学まで、様々な分野の研究室に入り、そこで実際行われている研究に参加しました。学生の一人は、「研究には多くの学習、苦労、思考が伴うことを学びました。また、将来のキャリアについても、良いアドバイスや洞察を得ることができました」と語りました。また、別の学生は、「将来の研究に向けて、大きなモチベーションを得ることができました」と述べています。
一方、指導側となったOISTのメンターたちも、自身の研究に対する新たな視点を得ることができ、学部学生と共同で作業を行うことで、指導方法や研究計画の立案について貴重な洞察を得られました。ある教員は、「学生たちと協力し、彼らの好奇心が育っていくのを見るのはとても楽しかったです。このキャンプのおかげで、指導方法も改善できました。お互いにとって有益な経験だったと思います」と話しています。
参加者たちは研究活動に加えて、多文化で多様な研究者やスタッフが活躍するOISTのキャンパス環境を体験しました。OISTの英語クラスや、フラッシュトークやスピードネットワーキングなどを通じ、博士課程の学生やスタッフとの様々な交流会、その他多くのワークショップやイベントの中で、英語での会話やアカデミック英語のトレーニングや練習に取り組みました。多くの参加者たちにとって、この多文化環境は新たな視野を広げる体験となりました。ある学生は「英語を使うことができ、世界中から集まった多くの研究者と交流できる環境がとてもよかったです」と語り、また別の学生は、交流イベントのおかげで「英語での会話に自信を持てるようになりました。様々な国の人たちと話す機会がたくさんありました」と強調します。
サマーキャンプに参加した慶應義塾大学の学生の85%が、10日間のキャンプだけで終わらず、国際的な研究環境での実地体験をさらに深めるために、リサーチ・インターンシップ・プログラムを通じてOISTに再び戻ってきています。 インターンとしてOISTに再び戻ってきたある学生は、最近、パイ共役ポリマーユニットのメンバーと有機化学に関する論文を共同執筆し、その論文は学術誌『Organic Letters』に掲載されました。
今後、慶應義塾大学とOISTの連携は、パイロットプログラムである「慶應義塾大学・OIST臨床研究連携」により拡大していく予定です。このプログラムにより、OISTの研究者が慶應義塾大学医学部に常駐し、医学やその他の分野における相乗効果、イノベーション、研究のさらなる発展が期待されます。
本プログラムの一部は文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の支援を受けて実施しました。