OISTを拠点にするバイオベンチャーが沖縄進出1年目で大きな成果
沖縄科学技術大学院大学(OIST)が支援しているスタートアップ企業、GenomeMiner社が、沖縄進出1年目にして、研究開発と資金確保の両面で順調に成果を出しています。
東京で設立されたGenomeMiner社は、昨年沖縄に移転し、OISTのスタートアップ支援プログラム「イノベーションスクエア・スタートアップアクセラレータープログラム」に参加しました。本プログラムは、主に沖縄県から資金提供を受け、県内で技術系企業の立ち上げを希望する科学者を支援することを目的としています。GenomeMiner社の目標は、微生物の遺伝子の中から、新薬等に活用可能な有用物質を生み出す原因遺伝子を特定するソフトウェアプラットフォームを開発することです。このプラットフォームで特定された遺伝子を利用して、微生物の遺伝子操作を行うことで、有用物質の生産量を増やしたり、新たな化合物を生成したりできる可能性があります。同社は、移転する前から、亜熱帯に位置する沖縄県で微生物試料を入手していたため、すでに沖縄と深いつながりを持っていました。
同社が沖縄に移転して最初に達成した大きな成果は、独自の遺伝子操作技術を開発したことです。共同創業者兼CEOであるイーライ・ライオンズさんは、「先日、新しいゲノム挿入技術の仮特許を申請したところです」と報告しています。既に確立された有名なシステムであるCRISPR-Cas9はDNA塩基対を削除するのに適していますが、反対に、標的とするDNAの挿入を可能にするシステムも強く望まれています。「今回、仮特許を申請したのは、私たちが開発したシステムが非常に良く機能しているからです。もちろん、実用化にはまだ課題が残っていますが、この研究は、治療医学や遺伝子工学へ応用できる可能性を秘めています。」