OIST第二期生の選抜へ
住み慣れた土地から遠く離れた島に開学した新しい大学院大学での博士課程進学と聞くと、いささか尻込みしてしまう人がいるかもしれません。しかし、2月26日~28日にかけて開催されたOISTのアドミッション・ワークショップに参加した学生たちからは決して臆する様子など見受けられず、カナダ出身のアレキサンドレ・グェットマククレイトさんは、「今までOISTのことを知らなかっただけで、今ではすっかりその魅力にとりつかれています。」と感想を述べてくれました。
2013年のOIST博士課程に出願したおよそ200名の中から選出された42名の学生候補が沖縄を訪れ、3日間にわたってオリエンテーション、論文の書き方、面接、そして恩納村での生活を体験しました。本学独自の選抜方法により、学生とOISTとの相性を測ります。アカデミックサービスセクションのマネージャーを務めるハリー・ウィルソン博士は、「私たちが求めているのは、優れた研究を行おうとする意欲です」と述べ、「OISTが求める優秀な学生を獲得するためには決して大きすぎる投資ではありません。」とワークショップ開催の意義について語りました。また、学生にとっても、今回のようなワークショップに参加することは、ネット上の訪問とは異なり、本学を実際に訪れることでより具体的なイメージがわき、今後の5年間がどのようなものになるのかを垣間見ることができます。
応募者の6割が既に修士号を取得しており、タイやカナダ、ロシア、カメルーン、フィジーなどを含む、22の国から学生が集まってきています。学生候補者のうち、アナント・ジェーンさん、サンドリン・ブリエルハーさん、そしてアナンダナラヤナン・クマールさんの3名は既に技術員及びリサーチインターンとしてOISTで研究に携わっています。ジェーンさんの出願先12校のうち、最初に返事が届いたのはOISTからだったそうです。ジェーンさんは現在エリック・デ・シュッター教授率いる計算脳科学ユニットに所属していますが、ラボツアーは有益だったと言います。「多くの研究ユニットについてはほとんど何も知りませんでした。これらのユニットで働く科学者たちが非常に熱心であることに驚きました。」
ワークショップ初日には、ロバート・バックマンプロボーストとジェフ・ウィッケンス研究科長の案内により候補者はキャンパス内と複数の研究ユニットを見学しました。翌日は、教授5人以上との個人面接が活発に行われ、その中には学生の専門分野とは全く異なる研究分野の教授も含まれていました。3日目までおよんだ面接を終えた後、参加者と複数の教授は地元産の農産物などを扱う「おんなの駅」で沖縄料理を楽しみました。そこから更に足を延ばし、地元のスーパーマーケットや万座毛を訪れ、ここ恩納村で学生生活を送るとしたらどのようなものになるかを体験しました。
参加者の中には、出願先をOISTのみに絞った候補者も何人かいました。そのうちの一人がアメリカ出身のエミリー・クロッテウさんで、OISTが提供する真に学際的なプログラムが、大学院への出願を1年早める決定打になったと言います。クロッテウさんは、開学間もないOISTに入学したいという思いもあったそうで、「競争の激しい博士課程プログラム、校風を築く機会はそうはありません。」と述べました。
カザフスタン出身のイリーナ・レショコさんは、モスクワ大学(M.V.ロモノーソフ・モスクワ国立総合大学)で学んだ経験について、多忙な教授陣にいかにして時間を割いてもらうかが課題だったと言います。その点、OISTには学部生がいないため、教授陣と一緒に過ごせる時間が十分に確保され、昼食を共にすることも可能だと嬉しそうに話してくれました。何より彼女の興味をかきたてるのは異なる研究室で様々な経験を積むことが出来るラボ・ロテーションです。「ある特定の研究に専念する前に、いろいろな研究分野を試すことができます」とレショコさんは言います。
選考委員会は間もなく会合を開き、優秀な候補生の中から2013年9月入学の第二期生の選抜を行う予定です。