ADHDに関する講演を6月16日に開催します
沖縄科学技術大学院大学では、注意欠如多動性障害(ADHD)における環境的要因の専門家であるデイビッド・デイリー教授をお迎えし、6月16日(土)の午前10時から、一般向けの講演会をOIST講堂にて開催します。本講演は、ADHDを持つ児童の保護者の方に、障害の特性や対処方法について理解を深めて頂くことを目的としており、どなたでもご参加いただけます。また、本講演は英語で行われますが、日本語の同時通訳がつきます。
英国ノッティングハム大学で教鞭をとるデイリー教授は、ADHDの複雑性がもたらす様々な課題に興味を持ったことがきっかけでADHDの研究に携わるようになりました。ADHDの発症は、多くの遺伝的及び環境的要因に起因しており、人によって症状も異なります。ADHDは、その名が示すとおり、注意散漫、落ち着きがない、結果を考えずに衝動的に行動するなどの症状がみられる障害です。これまでの研究で、これらの症状は順番を守れない、時間感覚が欠如しているなどの原因の他、ADHDを発症した人とそうでない人との間で計画性や衝動性の制御に関わる脳の機能に差異があることがわかっています。現在デイリー教授は、ペアレンティング(子育て対処法)がいかにADHDの発症の可能性及びその重症度に関係しているか、特に、同一家族内におけるADHDを持つ児童の接し方の違いがどのように影響するかについて研究しています。
ADHDにはペアレンティングの方法や他の環境的要因が影響を及ぼしますが、デイリー教授によると、ADHDの児童を持つ保護者が非常に優れたペアレンティングのスキルを持っているにも関わらず、子どもの行動が原因で、周りから「悪い親」と不当な判断を受けることがあるそうです。このようなことからも、OIST子ども研究所(発達神経生物学ユニット)の島袋静香研究員は、土曜日の講演には、ADHDの児童を持つ保護者だけでなく、教師や他の方々にも参加して欲しいと呼びかけています。「この講演を通じてADHDに対する理解が深まり、誤った認識が改められ、ADHDのお子さんを持つご家族を地域で支援する動きが生まれることを願っています。」と、島袋研究員は話します。同研究員は、ADHDの児童を持つ日本人の保護者のためのトレーニング及び支援プログラムを開発中で、「ADHDの子どもの特性やその保護者が直面する問題を理解することが大切です。」と語ります。島袋研究員とデイリー教授は、本講演が沖縄において、ADHDの児童を持つ保護者に提供される支援の拡充に向けた第一歩となり、保護者がそうした支援を積極的に活用する動きにつながることを期待しています。
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