OISTの分子イメージング研究の強化につながる特許が移管されました
沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)は、創薬分野においてプロテイン・トモグラフィー技術に基づくビジネスを展開するスウェーデンのシデックテクノロジーズ・アーベー社(シデック)と、同社の特許ポートフォリオの一部の移管に関する契約を締結しました。この特許の移管によって、進展著しい分子イメージング技術の分野において、OISTの優位性が更に高められるものと期待されます。
移管される特許ポートフォリオは、OISTの構造細胞生物学ユニットの代表研究者であるウルフ・スコグランド博士が、スウェーデンのカロリンスカ研究所に在籍していた当時に得た分子電子トモグラフィー(Molecular Electron Tomography: MET)の研究成果を権利化したものです。METは電子顕微鏡技術と高速コンピュータの手法によって細胞内の分子や微細構造を3次元で可視化する技術で、シデック社は、これまで製薬企業との間で多くの共同研究を行い、この技術をもとに、抗体・抗原結合やタンパク質同士の結合、細胞膜上のウィルスの構造、様々な受容体との相互作用などについて、分子レベルで明らかにすることに成功してきました。OISTは、他の大学・研究機関や産業界と連携しながら、このMETの可能性を生物、医学、創薬分野に拡げていきたいと考えています。
OIST代表研究者ウルフ・スコグランド博士のコメント
「これは大変意義深い進展です。この特許ポートフォリオと、現在進めている開発によって、OISTは、学際的なイメージング技術の分野において、重要な機関としての位置づけを確立することができると思います。そして、ここ沖縄において関連ビジネスが生まれるきっかけにもなることでしょう。」
分子電子トモグラフィー(MET)によって可視化された、単一分子の3次元構造。4つの構成分子(Igドメイン)から成ることがわかる。 |
OISTについて
沖縄科学技術大学院大学は、沖縄において、科学技術の分野で世界最高水準の教育研究を行い、沖縄の自立的発展と世界の科学技術の発展に貢献することを目的として設立される新しい大学院大学です。その設置準備を進める沖縄科学技術研究基盤整備機構では、現在27の研究ユニット(研究スタッフ総数約170名)が神経科学、分子科学、数学・計算科学、環境科学などの学際的な分野での研究活動を実施しています。国際的なコースやワークショップの開催により、国際的な認知度も高まりつつあります。本年3月、文部科学大臣に対して、大学院大学の設置に関する認可申請を行う予定です。