日本の研究を支える専門人材「リサーチ・アドミニストレーター」が全国から沖縄に集結
2024年10月16日、17日の両日、一般社団法人リサーチ・アドミニストレーション協議会(RA協議会)が主催するRA協議会 第10回年次大会が、沖縄科学技術大学院大学(OIST)を会場に行われました。
RA協議会は、大学などの研究組織において、研究資源の導入促進、研究活動の企画・管理、研究成果の活用促進などの業務に従事する人材、「URA(University Research Administrator、またはRA)」が集う団体として、2021年4月1日に設立されました。(前身であるリサーチ・アドミニストレーター協議会は2015年3月11日設立。)
本大会は、年に一度、同協議会の会員のみならず、大学等の研究支援業務に関わる方々が一堂に会する機会であり、第10回の節目となる今年は、OISTが会場として選ばれました。「まるっとダイバーシティ~多様性の知から異なるバックグラウンドの力をけん引するURAとは~」という大会のテーマを掲げたことついて、OISTで大会事務局長を務めた、OIST外部資金セクションの藤松佳晃アシスタントマネジャーは、「昨今、URAに求められる役割は研究支援だけではなく、研究企画、マネジメント、大学経営への関与まで役割が広がりつつあり、様々な経歴や経験を持った人材が必要とされています。こうした背景を踏まえて、ここOISTという場所は、多様性を感じながらリサーチ・アドミニストレーションについて議論するのに絶好の会場であると思いました」と説明します。
今大会では、研究機関とURAに関するセッションや、研究力の強化と評価、研究プロジェクトのマネジメントなど、参加者のスキルアップや組織強化に資する38のセッション、10の口頭発表セッションに、115のポスター発表があり、出展ブースは12に及びました。100機関以上から764名が参加し、これまでで最大規模の大会となりました。
OISTのカリン・マルキデス学長兼理事長は開会の挨拶で、「新たな知識とリーダーを社会に輩出するという本学の重要なミッションを進めるために、URAの役割が非常に重要であると認識しています」と述べた上で、「本大会期間中に、是非OISTのスタッフと交流し、この環境を味わってください。本学は、私たち独自のベストプラクティスを他大学に発信・共有していくことも一つの役割だと考えていますので、皆さん、是非、私たちとご一緒できる活動をご提言ください」と、参加者を歓迎しました。
ホスト機関による特別セッションでは、OIST理事のイェスパー・コール氏が、「Ambitious Re-Imagination – Opportunities & Challenges for Japan」というテーマで講演を行いました。海外出身のエコノミストとしての視点から、世界の中で日本が独自の競争力を持ち、大きな可能性を秘めているという、日本に対する楽観的な視点を多くのデータを用いて示し、日本の大学や研究機関が今後挑戦できることについて示唆しました。
藤松さんは、OISTで研究者の外部資金獲得を支援をしており、2015年からRA協議会の会員として活動しています。「外部資金の獲得に向けて日々同じような業務を行っている他機関のURAとの意見交換やベストプラクティスの共有、学術書誌関連機関とのネットワーク等を通じてOISTの業務をより良い方向に改善しています。このような最新情報のアップデートや最新の外部資金に関する議論の機会のおかげで、外部資金獲得業務も順調に進んでいます」と、他大学や研究機関の会員同士のネットワークの重要性や、情報の共有の機会の重要性を実感してきたと話します。
今回OISTでRA協議会年次大会を開催できたことについて、「OISTの素晴らしい施設とスタッフを多くのURAの皆様に知っていただいたことによって、今後さらに他大学や研究機関とのつながりが密になるでしょう。さらに、我々の活動が共同研究や他機関と共同での外部資金への応募、獲得につながることになると思います」と述べています。
会期中、OISTのキャンパスは、日本の研究をよりよいものにするために研究現場を支援するリサーチ・アドミニストレーターや関係者764名の熱気に包まれました。
遠方からご参加いただいたご参加者の皆様、ありがとうございました。