日本の科学を世界に発信するためのサマースクール開催

海外のベテラン科学ジャーナリストが、国内の大学や研究機関の広報担当者を対象に、世界に向けた研究成果の発表の仕方を伝授しました。

 沖縄科学技術大学院大学は(OIST)は、8月15~16日の2日間、科学技術広報研究会(JACST)との共催で、国際科学広報に関する実践形式のサマーコースを実施しました。講師として英科学週刊誌「ニューサイエンティスト」編集長のローワン・フーパー氏、同誌エディトリアル・コンテンツ・ディレクターのヴァレリー・ジェイミーソン氏を迎えた同コースには、日本国内の大学や研究機関に所属する広報担当者や、科学ジャーナリズムに興味を持つOISTの学生等37名が参加。国際的な視野から見た、日本の科学広報の可能性や、効果的なプレスリリースの書き方と発信方法、さらに科学者と海外メディアとの関係構築のノウハウを学ぶなど、日本国内において科学広報を担う組織や個人が直面する課題に応える内容となりました。

 コース開始に先立ってOISTのニール・コールダー副学長(広報担当)は、「日本で、国際科学広報に関する初めての実践的なワークショップをOISTで開催できることを大変嬉しく思う」と述べ、全国から沖縄に集まった参加者を歓迎しました。1日目は、参加者同士の自己紹介の後、プレスリリースの効果や、海外ジャーナリストの要求を理解し、関心を引く話題を探し出す方法、英語でプレスリリースを作成する方法などを実践を交えながら学びました。また、参加者が業務上直面している課題を皆で語り合うことで、それぞれに新たな発見や解決方法を見出すことができました。2日目は、科学者とのコミュニケーション方法や、海外ジャーナリストとの関係構築、プレスリリースの送付方法、ソーシャルメディアを活用した研究成果の発信の方法などについて学びました。

 参加した京都大学iPS細胞研究所のカラギアニス・ピーターさんは「これまで科学者サイドで発信してきたやり方が、広報の観点から見ると間違っていたことがわかり、大変勉強になりました」とふり返っていました。九州大学の武井慧美さんからは、「同様の課題を持った広報担当者と意見を交換することができたのは嬉しかったです」との感想が聞かれました。また、講師のジェイミーソン氏は、「参加した全員の積極的な態度が印象的でした。日本でのこのようなワークショップは、今後も継続的に必要となると思います」と語り、フーパー氏は、「ワークショップの規模が参加人数が適切で、参加者とよく交流できてよかった」と述べるとともに、「世界で最も科学研究に力を入れている国と言える日本。その日本からもっともっと私たちジャーナリストに情報を届けて欲しい」と参加者を激励しました。

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