OISTとニッコー株式会社、革新的排水処理技術の実用化に向けライセンス契約を締結

持続可能な社会実現に向け、畜産業の環境負荷を軽減する新技術の商業化を目指します

沖縄科学技術大学院大学(沖縄県国頭郡恩納村、学長兼理事長:カリン・マルキデス、以下「OIST」)と、ニッコー株式会社(石川県白山市相木町、代表取締役社長:三谷明子)は、革新的な排水処理技術の実用化に向け、2025年3月21日にライセンス契約を締結しました。本契約を通じて、OISTとニッコーは長年の基礎研究に基づいた技術を実用化させ、国内外の畜産業の環境負荷軽減と持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

契約締結に伴い、2025年4月4日に締結式が開催され、OISTのカリン・マルキデス学長兼理事長、ニッコー株式会社の三谷明子代表取締役社長らが出席しました。

Markides and Mitani
OISTのカリン・マルキデス学長兼理事長 (左)と、ニッコー株式会社の三谷明子代表取締役社長 (右)。
OISTのカリン・マルキデス学長兼理事長 (左)と、ニッコー株式会社の三谷明子代表取締役社長 (右)。

連携の背景と取り組み概要
OISTの生物システムユニット(イゴール・ゴリヤニン教授)は、2017年より一般財団法人沖縄県環境科学センター、沖縄県畜産研究センターと共同で、養豚場から排出される有機物や、将来的に規制強化が予想される硝酸性窒素を同時に処理する新しい排水処理技術の開発に取り組んできました。本技術は、微生物を活用することで低メンテナンス・低ランニングコストでの処理を可能とし、従来の排水処理に伴う環境負荷を大きく軽減できる点が特長です。現在、特許出願中であり、2019年から沖縄県畜産研究センターの養豚場で実証試験を行っています。

2021年からは、排水処理メーカーのニッコー株式会社とともに、本技術を搭載した浄化装置のスケールアップおよびさらなる実証試験を進めてきました。本ライセンス契約により、ニッコーは装置の開発を本格化し、実用化を加速させていきます。

本技術開発は、OISTのPOC(Proof of Concept)プログラムおよび沖縄県の助成を受けて進められました。本技術が将来的には沖縄県内のみならず、国内他地域や海外の畜産業にも展開し、持続可能な発展に貢献できることが期待されます。

OISTのカリン・マルキデス学長兼理事長は次のように期待を述べています。「OISTの研究成果が産業界と結びつき、社会課題の解決に貢献できることを大変嬉しく思います。本技術は、沖縄県内の畜産業にとどまらず、広く地域経済に持続可能な発展をもたらす重要な一歩であり、ニッコー株式会社との連携により、より多くの地域にこの技術を届けられることを期待しています。」

ニッコー株式会社の三谷明子代表取締役社長は次のようにコメントしています。「OISTとの協力により、環境負荷を低減する新たな排水処理技術の実用化を推進できることになり大変光栄に思います。本技術を活用した製品を通じて、畜産業の環境対策を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。」


ニッコー株式会社について
1908年(明治41年)、石川県金沢市にて洋食器メーカーとして創業。現在は、「食」文化を彩る陶磁器事業部に加え、「水」を支える水創り事業部・環境プラント事業部、「住」む人の健康を守り、心身をリラックスさせる理想のバスルームを提供するバンクチュール事業部、快適性や省エネに貢献する機能性セラミック商品事業部を展開しています。これらの事業を通じて、日々の生活をより豊かで快適にする製品を製造・提供しています。


OISTについて
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、2011年に日本政府の主導により設立された大学院大学です。国内外から優れた人材を獲得して質の高い研究を行うことで、世界最高水準の研究拠点の形成を推進し、先駆的な大学院大学として、世界の科学技術に貢献することを目指します。さらに、沖縄におけるイノベーションを促進する拠点としての役割を果たすことを使命としています。

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