2024年度OIST修了生にエールを!

第6回学位記授与式で、15の国と地域からの学生29人に博士号が授与されました。

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学位記授与式(卒業式)は、学生が家族や友人と共に、努力の末に手に入れた成功を祝い、教育の旅路の勝利と挑戦を振り返る大切なイベントです。沖縄科学技術大学院大学(OIST)では、2024年5月25日に第6回学位記授与式が執り行われ、15か国・地域から集まった2024年度修了生29人に博士号が授与されました。 

恒例の、OISTのメンバーによる三線の演奏と琉球舞踊で、授与式は始まりました。カリン・マルキデス学長兼理事長は、この特別な日に駆け付けてくださった来賓を歓迎し、「本日は、OIST修了生29人の素晴らしい功績を祝うために、皆で集まれることをとても嬉しく誇りに思います。大学院教育は、新たな知識を追求することで身につく様々なスキルに加え、人格やレジリエンスを育み、様々な形で個人が成長することを意味します」と述べました。 

伝統的な琉球舞踊と三線の演奏
授与式は、OISTのメンバーらによる沖縄の伝統舞踊(琉球舞踊)と三線の演奏で幕を開けた。 
2024年度OIST修了生の面々
第6回学位記授与式では、15か国・地域から集まった修了生29人に学位が授与された。
修了生を祝福するカリン・マルキデス博士
第6回学位記授与式に出席した来賓を歓迎し、修了生を祝福するカリン・マルキデス学長兼理事長。

玉城デニー沖縄県知事の代理として、池田竹州 沖縄県副知事が祝辞を代読し、「皆さまがOISTから飛び立ち、それぞれの道を進む中で、異なる背景を持った仲間と培った温かい絆や、『平和を希求する沖縄の心』をどうか忘れず、科学技術の力を活用し、世界の平和と持続的な発展に貢献する人材として御活躍されることを期待しております」と述べました。 

古賀友一郎 内閣府大臣政務官は、「ここ沖縄から世界に羽ばたき、まさに琉球王朝の時代から何世紀にもわたって受け継がれてきた『万国津梁』の精神で世界と沖縄・日本を結ぶ架け橋になっていただくことを心から期待いたします」と話し、沖縄と日本、そして国際社会とをつなぐネットワークを構築するよう修了生を激励しました。 

池田竹州 沖縄県副知事
玉城デニー沖縄県知事の祝辞を代読する池田竹州 沖縄県副知事。 
古賀友一郎 内閣府大臣政務官
沖縄と日本、そして国際社会とのつながりを築いてほしいと激励する古賀 内閣府大臣政務官。 

左右非対称性(キラリティー)の画期的研究で知られる中部大学卓越教授で東京大学名誉教授の黒田玲子博士が、祝辞を述べました。2002年から2004年までOIST設立の国際諮問委員会の委員を務めた黒田博士は、OISTに特別な思い入れがあると述べ、自身のキャリアを支えてくれた多くの人々に感謝の意を表しました。また、女性の大学進学率がわずか7%、博士課程進学率が2%であった時代に、大学進学と博士課程進学を許してくれた両親にも深い感謝の意を示しました。 

黒田博士は、「創造性、批判的思考、デザイン思考、共感力、適応力、そしてコミュニケーションといった重要なスキルを持つ、皆さんのような学識豊かな人材が必要とされています。つまり、私たちは高い知的知性と感情的知性を兼ね備えた人材を求めているのです。何か問題にぶつかったとき、それは新しい展開やより刺激的な挑戦、そして社会にとって有益な可能性につながるチャンスであるかもしれません」と強調しました。 

黒田玲子博士による祝辞
左右非対称性(キラリティー)の画期的研究で知られる中部大学卓越教授で東京大学名誉教授の黒田玲子教授による祝辞。

また、ノーベル生理学・医学賞受賞者のトーステン・ヴィーゼル教授には名誉学位が授与されました。トーステン・ヴィーゼル教授は、OIST理事会の創立メンバーであり、10年以上にわたり共同議長を務めました。また授与式は、ヴィーゼル教授の100歳の誕生日と同時期に開催されたため、特に特別な意味を持つ日となりました。

ヴィーゼル教授は、「この名誉を受けることで、OISTの発展に尽力された他の数名の方々にも感謝の意を表したいと思います。私たちが大変お世話になった方々ですが、その全員がもうこの世にはいらっしゃいません。シドニー・ブレナー博士(沖縄科学技術研究基盤整備機構初代理事長)、有馬朗人博士(OIST理事会副議長)、そして尾身幸次氏(元財務大臣)の功績を称えたいです。お三方は、OISTの設立とその夢の実現に不可欠な役割を果たしてこられました」と述べました。 

名誉学位を授与されるトーステン・ヴィーゼル教授
ノーベル生理学・医学賞受賞者のトーステン・ヴィーゼル教授は、OIST理事会の創立メンバーであり、10年以上にわたり共同議長を務めた。100歳を迎えるというヴィーセル教授よりビデオメッセージが届いた。   

OIST研究科長のトーマス・ブッシュ教授は、「皆さんには、学問の世界であれ、産業界であれ、他の分野であれ、自分が選んだ分野で、大きな影響を与える力と責任があります。皆さんが次に何を成し遂げていくのか、私たちは心から楽しみにしています」と述べました。

修了生が学位記を受け取ると、それぞれの指導教員からのビデオメッセージがスクリーンに映し出され、研究ユニットのメンバーからは時にユーモアある祝福の言葉も贈られ、会場から笑い声があふれました。

指導教員の河野恵子准教授からのビデオメッセージで祝福される須田晃治郎博士
河野恵子准教授はビデオメッセージの中で、教え子である須田晃治郎博士が最近、筆頭著者として発表した論文に触れ、お祝いの言葉を述べた。

優れた学位論文を表彰する2024年度ピーター・グルース最優秀博士論文賞は、OISTフェムト秒分光法ユニットのビベック・パリック博士の論文「時間分解光電子放出と光学分光法による励起子とその相互作用の性質の解明(指導教員:ケシャヴ・ダニ教授)」に送られました。

この賞は、プロボストのエイミー・シェン教授によって授与されました。シェン教授は「科学的ブレークスルーをもたらし、国際的に認知されたあなたの研究の影響力が決め手となりました。多くのハイインパクトジャーナルで示されています。これまでに800件以上引用され、数々の賞も受賞しています」と述べ、選考の根拠を説明しました。 

OIST細胞増殖・ゲノム編集ユニットを率いるフランツ・マイティンガー准教授には、2024年度最優秀メンタリング教員賞が授与されました。 

修了生代表答辞はアンジェリカ・コルダイェワ博士が行い、学生たちが研究中に乗り越えた困難について触れました。 「私たちはコロナ禍を経験し、研究にも私たち個人にも大きな影響がありました。そして毎日、遠く離れて暮らす友人や家族が恋しくなりました。しかし幸いなことに、この旅で私たちは決して孤独ではありませんでした。私たちを支えてくれたすべての人々に感謝したいと思います。OISTの先生方、そしてOIST研究科の皆さんに深く感謝します。先生方は私たちに多くの貴重なことを教えてくださいました。先生方のサポートがなければ、この旅は実現しなかったでしょう。」 

修了生代表答辞を行うアンジェリカ・コルダイェワ博士
修了生代表答辞を行い、仲間への感謝を述べたアンジェリカ・コルダイェワ博士。 

晴天に恵まれた当日、プログラムを締めくくった屋外レセプションでは、参加者たちが美しいハンドパンの演奏を耳にしながら喜びを分かち合いました。  

2024年度OIST修了生ら(Class of 2024)、レセプションにて
式典の後、出席した修了生が集合。
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祝賀は続く。レセプションにて  
晴天に恵まれ、ハンドパンの演奏が行われる中、歓談に花を咲かせる参加者ら。 

OISTコミュニティは、2024年度修了生の皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。彼らの努力と研究活動への献身は私たちに勇気を与えてくれました。  

学位記授与式の写真と動画は、こちらのFlickrアルバム公式ウェブサイトでご覧いただけます。 

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