2024年、新たなステージへの挑戦を振り返る
2024年は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)にとって、着実な成長を遂げた年となりました。研究の活発化に伴い、今年発表された論文数は400本を超え、OISTの研究成果が国内外で一層注目を集めています。
企業や学術機関との連携も活発に行われ、2024年には新たに10件の覚書(学術機関4件、企業など6件)を締結しました。これにより、多様なパートナーとの協力体制が強化され、研究の社会実装や新たな共同研究の可能性が広がっています。
OISTは、先端的な基礎研究から生まれた成果の社会実装を目指し、特許出願や技術移転を積極的に推進しています。今年は14件の新たな発明が正式に開示されました。これらの発明は、学術的な価値にとどまらず、産業応用の可能性も秘めており、今後の展開に大きな期待が寄せられています。
また、OISTサンゴプロジェクトは、クラウドファンディングで目標の240%を達成し、地域社会や支援者とのつながりを深める象徴的な事例となりました。
世界中から学生や教職員が集うOISTでは、その出身国・地域の数が年々増加しています。今年も新たなメンバーが加わり、キャンパスの国際性と多様性は一層深まりました。異なる視点やアイデアが交わることで、より革新的で刺激的な研究環境が生まれています。
2024年、OISTの注目すべきメンバー5人
2024年、多くのOISTのメンバーが、目覚ましい成果を達成しました。世界的に評価の高い研究から地元にインパクトを与える取り組みまで、その成果は多岐にわたります。OISTの教職員や学生は、次世代の研究者を育成しながら、権威ある賞の受賞や画期的な研究資金の獲得に成功しました。これらの成果は、OISTが世界の科学界と沖縄の発展の両方に与える影響が拡大していることを示しています。そのうちのほんの一例をご紹介します。
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島袋静香博士が科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞
那覇市出身の島袋博士は、科学技術分野の文部科学大臣表彰を科学技術賞(科学技術振興部門)で受賞しました。島袋博士は、注意欠如多動症(ADHD)の特性のある子どもの保護者を対象とした革新的な支援プログラムを開発したことで、この名誉ある賞を受賞しました。 -
大野ルイス勝也博士がクラリベイト社の「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)」に選出
大野ルイス勝也博士は、クラリベイト社の「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)」に5年連続(2020年~2024年)で選出されるという素晴らしい功績を達成しました。2024年11月時点で1万4500回以上引用された大野博士の研究は、金属ハライドペロブスカイト材料と太陽電池技術の進歩に貢献し続けています。 -
OISTの外部研究資金セクションが本年度、卓越した資金調達成果を達成
ASPIRE(研究代表者:ヒョードル・コンドラショヴ教授)、HFSP研究グラント(研究代表者:フィリップ・フスニック准教授)、そして過去最多となる科研費など、各種助成金を獲得しました。研究資金調達面での成功に加え、同セクションは、今年節目となるRA協議会 第10回年次大会をOISTに迎え、その運営の中心を担いました。 -
博士課程学生の朝永主竜珠さんが朝日新聞GLOBE+に取り上げられる
朝日新聞GLOBE+でOISTのサイエンスライターらが寄稿しているコラム「美ら島の国境なき科学者たち」シリーズでは、学生評議会の委員長を務め、OIST理事会のメンバーと直接交流し意見交換ができる場を設けた朝永主竜珠さんが小学生のときにOISTキャンパスを訪れたことをきっかけに、現在ではメンタルヘルスと機械学習の分野で革新的な研究を行う研究者へと成長した経緯を紹介しました。 -
タコやイカの生態を研究する真野智之博士、幅広い世代を魅了する
計算行動神経科学ユニットの研究員、真野智之博士は、地域の子どもたちに向けた海の日の講演会で、イカやタコの不思議を解説し、大きな反響を呼びました。さらに、人気テレビ番組『世界の何だコレ!?ミステリー』にも出演し、ダイオウイカに会いに行くまでの冒険が特集されました。科学者としての深い知見に加え、冒険心あふれる姿が視聴者の関心を引き、多くの人々の心をつかみました。
2024 年に、日本語で最も読まれた研究関連記事トップ5
2024年、OISTの科学者たちは、私たちの暮らす世界の根本的な性質に関する数多くの発見を成し遂げ、さらに健康やテクノロジーの分野で画期的なイノベーションを生み出しました。これらの成果は、将来的に私たちの生活を大きく向上させる可能性を秘めています。ここでは、2024年に日本で最も注目を集めたプレスリリースをいくつかご紹介します。
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無重力の可能性を切り開く新素材で革新的な磁気浮上を実現
量子マシンユニットの研究チームは、グラファイトを電気絶縁体に変え、運動エネルギーを積極的に相殺することで、これまでに開発された最も感度の高い原子重力計を凌駕する浮遊プラットフォームを開発しました。このシステムは、さまざまな用途に活用可能です。 -
エネルギー効率を飛躍的に高める革新的なEUVリソグラフィー先端半導体製造技術を発表
新しい設計により、現代社会に欠かせない半導体を製造する重要な装置の消費電力を従来の10分の1に削減し、設計を大幅に簡素化するとともに、設置やメンテナンスのコストも削減します。 -
酸素が欠乏すると脳の記憶形成はどのように阻害されるのか?
脳卒中患者は時に記憶障害を引き起こすことがありますが、本研究によってその原因が明らかになりました。これにより、脳卒中患者の治療、特に記憶喪失の治療が進展することが期待されています。 -
細胞老化の新たな原因を発見 細胞膜損傷
細胞老化は生物の老化の主な原因の一つで、膜生物学ユニットの研究チームは、わずか5ナノメートルの厚さの細胞膜が損傷を受けると、細胞老化が進むことを発見しました。この発見は、健康で長生きするための新しい戦略の開発に役立つかもしれません。 -
アルツハイマー病によるシナプスへのダメージを回復
アルツハイマー病は世界的な課題であり、決定的な治療法はまだ見つかっていませんが、高橋名誉教授が率いる研究チームは、早期に治療を施したマウスのアルツハイマー病の症状を最小限に抑えることに大きな進展を遂げました。研究チームは現在もOISTで研究を続けており、ヒトを対象とした臨床試験に向けた治療法の確立を目指しています。
英語の記事トップ5は次のとおりです。
2024年、記憶に残る5つのイベント
2024年、OISTは伝統を大切にしながら新しいスタートを切り、科学への情熱を共有するとともに、アーティストとの新しいコラボレーションから刺激を受けました。今年のハイライトを振り返ります。
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OCNCの記念すべき20周年と未来への挑戦
世界中から優れた研究者がOISTに集い、それぞれのプロジェクトに熱心に取り組みました。2024年、サマースクール「OIST計算神経科学コース(OCNC)」は20周年を迎えました。 -
J-PEAKSキックオフシンポジウム
今年7月、OISTはJ-PEAKS (地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)プロジェクトの一環として、「卓越性」、「イノベーション」、「地域から世界レベルへ」の貢献を強化する「OIST-neXus戦略」を発表しました。 -
地域イベント:高等教育や研究におけるキャリアパスについて宮古高校で講演した来間博士の宮古島訪問をはじめ、県内高校生によるプレゼン大会「第12回SCORE!」、そして「まるでエイリアン?!頭足類の秘密を探れ!」と題した海の日キッズレクチャーなど、2024年は魅力的なイベントが盛りだくさんの年となりました。
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OIST-KEIOサマーキャンプ
OISTは、慶應義塾大学の医学部の学生たちを国際研究サマーキャンプに迎え入れました。参加者たちは、多文化の環境の中で実際に研究を体験し、ネットワークを広げました。 -
科学と芸術の融合:OISTが加わる、国際的で学際的な博士課程教育を有する研究機関ネットワーク「BRIDGEネットワーク」による写真展「HUMAN-MODEL-WORLD:サイエンス写真展」を、東京にある国連大学本部で行いました。それに合わせて、科学コミュニケーションの視点で科学と芸術のコラボレーションを考えるトークイベント、「Science+Art: Creatively Communicating Research(サイエンスとアート:創造的に研究を伝える)」を開催しました。また、OISTキャンパスでは、琉球古典野村流伝統音楽協会の皆さんによる公演や、気温変化の科学的データを用いたジェネラティブアート作品を展示した展覧会「Coral Colors(コーラル・カラーズ)」を開催し、OIST客員アーティストとしてスプツニ子!さんをお迎えしました。さらに、CYCLE展で沖縄県立芸術大学の学生たちが制作した作品を展示する機会にも恵まれました。
2024年に話題になったメディア報道5選
2024年は、多くの全国放送のテレビでOISTを取り上げていただきました。たくさんの人々が科学やOISTに対する興味を深めるきっかけとなり、ソーシャルメディアでも反響を得ました。
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TBS: 超こどもの日~2100年まで生きる君へ~世界最高峰の研究者が集まる OISTに潜入取材!こどもの日の特別番組で、環境問題に関連するOISTの研究について紹介いただきました。小泉孝太郎さんと生物大好き小学生がOISTに訪問し、科学者と交流しました。
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NewsPicks: 【東大超え】世界をリードする「OIST」研究現場の最前線 ホリエモンこと堀江貴文さんが、EFポリマーと彼らを輩出したOISTを訪問。イノベーションを生み出すOISTの取り組みについて紹介しています。
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日本テレビ: 1億人の大質問!?笑ってコラえて! Good for Planet スペシャル 関根麻里さんと桝太一さんがOISTに訪れ、学生4名の研究現場に密着しました。
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フジテレビ: 世界の何だコレ!?ミステリー 沖縄!今世界が注目する大学でインタビュー 科学者たちが普段不思議に思っているミステリーとは?OISTの科学者たちが知りたいナゾに迫りました。
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日本経済新聞: 沖縄科技大の新戦略 「強さ」確立へ連携拡大 -カリン・マルキデス氏 沖縄科学技術大学院大学長 OIST学長就任1年を迎えたカリン・マルキデス学長へのインタビュー記事。大学のビジョンや戦略について語っています。
海外のメディア掲載トップ5は次の通りです。
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ORF (オ―ストリア): Der Klang des Dschungels
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Newsweek (米国): Alzheimer's Symptoms Reversed With New Treatment
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Smithsonian Magazine (米国): Clownfish Can 'Count' Stripes on Other Fish to Identify Intruders, Study Suggests
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India Today (インド): How lack of oxygen affects the formation of memory in the brain