【ポッドキャスト】タンパク質に魅せられて:酵素の全てを理解する
沖縄科学技術大学院大学(OIST)のタンパク質工学・進化ユニットを率いるパオラ・ラウリーノ准教授は、タンパク質に魅せられ、生物にとって重要な化学反応を促進するタンパク質群である酵素の構造、機能、進化の研究にキャリアの大半を費やしてきました。そんなラウリーノ准教授ですが、研究以外の分野でも高く評価されています。今月、2022年度の「Faculty Excellence in Mentoring Award(最優秀メンタリング賞)」を受賞したのです。この賞は、OISTが、学生、ポストドク研究員および研究者の職業能力開発やキャリアアップにおける包括的なメンタリングの重要性を認識し、優れたメンターの存在が生涯にわたって影響を与えるという理解に基づいて創設されたものです。候補者はOISTの学生や研究者によって推薦されます。
「日々の仕事の中で最も楽しい瞬間は、グループのメンバーと科学について議論するときで、最もやりがいを感じるのは、彼らの成功を目の当たりにするときです」とラウリーノ准教授は述べています。
2021年の末頃、ラウリーノ准教授の研究グループは、異なる側面から酵素を研究した3つの科学論文を発表しました。OISTポッドキャストの最新エピソードでは、科学コミュニケーターのルシー・ディッキーが、ラウリーノ准教授に研究について話を聞きました。(ポッドキャストは英語のみです。)
「私たちの研究ユニットは、酵素がどのように機能するかを理解し、その知見に基づいて、酵素の機能を基にした研究手法を編み出し、生体触媒や化学生物学に活用したいと考えています。簡単に言うと、酵素がどのように進化し、機能するかを学び、その情報をもとに新しい酵素を設計するということです。」
この研究はさまざまな形で応用できる可能性がありますが、ラウリーノ准教授のチームは酵素の基本的な理解を深めることに重点を置いています。なぜ酵素に関する疑問を解明することが重要なのかと尋ねると、ラウリーノ准教授は、理論物理学者でノーベル賞受賞者のリチャード・ファインマン博士の言葉を引用し、「自分たちが本当の意味で理解できないものは、作れませんよね」と答えました。
ラウリーノ准教授は、この分野を研究する学生にとって、有機化学の知識が役に立つと述べた上で、好奇心と興味を持ち続けることの大切さを訴えます。「常に学び続けること、そして習熟度を高くすることが非常に重要だと思います。」
ポッドキャストでは、以下の研究論文について紹介しています。
- Sustained enzymatic activity and flow in crowded protein droplets (Nature Communications, 2021)
- Evolutionary repair reveals an unexpected role of the tRNA modification m1G37 in aminoacylation (Nucleic Acids Research, 2021)
- Substrate Dynamics Contribute to Enzymatic Specificity in Human and Bacterial Methionine Adenosyltransferases (JACS Au, 2021)
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