テニュアトラック教員への道を後押しするOISTの新フェローシップ制度が発足

ぶりぶし(群星)フェローシップ、最初の3人が選出。現在、日本在住者を対象に申請を受付中。

Starry night over the OIST campus.

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、優れた研究者をテニュアトラック教員へと後押しする新たなフェローシップ制度を創設しました。沖縄の言葉であるうちなーぐちで「星の集まり」を意味する「ぶりぶし」に由来する「ぶりぶし(群星)フェローシップ」は、独立研究者としての立場を提供し、新たな研究グループを立ち上げて運営するための資金を支援します。

このフェローシップの一部は文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の支援を受けて実施します。

「私たちは、ぶりぶし(群星)フェローシップが、日本で大学教員を目指す研究者とって最も名誉のあるポジションの一つとして認知されるようになることを期待しています」と、このフェローシップの創設に尽力したOISTの前教員担当学監エヴァン・エコノモ教授(アジャンクト)は述べています。

このフェローシップ・プログラムは、OISTの教員学監オフィスとプロフェッショナル・ディベロップメントインクルーシブ・エクセレンスセンター(C-Hub)が主導し、フェローにリーダーシップ・トレーニングを提供します。

現在、このフェローシップは、日本在住の研究者からの応募を受け付けています。2025年度のフェローシップ応募はこちらから

2024年度、最初のぶりぶし(群星)フェローに選ばれたのは、竹林智司博士、太田緑博士、サクニクテ・トレド・パティノ博士の3人です。プロフィールは以下をご覧ください。

竹林智司博士

Dr. Satoshi Takebayashi.

竹林智司博士の研究は、金属ー金属結合および金属ー有機結合に関する分子レベルでの研究と、それらを触媒や材料科学における課題へ応用することに重点を置いています。竹林博士は本フェローシップを通じて、「未知の有機金属化学の原理を発見し、それを基とした画期的な触媒や材料によって持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています」と語ります。竹林博士は、ぶりぶし(群星)フェローシップがOISTに才能と意欲に溢れた研究者を惹きつけ、彼らの大胆なアイデアを実現する手助けとなることを期待していると話します。

太田緑博士

Dr. Midori Ohta.

中心小体は、真核生物に保存された細胞小器官で、細胞が分裂する際は染色体分配に、分化した細胞では繊毛・鞭毛の形成に必須の機能を持ちます。 中心小体が、このような多様な機能を制御するためにどのように進化し、有性生殖の過程でどのように受け継がれてきたのかは、残された重要な課題です。中心小体の異常は、小頭症、男性不妊、がんなどの疾患につながる可能性があります。太田博士は、中心小体形成を制御する分子機能を長年研究しています。ぶりぶし(群星)フェローシップを通じて、「これらの残された課題に対する理解を深め、不妊、遺伝性疾患、がんのメカニズム解明に貢献したいと考えています」と説明します。太田博士にとって、ぶりぶし(群星)フェローシップは、「教授職に就く前の研究者に、独立したプロジェクトを立ち上げ、研究室のメンバーを指導し、より多様で活気のある学術環境に貢献する機会を提供する」貴重な取り組みであると語っています。

サクニクテ・トレド・パティノ博士

Dr. Toledo Patino

「タンパク質の進化の研究は、常に革新のインスピレーションを与えてくれます」と、サクニクテ・トレド・パティノ博士は言います。トレド・パティノ博士の研究は、電子伝達能力を持つタンパク質の進化に焦点を当てています。このタンパク質は、細菌や微細藻類に組み込むことで、太陽エネルギーを得て、工業用原料から、あるいは二酸化炭素から直接、燃料や貴重な化学物質を生物合成することができます。「現代のタンパク質には、何十億年もの試行錯誤の歴史が刻み込まれており、新たな機能を生み出すための詳細な情報を提供してくれます」。この遺伝子情報と高度なAIツールを併用することで、博士と新しい研究グループは、社会の根本的な問題の解決に役立つ、より優れた分子機械の設計を目指しています。博士は、このフェローシップは若手の科学者に力を与える素晴らしい方法であると考えています。「ぶりぶし(群星)フェローシップのような機会が、若い研究者に力を与え、独自の発想を実現し、その価値を認めてもらうために支援を行うという国際的な取り組みと一致していることをうれしく思います。」

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