第6回ジャパン・サイコム・フォーラム(JSF)2024:科学とコミュニケーションの未来をつなぐ

科学の発信力を高める新たな取り組みとネットワーキングの重要性

JSF2024 Group photo

2024年10月22日と23日の両日、九州大学伊都キャンパスにて「第6回ジャパン・サイコム・フォーラム(JSF)2024」が開催されました。沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、昨年、一昨年とホスト機関を務め、今年も本イベントに協力機関として参加しました。

JSFは2018年に発足し、サイエンスコミュニケーター、ライター、研究者、ジャーナリストなどが集う場として成長を続けています。日本発の科学をより広く世界へ伝えるための知見や技術を共有する場として、英語でのフォーラムとなっており、今年も全て英語で実施されました。

JSF2024 Closing remarks

九州大学で初開催となったたJSF2024では、九州大学の石橋達朗総長が開会の挨拶で「日本から素晴らしい科学を発信していくことは重要です。ここで築かれるネットワークを活用し、科学の力を世界へ届けていってほしい」と述べ、発信力の強化とネットワーキングの意義を強調しました。

基調講演では、国連大学広報部長のキキ・ボウマンさんが「サイエンスコミュニケーションにおけるデザインの重要性」について講演を行い、デザインが科学の情報をどのようにわかりやすく、魅力的に伝えるかという視点を提供しました。また、福岡市科学館長の矢原徹一九州大学名誉教授による講演では、市民が科学研究に積極的に関与する「シチズンサイエンス」の取り組み例とその可能性について、参加者に新たな視点を提供しました。

ワークショップでは、参加者が4つのグループに分かれ、記者へのアプローチ方法や連携構築、サイエンスコミュニケーションに必要なビデオ制作、インクルージョンや社会共創の促進、クライシスコミュニケーションなどについて実践を交えながら学びました。また、今年初めて、フォーラムの参加者によるケーススタディの紹介も行われました。

JSF2024 Pannel discussion

OISTからはヘザー・ヤング広報担当副学長が登壇し、AIとサイエンスコミュニケーションに関するパネルディスカッションに登壇しました。このパネルディスカッションでは、AIがサイエンスコミュニケーションにもたらす新たな可能性や課題について議論を交わしました。AIの活用により、情報発信の効率化や視覚化の高度化が期待される一方で、誤情報の拡散リスクや倫理的な課題も浮き彫りになり、今後の継続的な議論が重要であるとの認識が深まりました。

JSF2024 Pannel discussion on AI

2020年からJSFのオーガナイザーを務めるOIST広報部の大久保知美メディア連携セクションマネジャーは、「JSFには、国内だけでなく国外からも、熱心なサイエンスコミュニケーターが集うようになり、科学コミュニケーションへの可能性と、コミュニティーの進化を実感しています。今後も多様な参加者を迎え、テーマも議論も共に深めていきたいです」と語りました。

OISTは、今後も国内外の科学コミュニケーションの発展に積極的に関与していく予定です。次回のJSFは2025年11月に、東京科学大学未地球生命研究所(ELSI)で開催される予定です。

JSFのエグゼクティブサマリーをこちらからお読みいただけます(英語のみ):https://www.japansci.com/blog/jsf2024-executive-summary

※OISTによる本イベント参加への一部は文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の支援を受けて実施しました。

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