海の日キッズレクチャー『まるでエイリアン?!頭足類の秘密を探れ!』が開催されました
7月13日、沖縄科学技術大学院大学(OIST)計算行動神経科学ユニットに所属するポストドクトラルスカラーの真野智之博士が、沖縄の家族連れを対象に、海の日キッズレクチャー『まるでエイリアン?!頭足類の秘密を探れ!』と題した講演を行いました。興奮した子どもたちは、講演が終わってもステージの真野博士を取り囲み、さらに質問をしたいと、小さな手が何本も上がっていました。
「子どもたちの熱意は予想以上でした」と真野博士は話します。「子どもたちからの質問の中には、私自身が考えたこともないような難しい質問もありました。」
OISTの講堂には450人の参加者が集まり、キッズレクチャーは大盛況。真野博士は、沖縄の子どもたちにイカやタコの専門知識を伝えることに喜びを感じたと言います。本イベントは先着順で誰でもが参加でき、日本語を話さない参加者のために英語の同時通訳も用意されていました。
イカやタコの脳や驚くべき擬態能力についての興味深い話に、会場全体が驚きに包まれました。途中、真野博士と同じ研究ユニットの小島豊さんとジョバンニ・マスッチ博士が登場し、イカに餌をやると、聴衆は身を乗り出して、歓声を上げていました。
講演の目玉の一つは「カモフラージュクイズ」でした。観客の中からランダムに選ばれた参加者が、写真の中に隠れている頭足類を当てるというものです。会場のあちこちで、子どもたちがスクリーンを指さしながら、どこでカモフラージュしているかを見つけようと奮闘していました。回答すると、動画が再生され(写真は動画だったのです)、隠れていた動物が動き出す姿が映し出されました。
「カモフラージュしたタコの動画を見た子どもたちが大興奮している姿が素晴らしかったです」と真野博士は語ります。「私が大学院でカモフラージュについて初めて学んだときも、同じように興奮したことをよく覚えています。それが、頭足類の研究を始めるきっかけとなりました。子どもたちと自然の驚異や感動を共有できて、とても充実した経験でした。」
OISTでは設立当初から科学教育の普及活動に力を入れてきました。「海の日キッズレクチャー」のような一般向けのイベントを通じて、若い世代が科学技術の分野に真の情熱を傾けるよう促しています。こうした取り組みは、沖縄から科学技術の次世代リーダーを育成するために非常に重要です。真野博士の話に真剣に耳を傾ける子どもたちの姿から、多くの子どもたちがこの講演を通じて頭足類やその不思議な科学に対して新たな関心を持ったことが伝わってきました。
真野博士は、尊敬するハンガリーの生化学者でノーベル賞受賞者のアルベルト・フォンセント・ジェルジの言葉を引用し、講演を締めくくりました。「発見とは、誰もが見たことのあることをじっくり見据えたうえで、誰ひとりとして考えたことのないことを考えてみることである。」
イベントの写真をご覧になりたい方は、OISTのFlickrをご覧ください。
執筆 アイテック・アブドゥラ